京都は、どの季節に訪れても、その時々でまったく異なる表情を見せてくれる奥深い街です。夏の京都といえば、祇園祭のにぎわいに象徴されるように、華やかな催しが街を彩りますが、「星のや京都」には、静かで、涼やかな風が吹いています。今回、ひと足早く「星のや京都」がこの夏に提案する「奥嵐山の納涼滞在」と、会席料理「真味自在・夏」を体験してきました。酷暑を忘れさせてくれる、川のせせらぎと山の緑に抱かれ、心身共に爽快感を味わう旅。「星のや京都」宿泊記の第3回をお届けします。
「星のや京都」宿泊記 その1 「1000年前と変わらぬ嵐山の自然に溶け込む、水辺の別邸」の詳細はこちらをクリック
「星のや京都」宿泊記 その2 冷泉家当代夫妻の講話と手ほどきを受けて和歌を詠む貴重な体験、「奥嵐山の歌詠み」の詳細はこちらをクリック
奥嵐山という語感そのままに、ここだけの涼風が吹く「星のや京都」の夏
奥嵐山という語感に相応しい場所。それが「星のや京都」です。渡月橋から舟に乗り大堰川を遡ると、濃い緑に覆われた峡谷に沿うように建つ「星のや京都」が見えてきます。青もみじが優しく日差しをさえぎってくれる中、打ち水がされた館内を進んでいくと、気温がストンと下がったような、涼やかな心地に。まさに別世界。緑豊かな自然と静けさの中で過ごしたいという願いを叶えてくれる場所に、今年の夏も戻ってきました。
嵐山の舟待合から船に乗り込み約10分で「星のや京都」にたどり着きます。
かつて平安貴族の別荘地でもあった嵐山に位置する「星のや京都」。京都に息づく日本の伝統的な技法を用い、斬新な発想で造った風雅な空間。
戦前戦後、京都で活躍した庭師・小島佐一が100年前に作庭した歴史ある庭の意匠を残しつつ、コンテンポラリーな解釈を与えた革新的な「水の庭」。夏の夕べ、ここでシャンパンなど傾けたくなります。
全室リバービューの「星のや京都」。障子からこぼれる光や大堰川の眺めに感嘆の声を上げてしまいます。時を忘れてしまいそうになるこの部屋は「谷霞ダブル」。和と洋が同時に存在し、コンテンポラリーな美しさを際立たせているお部屋。
「星のや京都」の夏を彩る納涼プログラム「奥嵐山の納涼滞在」
涼を求めて、奥嵐山でひと夏を過ごした平安貴族のように過ごす……それが「奥嵐山の納涼滞在」のコンセプト。
チェックイン後、日の光も少し和らぎ始める頃、奥の庭にしつらえられた席で、特製かき氷をいただきます。だいだい色のシロップは、今では入手の難しい大和橘(やまとたちばな)で作ったもの。添えられた大和橙のコンポートは、酸味と甘み、柑橘特有の爽やかな香りを発し、かき氷と共に喉を通り過ぎれば、すーっつと身体の中を風が通り過ぎるような気分になります。
「奥嵐山の納涼滞在」で楽しめる特製かき氷。大和橘の柔らかな酸味がクセになりそうです。
川の向こう岸に見える山際は、ほんのりと紫と紺のグラデーションを見せ、なかなか夜の闇を連れてきません。19時、ようやく夜の闇が優勢になる頃、雅な屋形舟「翡翠」を貸し切り、嵐山の夏の風物詩である鵜飼鑑賞を楽しみます。日中、川下りをする舟やボートで賑わう大堰川ですが、鵜飼舟のかがり火だけが煌々と闇を照らし、打って変わった静けさに包まれています。
鵜匠の見事な手さばきを眺めながら、キリッと冷えた日本酒を酌み交わしつつ、鱧や稚鮎など、京都の夏の味覚が盛り込まれた、プログラム特製の「鵜籠膳」をいただきます。川風に吹かれて食すお弁当は、また格別。平安貴族たちも、夏の間はこんな風に過ごしていたのでしょうか。
夏の夜に大堰川に漕ぎ出でる屋形舟「翡翠」は船頭さんが手で漕ぐ和舟。
特製の「鵜籠膳」は、鵜飼舟に揺られながらいただきます。夜風に吹かれながら、日本酒も進みます。
清々しい空気の中、「奥嵐山の納涼滞在」の朝はストレッチから
早朝6時に実施されるストレッチに参加してみます。日中は舟が行き交う大堰川もまだ静かです。ヨガマットを引き、まずは呼吸法から。川面も木々もみずみずしく輝いています。深く息を吸い込み、吐く、その繰り返しするだけで、整っていくのを感じるはずです。
大堰川の静かな流れと共に、深呼吸しながらストレッチ。
ストレッチのあとは「納涼朝食」が待っています。「星のや京都」では朝食は部屋でいただけるのです。部屋の障子をあけ放ち、大堰川と山入端を眺めながらの朝食は、暑さの中でも食が進むように工夫されています。夜半に降った雨のしずくが緑をやさしくうるおしてくれたせいか、木々は夏の朝の日差しにきらめいて、この清々しく、晴れ晴れとした気持ちをどう表現したらよいでしょうか。いつもよりたっぷり時間をかけて、朝食を楽しみました。
鰻を乗せた山椒御飯など贅沢なものですが、鰻、鱧など、京都の夏の味覚を使いながら、涼やかな「納涼朝食」で食が進みます。
開発スタッフが語る「奥嵐山の納涼滞在」への思い
この夏、「奥嵐山の納涼滞在」を開発したチームの中心的働きを果たしたのは、「星のや京都」支配人の二宮知嵩さんです。「星のや富士」での勤務を経て、京都へとやってきた二宮さん。「星のや富士」でもプログラム制作に携わることはありましたが、今回はチームの中心となって初めて作り上げたのだそうです。この夏、鵜飼を取り上げたのはどうしてだったのでしょうか?
「星のや京都」支配人の二宮さん。「奥嵐山の納涼滞在」の考案、調整など、中心として活動しました。
「奥嵐山は、平安貴族が避暑に訪れて自然を楽しんだ場所です。千年の時が育んできた洗練された文化に浸り、優雅に過ごしていただきたい。そして『星のや京都』には、専用の屋形舟『翡翠』があります。嵐山の夏らしく、舟遊びで涼をお届けできたら……と考えたのが、鵜飼だったのです」
『星のや京都』のコンセプトは「平安貴族が興じた嵐山にたたずむ水辺の私邸」というもの。かき氷やストレッチ、納涼朝食など、ひとつひとつ「星のや京都」のコンセプトに添いながら、さまざまなアイディアをスタッフで出し合ったそう。
実際に体験してみて思ったのは、夏の京都の印象をも変えてしまうような、プログラムだったということ。奥嵐山に流れる時間のようにゆったりとして、唯一無二の夏の体験になりました。
「真味自在・夏」で表現する京都の夏の味覚
この夏の「星のや京都」には、お勧めしたいものがもうひとつあります。「真味自在(しんみじざい)」という「星のや京都」が贈る、日本古来の技法と現代の感性が融合した革新的な会席料理です。今回はペアリングとともに楽しめるとのことで、ダイニングへと向かいました。
和食の技法にこだわらず、海外の調味料や技法をも取り入れ、食べるたびに遊び心をくすぐられる、新しい発見に満ちた会席料理、「真味自在」のお料理の開発を担当するのは、星のや和食統括料理長 石井義博さん。そしてペアリングを担当するのは二宮知嵩さん。二宮さんは「星のや富士」に勤務していた際、日本ワインの魅力にハマり、ソムリエ資格を取得されたとか。今回の「真味自在・夏」では、お料理と飲み物、それぞれの魅力を高め合うように相談しながら、自由な発想で作り上げていったそうです。
シチリアの土着品種カタラット100%の「ムニール・ビアンコ 2023」のあとに、日本酒「七本鎗 純米渡船」がサーブされたりと、お料理と飲み物が自由自在に繰り出されて、味わいを深めてくれます。
先付の「鮑とろ」は、かの北大路魯山人も気の利いた玄人料理と紹介する料理。鮑の旨味に万願寺とうがらしの苦みがアクセントとなります。すっきりとシャープな味わいのシャンパン「アンリドノン ブリュット・セレクションNV」がよく合います。
牛ヒレ肉に玉蜀黍(トウモロコシ)とカルダモンを合わせて。ワインはカベルネ・ソーヴィニョン100%の「アナベラ・プラチナム 2020」をチョイス。カシスなどの果実味、ヴァニラの香りが鼻腔を抜け、心地よいタンニンと肉の旨味がマッチしています。
牛ヒレのコンソメ・ドゥブルの上に、蒸した賀茂茄子が浮かぶ、「紫紺」。爽やかさの中に牛コンソメの旨味が追いかけてくるユニークな美味しさ。ワインは続けて「アナベラ・プラチナム 2020」を。
「炭御飯」に鮎の塩焼き、嵯峨豆腐、粽など、最後のお食事まで意表を突くプレゼンテーションが楽しい。食中酒を目指した日本酒「高砂 純米大吟醸」を合わせて。
観光する京都から滞在する京都へ
「星のや京都」で避暑する夏
酷暑の夏から遠く離れて、緑豊かな静けさの中で深呼吸するような、そんなおだやかさをもたらしてくれる「星のや京都」の夏。大堰川から吹くさやさやとした涼風で、暑さに疲れた心身が癒されていくのを感じます。観光するだけの京都から、のんびり滞在して心をリセットする京都へ。この夏「奥嵐山の納涼滞在」なら、そんな京都を堪能できます。
青もみじと苔の緑が調和する「奥の庭」。木立の向こうは大堰川。
◆星のや京都「奥嵐山の納涼滞在」
・期間 2025年7月1日~8月31日
・料金 1名 121,000円、2名145,200(税・サービス料込)*宿泊料別
・含まれるもの 屋形舟「翡翠」貸切、鵜籠膳、納涼朝食、特製かき氷、赤紫蘇ドリンク
・予約方法 公式サイトにて7日前まで受付
・定員 1組1~2名
・対象 星のや京都宿泊者
・備考 場合により、開催日や開催場所、内容が変更になる場合があります。
◆星のや京都「真味自在・夏」
・期間 2025年7月31日~9月10日頃まで
・料金 1名24,200円 ペアリング1名9,000円 (共に税・サービス料10%込)
・予約方法 公式サイトにて前日まで受付
・対象 星のや京都宿泊者
・備考 状況によりメニューの変更、食材が一部変更になる場合があります。
photos by Azusa Todoroki
text by Sakurako Miyao
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