九島辰也連載 アウトランダー
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カーライフその先の未来へ

2025.1.21

新アウトランダーPHEVに注目するのはカスタマーか、はたまたあの二社か?











日本の自動車業界に新風は吹くか? あらたな可能性への期待

 

昨今の自動車業界の話題はホンダと日産自動車の経営統合話だろう。日産が筆頭株主をつとめる三菱自動車まで巻き込んでの騒動となった。ニュースに流れるとすぐさま三社揃い踏みで記者会見を開催。いろいろな憶測が流れる前にオフィシャルのコメントを出そうという考えだ。メディアとしてその模様をライブ配信で見たが、まだまだ不透明な部分が多く、今後の動きに注目したい。





ただ、今どきの経営統合はひと昔前の合併と違い、ホールディングス会社を備え、それぞれのブランドは守られるパターンは多い。共同開発やパーツの共有化が行われてもブランドは存続されるだろう。両者ともにこれまでも技術提携をはじめいろんなパートナーと仕事をしてきたことを鑑みれば、現場は柔軟にこなすかもしれない。

日産はルノーとパーツの共有を行い、メルセデス・ベンツからエンジンを買ったりしてきた。ホンダは現在燃料電池部門でGMと共同開発を行なっている。技術提携は現場よりの話で、資本提携は経営の話になるが、いずれにせよ文化の異なる企業が協業するのだから問題が起こらないわけがない。






とはいえ、そこから生まれるポジティブな副産物もあるのは忘れてはならない。自動車業界を俯瞰して見る立場からして、そんなところに期待したい。マセラティにフェラーリのエンジンが積まれたことがあるのもそんな一例。この業界、副産物が時としてクルマ好きを楽しませたりする。

 








マイナーチェンジで魅力が増す、アウトランダーPHEV

 

なんて話はこれくらいにして、今回は三社の一角を担う三菱自動車にスポットを当てたいと思う。モデルはアウトランダーPHEV。2021年末から販売をスタートし、昨年10月にマイナーチェンジが発表された。





ボディサイズは全長4720mm×全幅1860mm×全高1750mm ボディサイズは全長4720mm×全幅1860mm×全高1750mm

ボディサイズは全長4720mm×全幅1860mm×全高1750mm








改良された箇所は多々ある。中でも日々進化する技術を用いてアップデートしたところに注目したい。具体的にはリチウムイオン電池がそれに当たる。駆動用バッテリーを刷新することで、EV走行距離を100キロ以上にしたのだ。これまでも80キロはあったのでそれで十分な気がしていたが、メーカーはあえてそこにこだわった。きっとこれなら平日の走行は電気だけ、なんてことになるだろう。週末の温泉旅行で久しぶりにエンジンがかかる、なんて感じだ。




アップデートはインターフェイスも行われた。センターモニターは9インチから12.3に広がり、コネクティッド機能が拡充されている。なんたって“ストリートビュー”や“航空写真ビュー”も見られるから楽しい。ガジェット感が強まった。





センターモニターのディスプレイサイズが12.3インチに拡大 センターモニターのディスプレイサイズが12.3インチに拡大

センターモニターのディスプレイサイズが12.3インチに拡大






オーディオの性能を向上させるため、ドアまわりのデットニングなど遮音性や防音性を高める処理が行われている。 オーディオの性能を向上させるため、ドアまわりのデットニングなど遮音性や防音性を高める処理が行われている。

オーディオの性能を向上させるため、ドアまわりのデットニングなど遮音性や防音性を高めている




また、今回のモデルチェンジでは、トップグレードに魅力的な仕様が用意されている。ヤマハと共同開発したオーディオシステムを搭載したモデルで、“ダイナミック・サウンド・ヤマハ・アルティメット”と“ダイナミック・サウンド・ヤマハ・プレミアム”の2種類だ。前者が12個のスピーカー、後者が8個のスピーカーを搭載する。
スピーカー自体クリアなサウンドを再現するのは言わずもがな、速度に応じて自動でボリューム調整したり、ノイズ低減をしたりする。試乗会では「聴き比べ」を体験したが、その仕上がりは、一“耳”瞭然であった。






価格は、M526万3500円にはじまり、G587万9500円〜、P631万4000円〜で、P Executive Package659万4500円〜。 価格は、M526万3500円にはじまり、G587万9500円〜、P631万4000円〜で、P Executive Package659万4500円〜。

価格は、M526万3500円にはじまり、G587万9500円〜、P631万4000円〜で、P Executive Package659万4500円〜




そんな新型の印象はデザインコンセプト通り「威風堂々」。押し出しの強いフロントマスク、存在感の強いスタイリングがそれを感じさせる。また、今回見直された足回りから生まれる乗り味もそんな感じ。乗り心地は上質で、しっとりしていて高級感を醸し出す。それでいてアクセルを踏み込めばスポーティな踏ん張りのある足捌きを見せつける。この辺の味付けはヨーロッパ車的だ。今回のモデルチェンジからヨーロッパでの販売が行われたことで、速度域の高いアウトバーンでの走行も視野に入れてサスペンションの開発が行われた。




そんなアウトランダーPHEVは三菱自動車の屋台骨の一角を担っている。グローバルで台数を稼いでいるのは、このクルマとピックアップトラックのトライトンなのだ。その意味ではホンダも日産も注目すべき一台と言える。事実、両ブランドとも現在このPHEVカテゴリーのSUVをラインナップしていない。

 

 

※本記事は、日本仕様車をテストした日本市場向けのレポートです。




九島辰也 Tatsuya Kushima

 

モータージャーナリスト兼コラムニスト。現在、サーフィン専門誌「NALU」のメディアサイト編集長、メディアビジネスプロデューサーを担当。これまで多くのメンズ誌、ゴルフ誌、自動車誌、エアライン機内誌などの編集長を経験している。メディア活動以外では2024-2025日本カーオブザイヤー選考委員、(社)日本葉巻協会会員、日本ボートオブザイヤー選考委員、メンズゴルフウェア「The Duke`s Golf」のクリエイティブディレクターを務めている。

 

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