「紫地山吹草花流水」(ハツコ エンドウ)

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令和にまとう初春のきもの 逸品選

2020.1.17

8. 百花が咲き誇る美の饗宴。四季を彩る草花の花嫁振袖

「紫地山吹草花流水」(ハツコ エンドウ)

子供から大人への通過儀礼として着る振袖に対して、花嫁のまとう引き振袖は未婚から既婚への通過儀礼という人生行事を祝う晴着。その着姿から「お引きずり」とも呼ばれる。令和の寿ぎにふさわしい、格調や風格を持つ大人の女性の振袖を、その意匠表現とともに紹介する。

四季の植物を取り合わせた日本人の美意識

それぞれの季節を彩る植物をきものの題材に取ることは、装いの着用時季を大切にする日本人の美意識だ。その一方、同時に咲くことが現実にはありえない四季の植物を一枚に表し、百花の華やぎを味わうのもまた、日本人ならではの感性ではないだろうか。

四季の百花を同時に咲かせたきもの(左)貝や貝桶に折々の草花が描かれたきもの(右)。草花の華やぎがめでたさを引き立てている 四季の百花を同時に咲かせたきもの(左)貝や貝桶に折々の草花が描かれたきもの(右)。草花の華やぎがめでたさを引き立てている

四季の百花を同時に咲かせたきもの(左)や貝や貝桶に折々の草花が描かれたきもの(右)。草花の華やぎがめでたさを引き立てている


振袖「紫地山吹草花流水」は、品格のある紫地に草花が表された一枚。紫のきものはクラシカルな趣や、落ち着いて上品な印象を感じさせる。肩から見頃にかけて雲取りと春の花、山吹を表現。また裾には流水に、花菖蒲と、唐花や更紗といった異国調の菊の春秋(しゅんじゅう)の草花が配されている。穏やかで気候の良い春と秋の草花を取り合わせ、肩から裾へ上下段のように異なる模様を配する独特のセンスを感じる柄付けだ。

 

この振袖の特徴は、3種類の草花文に雲取りと流水を添えて風景模様のような印象を与えているところだ。風景文様は御所解、茶屋辻、洛中洛外などのようにさまざまなモチーフを細かに表現する場合も多いが、この振袖は目線を変えて見えるふたつの景色の構成によって肩から裾へと視線を移すような効果がある。


「黒地貝桶」(ハツコ エンドウ) 貝桶に描かれた四季の草花 「黒地貝桶」(ハツコ エンドウ) 貝桶に描かれた四季の草花

「黒地貝桶」(ハツコ エンドウ)

貝桶に描かれた四季の草花


古くから貴族の遊びであった貝合わせの貝とそれを入れる貝桶は、中世には上流階級の花嫁道具でもあった。そのため、留袖など寿ぎのきものや帯の代表的な文様となっている。振袖「黒地貝桶」は、ふたの開いた貝桶に、合わせ貝や紐が不規則に配され、まるで姫が遊びに興じているような気配を感じるデザインだ。さらに貝桶や貝には藤、桐、桜、菊などさまざまな草花が表されている。モチーフに草花文を詰めることで華やかさや美しさをなお一層引き立たせるのも、日本人の美意識に育まれた模様表現だ。正統派の王朝文様は花嫁を、気品や格調の高みへと誘ってくれるだろう。

振袖:ハツコ エンドウ ウェディングス 銀座店

レンタル価格:写真上/参考商品 写真下/800,000円(税別/編集部調べ)

https://weddings.hatsuko-endo.co.jp/salon/64

text by Akira Tanaka

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