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カーライフその先の未来へ

2025.5.29

新型「MINI JCW(ジョン・クーパー・ワークス)」の試乗で見えた“深化”と“進化”とは











“プレミアム”と“ラグジュアリー”は似て非なるものだ。自動車業界に身を置くと時としてこの二つが重なることがある。スーパーカー系は特にそうだろう。が、常にそうとは限らない。“プレミアム”は、より希少性が高く、“ラグジュアリー”とは異なる点でブランドバリューを高める効果がある。MINIのハイパフォーマンスモデル「JCW」はそれに該当する。この唯一無二の存在感はまさにプレミアムと言えるシロモノだ。

 





サーキットでも走れるMINIJCWの実力を実感

 

「JCW」は「ジョン・クーパー・ワークス」の頭文字となる。1960年代MINIをベースにラリーカーをつくったガレージのことだ。ガレージとは今でいうレーシングコンストラクター。ジョン・クーパー・ガレージは当時グランプリレース(今日のF1)に参戦していたチームである。

それが発売されたばかりのMINIに目をつけチューニングを施した。そして1960年代のモンテカルロラリーで輝かしい成績を残したのである。

といった背景のもと、現在もその名前をつけたモデルが販売されている。スタンダードモデルのMINIをスポーティにチューニングしたモデルだ。もちろん日常使いを前提に市販車として売られている。が、それをサーキットに持ち込むことも可能。英国ではワンメイクレースの“ミニチャレンジ”が行われている。

 

 

先日そんなモデルのステアリングを握った。場所は英国コッツウォルズ。MINIのホームタウン、オックスフォードにも近いカントリーサイドの街だ。マナーハウスで知られるそこは日本人観光客が多いエリアである。

今回4つのモデルを一気に試乗したが、クルマはベース車両で大きく二つに分けられる。ガソリンエンジンのハイパフォーマンス版となる3ドアハッチバックとコンバーチブル、それと電気で走るピュアEVの3ドアハッチバックと電気専用車のエースマンだ。

 






MINI JCW エレクトリック ブレイジングブルー 車両本体価格は616万円。 MINI JCW エレクトリック ブレイジングブルー 車両本体価格は616万円。

MINI JCW エレクトリック ブレイジングブルー 車両本体価格は616万円。






その中の目玉はというと、やはりピュアEV。これまでJCWはガソリンエンジンをベース車両としてきたが、今回初めて電気自動車を手がけた。今後こういったモデルが増えてくる確率は高そうだ。

電気自動車ベースでつくる難しさはいろいろある。車体が重く、重心とロールセンターの位置関係が決めづらいからだ。さらに言えば、エースマンはホイールベースが長い分これまでのJCWらしさを再現するのが難しい。開発陣へのインタビューではその辺の話が強調された。







事実、彼の話を聞いているとエースマンJCWは自信作ではありながら、メディアからのフィードバックは賛否両論だった。クイックなハンドリングと素早く反応するボディがウリのJCWにおいて、「らしさ」が薄まっているという評価だからだ。それに乗り心地もこれまでのような硬さではなく、ホイールベースが長い分フラットな路面ではしなやかさが前面に押し出されている。






MINI JCW エースマン ブリティッシュレーシンググリーンIV 車両本体価格は641万円。 MINI JCW エースマン ブリティッシュレーシンググリーンIV 車両本体価格は641万円。

MINI JCW エースマン ブリティッシュレーシンググリーンIV 車両本体価格は641万円。

 






センター・ディスプレイには、クラシックなスピードメーターが表示されている。 センター・ディスプレイには、クラシックなスピードメーターが表示されている。

センター・ディスプレイには、クラシックなスピードメーターが表示されている。







新世代に向かう技術と発想は、大人の遊び心と余裕も共存だ

 

ただ、個人的には逆にそれが良いと感じた。これまでのJCWとは異なる新しいフィーリングを得たからである。つまり、スポーティさ一辺倒だったセッティングに乗り心地の良さが加わっている。

思うにこれが正真正銘の“進化”ではないだろうか。常に同じベクトルに向かうのであれば“深化”だが、総合的に新しさを見出すのであれば“進化”といった方が適切な気がする。そしてそれはどちらが正解というのではなく、開発陣が時代を読んで決めれば良いだけのことである。

その観点からすると今回乗ったガソリンエンジン車は“深化‘であり、電気自動車は”進化“のような気がする。彼らが培ってきたこれまでのノウハウが、新たなテイストを生み出した。テクニカルな話はさておき、それぞれが個性的に仕上がっているのは間違いない。

 




もちろん、こうしたクルマが誕生した背景には、MINIの哲学がある。それは常に時代と共に進化し、我々をいい意味で驚かせてくれるというものだ。そしてそこにこれまでJCWを開発してきた見識とBMWテクノロジーが組み込まれる。後者は母数の多さとフィールドの広さの面で相当役立っていることだろう。

 

ということで、今回は新世代に突入したMINI JCWについて考察してみた。日本でも人気のモデルだけに、これから話題になるのは必至。JCWのプレミアム感がこれまでいろんなクルマに乗ってきた大人に刺さるのは明白だろう。コンパクトで、走って楽しく、さらにプレミアムなのだから百戦錬磨のカーガイも気に入るはずだ。

 

 








力強い走りと個性的なデザインが魅力 力強い走りと個性的なデザインが魅力

力強い走りと個性的なデザインが魅力のMINIが並ぶ。





九島辰也 Tatsuya Kushima

 

モータージャーナリスト兼コラムニスト。現在、サーフィン専門誌「NALU」のメディアサイト編集長、メディアビジネスプロデューサーを担当。これまで多くのメンズ誌、ゴルフ誌、自動車誌、エアライン機内誌などの編集長を経験している。メディア活動以外では2024-2025日本カーオブザイヤー選考委員、(社)日本葉巻協会会員、日本ボートオブザイヤー選考委員、メンズゴルフウェア「The Duke`s Golf」のクリエイティブディレクターを務めている。

 

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