健康へのこだわりや信仰上の理由、また信条などで、食べることに対して制限をもうけている人たちが増加している。バリアフリーレストランとは、食に対するこだわりをバリアととらえるのではなく、おいしく楽しむことを提案するレストランだ。食は、ライフスタイルの多様化やグローバル化など「今」を映すもの。オーガニック、ハラルフード、低糖質&低カロリー、ベジタリアンの4つのカテゴリーから3店ずつピックアップ。東京のバリアフリーなレストランを紹介していく。
青山通りから一本路地を入ったところにある「エイタブリッシュ」。たくさんのグリーンが置かれ、自然光の入るスタイリッシュなレストランだ。デザイン会社が経営しているというのもうなずける。オープンのきっかけは、オーナーの一人、清野玲子が20年ほど前にヴィーガンに目覚めたこと。当時はどのレストランのメニューを見ても、野菜といえばサラダやおしんこがほとんど。野菜を食べたい人にとって、外食では選択の余地がなかったという。その年の秋には、日本で最初のヴィーガンカフェをオープンさせていた。「エイタブリッシュ」はそのカフェの進化形だ。
開店にあたってはヴィーガンを追求するだけではなく、精製された白砂糖、化学調味料も一切使用せず、できるかぎりオーガニックや無農薬の野菜や米を使うことにした。もちろん、ワインもオーガニックかヴァンナチュール、日本酒は造り手をよく知る純米酒、いずれもトレーサビリティが明確なものを揃える。調味料も工場ラインまでチェックして選ぶほどの徹底ぶりだ。
デザイン会社のセンスが活かされたおしゃれな店内のインテリアやアート。
オーガニックワイン、自然派ワインを中心にワインリストも充実。
アラカルトもあるが、おすすめは月替わりの5,000円のコース。ポタージュ、天然酵母パン、セビーチェなどのスターターで始まり、サラダ、パスタ、メイン、デザートと続く充実の5皿。素材の持ち味を最大限に引き出すよう創意工夫された料理は、一見ではヴィーガンメニューだとは気が付かないボリュームと味わいがある。このコースを食べてヴィーガンに対する意識が変わる人も多いそうだ。
インドネシア発祥のテンペ菌で大豆を発酵させた食品「テンペ」を使った一皿。
長年ヴィーガンと向き合うシェフのこだわりは、“ヴィーガン=淡泊な健康食”にならないこと。ハーブをふんだんに使い、今回のメニューで言えば、他の食材と食感の違うグリルしたキノコを合わせることで変化を持たせる。食材が本来持っている力を利用して、目も舌も楽しませる料理を完成させる。健康志向も大切だが、やはり一般の人にもおいしいと思ってほしいからと話す。
青山学院大学の脇の細い路地を入ったところにある、シックな店構え。
「国や宗教や食文化が違ってもどんな人でもみんなが同じ食卓を囲める場所」を目指すだけに、ディナータイムは半分以上が海外のゲストという日も多いそう。徹底したヴィーガンの人に加え、高感度でヘルスコンシャスな人も、縛りのないゆるやかなヘルシー志向の人も、誰しもが大満足のレストラン・カフェなのだ。
(敬称略)
レストラン エイタブリッシュ
東京都港区南青山5-10-17 2F
03-6805-0597
11:30~14:30 L.O.
18:00~21:00 L.O.(ドリンク21:30 L.O.)
火曜・日曜休(ディナーのみ休み)
ランチ 1,500円~(税別)
ディナー 3,000円~(税別)
http://eightablish.com/restaurant/
Text by Yuka Kumano
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