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「光る君へ」言いたい放題レヴュー

2024.3.7

「光る君へ #9 遠くの国」私たちはエロスとタナトスの「源氏物語エピソードゼロ」を見ている!

「源氏物語エピソードゼロ」を見ているんだな……と。

 

こんにちは、今週の担当・編集N子です。大谷翔平が結婚したというニュースに激しく落ち込んだ気分を引きずっており、レヴューを書く気がなかなか起きませんでした。すみません。

 

 

今週は、M男氏が期待する「権謀術数渦巻く平安貴族のドロドロぶり」が、もり沢山でした。兼家は仮病だし、道兼も虐待を装って花山天皇をたぶらかしはじめるし。それぞれが欲望まみれです。




しかし、今週も奇想天外な平安時代でした。まひろさん、盗賊一味と間違えられて、まさかの逮捕。手を縛られて引っ立てられてましたよ。すごいなあ。しかし、今週は何と言っても、直秀の退場ですよ。まさかこんなに早くいなくなってしまうなんて。大谷翔平も結婚するし、直秀も退場だし、足元から崩れ落ちました。

 

 

直秀とその愉快な仲間たちは、さまざまな思惑の相違によって、鳥辺野で処刑されてしまいます。「源氏物語」でも桐壺更衣や葵上が葬られた場所です。道長とまひろのふたりが、直秀一行を探して森を抜けていくシーンは、歌舞伎で言えばまるで道行。ロマンティックではないですか!

 

森を抜け、そこでふたりが見たのは、時すでに遅し、こと切れていた直秀たちでした。良かれと思った行為が、彼らを死に追いやったことを悔やんでも悔やみきれない道長は、まひろとともに土を掘って、彼らを葬ります(素手で掘るから大変だよ……)。

 

こういうエピソードひとつひとつが、のちの道長の栄達への、そしてまひろの創作することへのモチベーションに繋がっていくようです。そして彼らの結びつきをより強くしていくことになるというね。初恋は忘れ難いものなのです。






道長、まひろ、倫子さんのラブ・トライアングルがにおいだした

 

 

今週、倫子さんは心ここにあらずの様子でした。三郎君こと道長のことが頭から離れないのです。まひろはまだそれに気づいていませんが、そう遠くないところで、このトライアングルが露呈するのでしょうか?キャー、まひろの心を思うと、今から苦しい。つらい。まひろさんは道長が自分のものにならないことは理解しているんです。でも誰かのものになってしまったら……? 心は乱れまくりますよ。

 

 

彼が自分のものにならなくてもいい。でも、誰かのものなるのはいや! 日本中の、否、世界中のおなごどもが大谷翔平の結婚を悲しんだのもこういう感情ですよね。

 




道長とまひろには、いつも死が関係している

 

 

今週見ていて気が付いたのは、道長とまひろには、いつも死が関係しています。まひろの母が道長の兄に殺されたこと。ふたりの逢引は、「源氏物語」では夕霧が死去する場所、荒れ果てた六条邸であること。処刑された直秀たちを鳥辺野で葬ったこと。幼いふたりのエピソードには、いつも死がそばにあります。この先のふたりの行く末がハッピーではなさそうな、そして簡単には切れない絆というか、腐れ縁は必定のような。そんな複雑な関係を思わせてきます。

 

「源氏物語」も、死を多く扱う物語です。桐壺、葵の上、夕霧など、何人も死をもって物語を去っていく。その侘しさは、こういうエピソードが元になっていくのかな?と思わせます。




はっ!これはもはや「源氏物語エピソードゼロ」なのか?
「ヤング藤原道長」なのか?

 

 

毎週現れるエピソードのひとつひとつに、われわれが知っている「源氏物語」知識、平安時代の歴史知識をあてはめて見ていて、あーでもないこーでもないと言っているわけですが、これは毎週毎週、「スターウォーズ エピソードゼロ」ならぬ、「源氏物語エピソードゼロ」っつーか、「ヤングシャーロックホームズ」ならぬ「ヤング藤原道長」を見せられているということですよね。架空の、物語の前の、誰も語ってこなかった物語。まあ、だから奇想天外な平安時代が描かれても仕方ないっすね。




予告編にドキッ。
エロスとタナトスのガチンコ勝負や!

 

来週の予告編では、道長とまひろが!あれぇ~~~となっていました。たぶん。そうであってください。道長とまひろ、結婚することはなくても、初恋は成就してほしいです。でも厄介な絆のふたりですよね。初恋だわ、ふたりだけの濃い思い出満載だわで、本妻となる倫子さん的には、すごく不愉快でしょうね。遊びの相手なら許すけど、まひろは別格ですもん。

死がいつもそばにある訳ありな恋愛。エロスとタナトスを道連れにして、エピソードゼロを突っ走っていてください!




 

 

 

 

「光る君へ」言いたい放題レヴューとは……

Premium Japan編集部内に文学を愛する者が結成した「Premium Japan文学部」(大げさ)。文学好きにとっては、2024年度の大河ドラマ「光る君へ」はああだこうだ言い合う、恰好の機会となりました。今後も編集部有志が自由にレヴューいたします。編集S氏と編集Nが、史実とドラマの違い、伏線の深読みなどをレビューいたしました!

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