健康へのこだわりや信仰上の理由、また信条などで、食べることに対して制限をもうけている人たちが増加している。バリアフリーレストランとは、食に対するこだわりをバリアととらえるのではなく、おいしく楽しむことを提案するレストランだ。食は、ライフスタイルの多様化やグローバル化など「今」を映すもの。オーガニック、ハラルフード、低糖質&低カロリー、ベジタリアンの4つのカテゴリーから3店ずつピックアップ。東京のバリアフリーなレストランを紹介していく。
2年前に初上陸した中国蘭州ラーメンの名店「馬子禄(マーズルー) 牛肉面」。今年10月にはJR東京駅直結のグラントウキョウ サウスタワーB1に2号店をオープンし、既に連日行列のできる大人気店となっている。ラーメン店らしからぬ、お洒落なシノワズリの店は居心地もよく、女性の一人客もひっきりなしに訪れる。蘭州ラーメンは中国ではとてもポピュラーな食べ物。日本の立ち食いそば店のように街のあちこちに点在し、その数はなんと3万軒以上とも言われる。朝食、昼食を中心に、庶民の胃袋を満たす貴重な存在だ。
店長の清野烈も、大学時代を過ごした北京で毎日のように食べていた蘭州ラーメンが忘れられず、自ら開業しようと一念発起。本場で一番美味しいと感じた馬子禄に弟子入りを志願するも、最初は全く相手にされず、何度も足を運ぶうちに熱意が認められ、ようやく修行が許されたそう。というのも馬子禄は100年以上も蘭州牛肉麺を提供している老舗ブランドで、中国政府が認めた名店のみに贈られる「中華老字号」にも認定されているほどの有名店だ。そこで麺打ちからスープ作り、ラー油作りまでを徹底的にたたき込まれて帰国したのだ。


蘭州ラーメン好きが高じて自ら店を開くことになった清野烈。


牛骨と肉を煮込んで作るスープは想像以上に澄んでいて濁りがない。
蘭州牛肉麺を生んだ甘粛省には、回族と呼ばれるイスラム教を信仰する中国人のほかに、さまざまな少数民族がいて、彼らはイスラムで許されたハラル食だけを食べる。その土地で生まれた馬子禄の蘭州牛肉麺を提供するにあたっては、本場同様ハラルの食材を使用することが条件だったため、この店もハラル認証を受けている。


じっくり煮込んで柔らかくなった主役の牛肉をパクチーやラー油が引き立てる。
メニューは蘭州牛肉面のみ。国産牛の肉や骨を10種類以上の薬膳スパイスとともに長時間煮込んだ秘伝のスープは、想像以上に澄んでいてほっとする優しい味わいだ。スープに溶け込んだ牛の旨味と複雑なスパイスの香りがなんとも食欲をそそる。麺は細麺、平麺、三角麺など9種類からセレクト。スープは1種類だが、麺の太さや形状の違いによって味わいはかなり変化する。多彩な麺はすべて注文が入ってから手打ちする。その神業のようなみごとな手さばきは感動ものだ。


店内は女性にも人気のお洒落なシノワズリのインテリアで統一。
麺の上には、数時間かけて柔らかく煮込んだ牛肉が数枚、たっぷりのパクチーと葉ニンニクをトッピングし、さらに旨辛の自家製ラー油をのせる。最初は澄んだスープを味わい、食べ進めるうちにそれが少しずつスープに溶け出して、味の変化が楽しめる。スープ、麺、肉のどれも手間を惜しまずに作られた蘭州ラーメンは、奥深い旨さがクセになり、繰り返し訪れたくなるのだ。
(敬称略)
馬子禄 牛肉面 東京駅店
東京都千代田区丸の内1-9-2 グラントウキョウサウスタワーB1F
03-6268-0323
11:00〜16:00(15:30 L.O.)
17:00〜22:30(22:00 L.O.)※日曜・祝日~21:30(21:00 L.O.)
ランチ950円~(税込み)
ディナー950円~(税込み)
https://lanzhou-lamian.com/tokyo
Text by Yuka Kumano
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