日本に上陸した、アメリカンラグジュアリーの実力
日本にいるとわかりづらいが、キャデラックは元気である。あのアメリカを代表した往年の輝きが薄らいでしまったのは否めないが、北米におけるブランドバリューは今も生きている。
それを証拠に、アメリカ国内でのラインナップは充実している。日本ではセダン系が姿を消し、SUVラインナップのみで構成されるがあちらはそうじゃない。SUVは当然のことCT4やCT5といったセダン系は健在で、ハイパフォーマンスモデルのVシリーズも好評を得ている。キャデラックレーシングのレース活動からも裏付けられるように、レーシーな走りが高い評価を得ているようだ。そのキャデラックレーシングは2026年からF1に参戦するのだからニュースは尽きない。
アメリカでは2024年に発売となっており、GMのBEV戦略の柱となるモデル。
そんな中目立つのがBEVシリーズ。今回ここで注目するリリックの他に、オプティック、ヴィスティック、エスカレードIQがある。BEVでサイズ展開を行っているのだ。本国にはリリックにもVシリーズがあるのだから恐れ入る。
では日本はというと、BEVマーケットが活発でないこともあり、リリックのみとなる。しかもワールドプレミアからずいぶん経った今年3月の発売開始というのが現状だ。
なので、キャデラックについて多くを語るメディアは少ないが、今回リリックを目の当たりにして感じたのはデザインの圧倒的な強さ。キャデラックの伝統を取り入れながらの新しい提案が魅力的に感じられた。
全長4,995mm、全幅1,985mm、全高1,640mm。
歴史あるキャデラックが描いた未来に向けた走り
それはスタイリングから醸し出していて、プロポーションはクロスオーバー的なのだが、ボンネットは低くスポーティなイメージを見る者に与える。いわゆる“ロー&ワイド”な感覚だ。ボディにデコラティブな装飾はなくシンプルな面構成で成り立たせている。それでいて、キャデラックらしさも備わるのはさすが。フロントのLEDでデザインされた縦に光るシグネチャーライトは彼らのアイデンティティを表現する。
リアへまわってもそうだ。低い位置にある縦長LEDリアコンビネーションライトは1967年型のエルドラドをオマージュした。「黄金郷」と名付けられたビッグクーペが当時のキャデラックの象徴的な存在であったことを表現しているのだ。サイズは全長5m弱、全幅2m弱。BEVシリーズの中ではエスカレードIQに続く大きさとなる。
日本市場向けに右ハンドルも用意されている。
パワーユニットは2モーターで駆動させるBEVで、最高出力は384kW、最大トルクは610Nmを発揮する。前後輪に1モーターずつ配置するAWDシステムだ。ロングホイールベースに収まるリチウムイオンバッテリーの容量は95.7kMh。一充電あたりの走行距離は510kmに達するというから悪くない。通常の使い方であれば一週間に一度の充電ですみそうだ。充電は100Vまたは200Vの普通充電と日本仕様の急速充電に対応する。
33インチ湾曲型LEDディスプレイは圧倒的な映像美を実現。
インテリアは33インチのアドバンスドカラーLEDディスプレイが目をひく。湾曲されたそれは先進的なものだ。シリコンバレーを有する国の産物といったところだろう。それでいて、ウッドパネルとのコンビネーションもキレイにおさめている。この辺はラグジュアリーブランドとして積み重ねてきた一日の長だろう。新時代の高級感がそこにある。
では走らせた印象だが、テスラのような電気モーターの特徴を引き出した走りとは少々異なる。ドライブフィーリングはもっとガソリン車に近く、大排気量エンジンを動かしているような味付けだ。トルクの出方も自然で、いきなりピーキーに加速したりはしない。長く乗っているとモーターで駆動していることを忘れてしまうほどだ。
もちろんそれはデフォルトとなる「ツーリングモード」で走っている時であって、「スポーツモード」にすれば走りは一変する。よりレスポンスはよくなり、BEVらしい加速を体感させてくれる。ドライブモードはこの他に「スノー/アイスモード」と「マイモード」がある。「スノー/アイスモード」が挙動の変化に対して早目の制御が入るので、雨の日にもより良い効果を発揮してくれそうだ。
といったキャデラック リリックの価格は1100万円。他人とはひと味違う高級BEVを探している方は一考する価値がありそうだ。
九島辰也 Tatsuya Kushima
モータージャーナリスト兼コラムニスト。現在、サーフィン専門誌「NALU」のメディアサイト編集長、メディアビジネスプロデューサーを担当。これまで多くのメンズ誌、ゴルフ誌、自動車誌、エアライン機内誌などの編集長を経験している。メディア活動以外では2024-2025日本カーオブザイヤー選考委員、(社)日本葉巻協会会員、日本ボートオブザイヤー選考委員、メンズゴルフウェア「The Duke`s Golf」のクリエイティブディレクターを務めている。
Premium Japan Members へのご招待
最新情報をニュースレターでお知らせするほか、エクスクルーシブなイベントのご案内や、特別なプレゼント企画も予定しています。
Stories
Premium X
カーライフその先の未来へ
Premium X































