細川亜衣のレシピ「馬のカルパッチョといちごのサラダ」

細川亜衣が暮らす熊本の郷土料理に「馬刺し」がある。「馬刺し」と一口に言っても、ロースなどの霜降りやもも肉など赤身、レバ刺し、タン刺しなど部位によって味わいが異なり、ふたえご（バラ肉）、ネッコ（大動脈）、たてがみの下の脂肪・コーネなどという馬肉独特の呼び名もある。馬肉は低脂肪、低カロリーで高タンパク、鉄分やカルシウム、亜鉛などミネラルも豊富と言うことから健康食としても注目されている。馬肉はお店でいただくものと考えている人は多いだろうが、馬肉を取り寄せて自宅で「馬刺し」をいただくのも贅沢である。

パプリカを火で炙って、旨みを凝縮させる。

東京育ちの細川は、熊本に暮らすようになって馬肉を食べる機会が増えたと言う。「熊本では生の馬肉を薄く切って、薄切りのたまねぎやおろししょうが、にんにくなどと一緒に醤油をつけて食べることが多いのですが、馬肉の水々しさ、少しねっとりしたような食感から、同系色でもあるいちごがよく合うのではないか考えて合わせてみました。これは我が家の定番の馬刺しのいただき方です」と細川は語る。

熊本の名産の一つであるいちごを使って。

特別な調理を必要としないレシピだからこそ、いい食材、いい調味料を選ぶことが大切だとも話してくれた。そして今回の味のポイントの一つに炙ったパプリカがある。パプリアの苦みや甘みが馬肉の旨みを引き立ててくれる。

食感と色彩、そして素材を活かす調味料の絶妙なバランス

今回ご紹介する馬肉は、熊本県で馬や黒毛和牛（藤彩牛）の生産・加工・販売を行う「フジチク」のものである。ここで扱う馬肉は、北海道やカナダなど厳選した牧場から選ばれた馬を熊本の菊陽ファームで飼育している。
フジチクから届いた冷凍のブロック肉は半解凍状態でできるだけ薄くスライスするのがコツだと言う。今が旬のいちごの美味しさとともに、新鮮な馬肉を存分に味わって欲しい。

2月の細川家の庭に実った柑橘と花々。

（敬称略）

馬のカルパッチョ（４人分）

馬刺し（赤身）　１００g
赤パプリカ　　２個
新玉ねぎまたは赤玉ねぎ　少々
オリーブ油
粗塩
こしょう

赤パプリカは網にのせ、丸ごと黒くなるまで焼く。
粗熱が取れたら軸、皮、種をのぞき、焼き汁にひたしておく。
新玉ねぎはみじん切りにし、水にさらす。
水気をしっかりと切り、オリーブ油、赤ワインビネガーでよくあえる。
馬刺しは包んだまま氷水にひたして半解凍し、ごく薄切りにする。
皿に焼きパプリカを盛り、新玉ねぎをふり、馬肉を重ねて盛る。
オリーブ油を回しかけ、粗塩をふり、黒こしょうを挽く。
いちごのサラダを添える。