暑さが厳しくなってくると、冷たい豆腐料理が食べたくなる。
さてどんなレシピにしようかと考えるが、思い浮かぶのは冷や奴ぐらいで全く芸がない。今回は、細川亜衣が火を使わず、簡単で美味しい豆腐料理を教えてくれた。いつもの豆腐にほんの少し手を加えるだけで、旨味がグッと上がり、食卓も華やいでくる。
細川が東京から熊本へ移り住み、関東と九州の豆腐が違うことに驚いたと言う。もちろん九州の豆腐をひと括りには出来ないが、熊本で出合った豆腐は東京の木綿豆腐よりももっと水分が抜けていて硬い。これは中国や韓国などで作られているものに近く、炒めても崩れにくく、食べ応えがあるので、細川いわく、十分にメインの素材にもなる。特に五木村の「五木とうふ店」の豆腐は格別だと教えてくれた。
日持ちをするように水分を減らした硬い豆腐は、昔ながらの味わい
五木とうふ店があるのは、熊本県南部の人吉・球磨地方北部に位置する五木村。ここは村の96%が山林で、村の中央には球磨川の支流である川辺川が流れている自然豊かな地。ここでは、かつて家庭で豆腐を作っていたが、時代の流れと共にそれも減っていったと言う。そこで、この村の出身である土屋智浩・千雅(ちか)夫妻が、家業の豆腐店を引き継いだのが約15年前。昔ながらの五木村の豆腐をいまも丁寧に作り続けている。
五木とうふ店の代表的な商品である五木豆腐は、一般的な木綿豆腐の3倍の大豆を使用し、じっくり時間をかけて水分を抜く。ずっしりと重くて、大豆のほど良い香りとうま味が凝縮されている豆腐に仕上がる。地元では冷や奴のほか、煮しめにしてよく食すと言う。土屋家では市販のタレなどを利用した豆腐ステーキもよく食卓にのぼるとか。もちろん冷や奴にして、好みの薬味で大豆の味わいを堪能するのもよい。
細川亜衣が五木とうふ店を最初に知ったのは豆乳だった。その美味しさに驚き、それを機に、豆腐や厚揚げなどを取り寄せてみたと言う。細川家では冷や奴にはしょうゆを使わず、ごま油や塩で食べることが多い。しょうゆは旨味が強いので、豆腐のたんぱくな味わいをかき消してしまうこともあるからだと言う。いい調味料さえあれば、それだけで素材の旨味が引き立つ。まさに細川亜衣の料理の真髄でそこにある。
(敬称略)
![豆ジャン](https://www.premium-j.jp/wp-content/uploads/2021/07/17cd14e51c3efb35bd42488348d84277.jpg)
![豆ジャン](https://www.premium-j.jp/wp-content/uploads/2021/07/17cd14e51c3efb35bd42488348d84277.jpg)
豆ジャン(1人分)
豆乳 以下、全て好みの量
ばら干しのり
ごま油
粗塩
豆乳を器に注ぎ、ばら干しのりを手でもんで散らす。
ごま油を回しかけ、粗塩をふり、ばら干しのりがぱりぱりとしているうちに食べる。
*ばら干しのり、粗塩(坊津の華)は静心で購入できる。
![きゅうりと燻どうふ](https://www.premium-j.jp/wp-content/uploads/2021/07/5c8afc3db1496cfcc25aed90d17e662f.jpg)
![きゅうりと燻どうふ](https://www.premium-j.jp/wp-content/uploads/2021/07/5c8afc3db1496cfcc25aed90d17e662f.jpg)
きゅうりと燻とうふ(2人分)
燻とうふ 1/2個
きゅうり 2本
にら 10本
ごま油 適宜
粗塩 少々
燻とうふはごく薄切りにする。
きゅうりはほどよい厚みの輪切りにする。
にらは小口切りにし、ごま油と混ぜ合わせる。
皿の中心に燻とうふを盛り、まわりにきゅうりを盛る。
きゅうりににら油をかけ、粗塩をふる。
![こしょうとうふ](https://www.premium-j.jp/wp-content/uploads/2021/07/8318079d2ca58f71529d76e96ee8da71.jpg)
![こしょうとうふ](https://www.premium-j.jp/wp-content/uploads/2021/07/8318079d2ca58f71529d76e96ee8da71.jpg)
こしょうとうふ(1人分)
なめらかとうふ ひとすくい
生こしょうの塩水漬け 数粒
魚醤 以下、各少々
ごま油
粗塩
なめらかとうふをさじですくって器に盛る。
生こしょうの塩水漬けを散らし、魚醤とごま油を少しずつかけ、粗塩をふる。
![トマトとうふ](https://www.premium-j.jp/wp-content/uploads/2021/07/1b88e966a0ce015ad208bb4bb9c17696.jpg)
![トマトとうふ](https://www.premium-j.jp/wp-content/uploads/2021/07/1b88e966a0ce015ad208bb4bb9c17696.jpg)
トマトとうふ(1人分)
五木豆腐 1切れ
完熟トマト 1個
トマト酢または梅酢 大さじ1/2
酢 大さじ1/2
にんにく 小1かけ
ごま油 大さじ1
粗塩
完熟トマトをすりおろし、梅酢、酢、つぶしたにんにく、ごま油を加え混ぜてよく冷やす。にんにくを除いて器によそい、中心に五木豆腐を角切りにして盛る。
豆腐にごま油をかけ、粗塩をふる。
今回のお取り寄せ
![五木とうふ店](https://www.premium-j.jp/wp-content/uploads/2021/07/3ffa193cd763319be6a2f91662788ec1.jpg)
![五木とうふ店](https://www.premium-j.jp/wp-content/uploads/2021/07/3ffa193cd763319be6a2f91662788ec1.jpg)
豆腐
五木とうふ店
商品:五木豆腐
価格:350円
内容量:1丁(約700g)
消費期限:製造日+3日
昔ながらの木綿豆腐。
商品:なめらかとうふ
価格:200円
内容量:1個(約250g)
消費期限:製造日+9日
わさびや柚子胡椒を添えて、醤油やポン酢をかける他、きな粉と黒蜜をかけてデザートとしても。
燻とうふ(プレーン・小)
価格:300円
内容量:1個(約70g)
消費期限:製造日より90日
木綿豆腐水分を更に抜き、特製の漬込み液に漬け、五木村の桜の木でじっくり燻した豆腐の燻製。
豆乳
価格:350円
内容量:500㎖
消費期限:製造日+5日
さらりとした無調整豆乳。料理やお菓子、またそのまま飲んでもおすすめ。
料理家。熊本・taishojiにて料理教室や料理会などを主宰。新刊「トースト」(BON出版)、『料理集 定番』(アノニマ・スタジオ)、「旅と料理」(cccメディアハウス)、「taishoji cookbook 1.2」(晶文社)を発売中。
Photography by Ai Hosokawa
Premium Japan Members へのご招待
最新情報をニュースレターでお知らせするほか、エクスクルーシブなイベントのご案内や、特別なプレゼント企画も予定しています。
Stories
Premium X
細川亜衣のお取り寄せ料理帖
Premium X