パティシエとともに、日本でも浸透しつつある言葉、ショコラティエとは、フランス語でチョコレート職人を意味する。いまや世界で認められている、感性豊かな日本のショコラティエ。日本のチョコレート文化を育み、進化させるショコラティエを紹介する。
カカオハンターとチョコレートへの情熱を競い合い、カカオの個性を見出し活かす
マ・プリエールのショーケースに並ぶボンボン・ショコラの数は常時100種類。「でもまだまだ作りたいショコラはたくさんあります」とオーナーの猿舘英明は言う。キッチンで出番を待つ各社のチョコレートは170種類にものぼるという。「最近、気に入っているのはドイツのリューベッカ社のクーベルチュールです。口どけが早く、素材感を活かしやすい点で、自分のチョコレート作りに合っているのです」。
猿舘には2回の渡仏経験がある。製菓学校フランス校から最初に紹介された店は、イースター時期でチョコレートの製造に追われていた。卵型のチョコレートを見よう見まねで作り続ける日々。チョコレート作りの原理もわからなかった。だから、2度目のフランス修業では「チョコレートを勉強する」と心に決め、「ミッシェル・ショーダン」など6軒で働いた。日本に戻ると、2006年には自分の店を構えた。
産地別のチョコレートをケーキで楽しむ。マ・プリエールの看板商品「マ・プリ・ショコラ」。エクアドル、パプアニューギニア、ベネズエラ、ドミニカ、西アフリカサントメ島のカカオの違いを食べ比べ。1,620円/5個(税込)
今もチョコレートへの探求心は絶えることなく、同じくチョコレートに情熱を傾けるカカオハンターの小方真弓氏とも出会うべくして出会ったと言えるだろう。コロンビアを拠点にカカオ豆を探し出し、ビーン・トゥーバーで作られた小方氏のチョコレートを、猿舘がカカオの特徴をとらえてシンプルなガナッシュにし、カカオボンボン・ショコラに仕立てる。「1974」は猿舘をイメージしたカカオ分74%のチョコレートだ。ビター感が強く、ほのかに甘い香りがする。
チョコレートのブレンドを得意とする彼の真骨頂はボンボン・ショコラをおおうコーティングにある。「チョコレートはメーカーによって味も余韻を感じるタイミングが異なります。最初に味が現れるタイプ、中間に来るタイプ。でも、最後に口の中に残るのは外側のコーティングチョコレートの味なのです。印象に残るように7種類のチョコレートをブレンドしたコーティングチョコレートで、マ・プリエールらしさを感じていただきたいのです」。今年はフルーツ+酒+マジパンの組み合わせでボンボン・ショコラを作ってみたいという。揺るぎない自分らしさの表現方法があればこそ、思い切った冒険もできる。新しいチョコレートの誕生が待ち遠しい。
チョコレートへの情熱の高さで、日本のショコラティエの中でも一目置かれている猿舘英明シェフ。
(敬称略)
マ・プリエール
東京都武蔵野市西久保2-1-11 バニオンフィールドビル1F
0422-55-0505
10:00~19:00
不定休
https://www.ma-priere.com/
Photography by Haruko Amagata
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