いつもの食卓に春を添えて。今回はそんな一品として「鯛とこんにゃくの冷菜」を紹介いただいた。細川家の食卓にもよく登場し、またtaishojiの料理教室でも紹介されているというレシピである。鯛やこごみの旬は春。味わいに深みを出すのは、細川が監修を務めた広島・尾道の「LOG」と「尾道造酢」が共同開発した「いちじく酢」を使った、さっぱりとして味わい深いシンプルな一品である。
細川家の台所の扉の横にあるモッコウバラとナニワイバラは例年より早く満開になった。
春から初夏にかけて渦巻状の新芽が出てくる、こごみ。
自然の恵みを旬の味わいと楽しむ贅沢
LOGは尾道の宿である。ここは、インドの建築家ビジョイ・ジェインが率いる「スタジオ・ムンバイ」が手掛けた建築プロジェクトであり、日本の多くのアーティストのエッセンスも加わっている。ダインイングにおいても、シェフではなく料理のアーティストに携わって欲しいという思いから、細川亜衣への依頼を決めたという。快諾した細川はレストランのレシピ開発や料理指導だけにとどまらず、今回のレシピでも使用されている「いちじく酢」の開発にも携わった。
尾道にはいちじくや柑橘系の果実が多く栽培されている。いちじくは足が早く、完熟すると生のままでは出荷が困難なため、これらを使って尾道らしい商品をつくれないかと試行錯誤し、LOGと「尾道造酢」が共同開発。細川が監修を務め、2018年冬「いちじく酢」が完成した。尾道産いちじくからつくられた原酢、広島県内のはちみつ、せとうちの塩だけでつくられた調理酢は、酸味が柔らかく、いちじくの香りとほんのりとしたはちみつの甘みを感じる優しい味わいに仕上がったと細川は語る。
(敬称略)
料理の最後には、昨年庭に植えた木の芽を添えて。
鯛とこんにゃくの冷菜(4人分)
鯛 100g
砂糖 10g(魚の10%)
塩 1g(魚の1%)
刺身こんにゃく 160g
砂糖 10g(こんにゃくの10%)
塩 1g(こんにゃくの1%)
白きくらげ(乾燥) 10g
いちじく酢 小さじ2
ごま油 小さじ2
粗塩
こごみ 8本
塩
たれ
練りごま 20g
いちじく酢 10g
薄口しょうゆ 10g
仕上げ
木の芽
鯛と刺身こんにゃくはそれぞれ砂糖をまぶし、冷蔵庫で1時間ほどおく。
流水でさっと洗い、水気を拭いて塩をまぶし、さらに冷蔵庫で1時間ほどおく。
白きくらげは洗って水にひたしておく。
水気を絞って石づきを外し、いちじく酢とごま油であえ、冷やしておく。
鯛とこんにゃくはそれぞれ滲み出た水気を拭き取り、薄切りにする。
こごみは冷水にしばらくひたしてから、沸騰した湯に塩を入れてゆでる。
ボウルに水を張り、塩を加えてうっすらと塩味をつけ、ほどよい柔らかさにゆだったこごみをひたしておく。
供する前に塩水から取り出し、下の固いところを切り落として食べやすく切る。
皿に鯛、こんにゃく、白きくらげ、こごみを盛る。
木の芽を叩いて香りを出し、上に散らす。
たれの材料をよく混ぜて小皿に盛り分ける。
今回のお取り寄せ
いちじく酢
LOG
尾道産の日本いちじく”蓬莱柿(ほうらいし)”をベースにしたいちじく酢は、創業400年の歴史を持つ「尾道造酢」が製造した原酢を活用し、広島県内で採れた「藤田養蜂場」のはちみつと塩をブレンドした調味酢に仕上がっている。水やソーダと薄めてドリンクにしたり、ピクルスやマリネ、ドレッシングなど、幅広く使える。
商品:いちじく酢 500ml
価格:1,404円(税込)
住所:広島県尾道市東土堂町11-12
購入方法:LOGサイト内のオンラインストアで。
支払方法:ヤマト商品代引のみ(決済手数料330円)。
料理家。熊本・taishojiにて料理教室や料理会などを主宰。www.taishoji.com。3月に新刊「トースト」(BON出版)、『料理集 定番』(アノニマ・スタジオ)、「旅と料理」(cccメディアハウス)が出版される。
Photography by Ai Hosokawa
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