いま知っておきたい日本ワイン

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いま知っておきたい日本ワイン

2019.5.27

4. 日本固有の赤ワイン品種を再認識させてくれた「ダイヤモンド酒造 ますかっと・ベーリーA Y cube 2016」。若飲みしても熟成させても面白いワイン。

日本国内で栽培されたブドウを100%使用して国内で醸造された「日本ワイン」が目覚ましい進化を遂げ、世界から耳目を集めている。覚醒し始めた「日本ワイン」がパラダイムシフトを起こす中、3人のワインオーソリティーが今、経験すべき12本を厳選し、紹介する。

ますかっと・ベーリーA  Y cube 2016 ますかっと・ベーリーA  Y cube 2016

ワインジャーナリスト柳忠之が選んだ日本ワイン×ダイヤモンド酒造 ますかっと・ベーリーA Y cube 2016

 

日本固有の白ワイン用品種が甲州ならば、赤ワイン用の固有品種はマスカット・ベーリーAである。このブドウは多湿な日本の環境でもワイン醸造用としてうまく栽培できるよう、越後高田の川上善兵衛が交配に成功したもの。病気に強い北米系のベーリーを母、醸造に適した欧州系のマスカット・ハンブルグを父として掛け合わせた。

 

たしかに日本でも栽培しやすく、赤ワイン用の醸造品種としては国内最大の栽培面積を誇るマスカット・ベーリーA。しかしブドウの実が大きく、軽薄なワインになりがち。それに加えて、イチゴキャンディーの香りが鼻につき、かつては安もののボージョレのようなタイプが多かった。

 

ところがである。「マスカット・ベーリーAでも、こんなにしっかりしたワインが出来るのか」と初めて感心させられたのが、勝沼のダイヤモンド酒造が造るワイン。醸造責任者の雨宮吉男はブルゴーニュでワイン造りを学び、その時に習得した技術をマスカット・ベーリーAに応用。栽培農家との二人三脚で、飲みごたえのあるワイン造りに成功した。

 

濃密な赤いベリーの香り。シルキーなタンニン。スパイシーな複雑味も感じられ、若いうちから楽しめるが、熟成させても面白そうなワインに仕上がっている。

 

(敬称略)

ダイヤモンド酒造 ますかっと・ベーリーA Y cube 2016
造り手:ダイヤモンド酒造
品種:マスカット・ベーリーA
特徴:ブルゴーニュ仕込みの造り。白ワインは甲州、赤ワインはマスカット・ベーリーAに特化したワイナリー。今後に大きな期待。
価格:2,925円(税込/編集部調べ)
http://www.jade.dti.ne.jp/~chanter/

 

柳忠之 Tadayuki Yanagi
ワインジャーナリスト。1965年横浜生まれ。ワイン専門誌記者を経て97年に独立、フリーのワインジャーナリストに。山梨から地球の裏側のチリまで、世界中のワイン産地を訪問し現地の最新ワイン事情を伝える。ワイン専門誌「ワイナート」のほか、ライフスタイル誌にも寄稿。日経ムック「Wine Style」の監修を務める。

Text by Tadayuki Yanagi
Photography by Michinori Aoki

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