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「光る君へ」言いたい放題レヴュー

2024.1.22

大河ドラマ「光る君へ #3 謎の男」まひろ・吉高由里子は水戸黄門だと思って見るわ

「温かく見守りたい」のは山々なれど

 

今週の担当は編集 N です。先週、編集S氏は「温かく見守りたい」と寛大なお気持ちを示されていましたが、やっぱり私はまだ気になっています。貴族の娘が街中をひょいひょい闊歩、絵師の店先で代筆業を営み、お金を稼ぐ???舞台は平安時代ですよ?江戸の町娘じゃないんですから。あんなに自由に動き回れるはずがないし、その窮屈な生活の中で、最高傑作『源氏物語』が作られたというのが、私はそそられるのですが。





まひろは、水戸黄門だと思うことにする!

 

 

今回の「謎の男」も、のっけからびっくり設定でした。平安時代って紙が超貴重品だったんですよ。『枕草子』だって『源氏物語』だって、大量に紙を供給してくれるパトロンがいなければ、書くことはできませんでした。なのにまひろったら、貴重な紙に三郎の似顔絵(まったく似ていません)を描き、弟・藤原惟規に探しにいけと命じるのです。一事が万事、そういう調子。

 

 

…… しかし、私はやっと諦めることができました。そうこれは、『水戸黄門』を見ていると思えばいいのです。越後のちりめん問屋のご隠居に身をやつした、天下の副将軍・水戸光圀が日本国中の漫遊する、ロングランTV時代劇。あれです。本当の水戸光圀は漫遊や、そのついでに世直しなどしているわけがありません。でもそういう架空の設定となって、時代劇として愛されている……。吉高由里子さん演じるまひろは、水戸黄門さまだと思うことにしました。まひろさん、越後のちりめん問屋のように、平安京を自由に生きてください。

 

 

でもやっぱり、これからもトンデモ設定にいちいち目くじら立ててしまうかもしれません……。その時は、どうトンデモなのかをご説明(揚げ足を取るとも言います)いたします。

 



恋のライバル・黒木華さん演じる、源倫子とバッチバチに?!

 

 

今回は、黒木華さん演じる源倫子が登場しました。のちの道長の正妻です。まひろに「空気を読めよ!」と内心思いながら、にこやかに接してくれる高貴な倫子さま!空気を読む気配をみじんも見せないまひろ!正反対な女子の今後の展開は、ちょっとワクワクいたしました。これから、道長を挟んで、異なる人生を歩いていくふたり。楽しみです。

 

 

来週の予告を見ると、倫子の父・左大臣の源 雅信は、倫子を入内させたそうでした。左大臣の娘とあれば、「后がね(きさきがね)」と育てられていたはずです。后がねとは、将来、天皇に入内することを期待して、そのための教育を受けてきた貴族の娘のことです。倫子もおそらく、内心その気だったと思います。しかし入内のチャンスを逃して、結果、道長に嫁ぐという展開になるのでしょうか。

 

 

そういえば『源氏物語』でも、光源氏の正妻・葵の上は、左大臣の娘であり后がねとして育てられてきた人でした。でも父の思惑で、光源氏の正妻になることに。葵の上が光源氏に心を開けなかったのは、年上であることと、本当なら入内も期待された后がねだったのに!という、屈託のせいでした。当時、入内することが女の人の大出世の道だったので、いくら今をときめく光源氏の妻とはいえ、頭を切り替えるのは難しかったのかもしれません。このあたり、今後の展開に期待です。

 



円融天皇を演じる坂東巳之助さんの演技が、素晴らしいと思います。天皇という、実態のない権力者の、ふとした時に見せる空虚さと狡猾さ。毎回、うまいなーと感服します。そして、いずれまひろの夫となる、佐々木蔵之介さん演じる藤原 宣孝も世事にたけていて、おおらかで、良い味です。この人が出てくると画面が締まります。安心します。

 

 

 

水戸黄門風味ではありますが、やはり『源氏物語』に魅力があるからこそ、物語が拡大していくのだと思うと、久しぶりに『源氏物語』を読んでみたくなってきた……!

 



 

 

 

 

「光る君へ」言いたい放題レヴューとは……

Premium Japan編集部内に文学を愛する者が結成した「Premium Japan文学部」(大げさ)。文学好きにとっては、2024年度の大河ドラマ「光る君へ」はああだこうだ言い合う、恰好の機会となりました。今後も編集部有志が自由にレビューいたします。編集S氏と編集Nが、史実とドラマの違い、伏線の深読みなどをレビューいたしました!

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