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2024.7.15

まひろの子は元カレ道長の子!一条帝と定子の運命は?今週も大荒れです

「光る君へ #27 宿縁の命」あらすじ&今週も言いたい放題
やっぱりまひろは道長の子を妊娠!今週は大荒れです!






今週のお当番のN子です。やっぱりね!私は絶対にそうなると思っていました!石山寺での偶然の再会、そして旧交を温めてさよなら、となると思いきや、まさかの一夜の情事からの、まひろの子の父親は道長だったんです!

 

 

今回のテーマは「宿縁」。まひろと道長の縁を芯に、さまざまな縁が繋がり、かつ大混線です。道長と倫子、彰子との縁。そして一条帝と母・詮子との縁。一条帝と定子の縁。定子とまひろが授かる新しい命。そしてなんといっても、まひろと宣孝の縁ですよね。

 

「宿縁の命」という、タイトルが幾重にも意味を重ねていく、今週もなかなかの展開でした!




「源氏物語」を書き始めた場所・石山寺での情事。
張り巡らされた伏線にワックワク!






石山寺での道長と再会と情事、やけぼっくりに火がついたとよく言われますけど、とてもロマンティックに描かれていましたね。でも道長、ひとりでふらっとやってきたようでしたよ?(そんなアホな)。まひろだって、いとや乙丸たちはどうした??? つまり、お供のみーんな周知の情事ってことかしら?

 

 

でも、石山寺っていうのがミソですよね。石山寺は紫式部が「源氏物語」を書き始めたと言われているお寺。この一夜の情事を思い出しながら、筆を執り始めるのかしら……。美しい越前和紙で物語や歌を書きたいって道長に言っちゃってるし……。伏線回収フラグが立ちまくりです。






不実な女・まひろを愛し受け止める
器の大きさを見せる宣孝!





石山寺から戻り、まひろは宣孝と仲直り。道長との偶然の逢瀬を楽しんだ後ですしね。気分は相当リフレッシュしているまひろです。先々週、いとから夫婦としての心得を諭され、宣孝に殊勝な様子を見せ、心を通わせます。何度も言いますけど、まひろ、気分転換できてますから。束の間、夫婦生活におだやかな時間が流れていきました。

 

 

そんなまひろ、体調の変化から妊娠とわかります。いとが逆算すると、あー!ちょうど宣孝がまひろを訪れていなかった時期だわ……。もう心当たりありまくり! でも宣孝には行けるところまで、だまし通すことをまひろに進言します。宣孝に妊娠を告げると大よろこび。でも宣孝は、まひろの子は誰の子か薄々気付いていることも、まひろはわかっています。

 

 

でもまひろって真っすぐな性格の女(やっかいだわ)。

 





睡眠時無呼吸症候群であることが今回バレた宣孝を起こして、お別れしてひとりで子どもを産み育てると宣言するのですが……。「そなたの産む子は誰の子でもわしの子だ。一緒に育てよう。それでよいではないか」と、まひろに不敵な笑みで返します。

 

「わしのそなたへの想いは、そのようなことで揺るぎはせぬ。何が起こるとも、お前を失うよりはよい」

 

……ってすごくないですか?

 

お腹の子の父親が道長であることもわかっている。子どもを慈しんで育てれば、自分も道長に目をかけてもらえるっていう打算もある。それでもまひろをどん!と受け止めて、大切にしてくれる宣孝の愛が大きすぎて、深すぎて、テレビの前で大河ドラマを視聴している全女子が、宣孝の前に屈服ですよ。降参ですよ。全肯定にもほどがありますよぉ!






イケメンから熟成肉のかほりへ
56歳の佐々木蔵之介だからできる演技

 

にしても、佐々木蔵之介さんが今回はいい味でした。佐々木蔵之介さんって、シュッとしたイケメンですけど、そんな彼も齢(よわい)56歳。やっぱり道長役の柄本佑さんと比べると、イケメンぶりにも陰りがあります。

 

 

でもむしろそれがいい。それが宣孝に重なる。酸いも甘いも知り尽くし、清濁併せ吞む大人の余裕が表現できている、と思いました。吉高由里子さん演じるまひろの蒼さとかたくなさを、しっかり受け止める難しい役です。まさに寝かして美味しくなった熟成肉のよう。若さにはない魅力がありました。

 

でもですよ。この「光る君へ」の世界においては、「源氏物語」で藤壺女御と光源氏の密通に、桐壺帝は気付いていたって解釈になるってこと? なかなかスリリングな解釈だわ。気に入った!

 

 

しかし今回は、宣孝に器の大きさを見せつけられました。キャー。





入内するっていうのに!どうにもならない彰子さま!
政治的思惑も入り乱れて





今回も彰子さまのご様子がもどかしいばかり。明るさも、屈託のなさもなく、聡明さも感じられないのです。入内したばかりの頃の定子さまの明朗快活なご様子とは大違い。お母さまの倫子さんも「明るさがほしい。声をもっと出させたい」と願っていますが、ダメ。彰子さま、暗いのよねえ。教育係の赤染衛門もお手上げです。

 

 

周囲のやきもきした様子とは別に、入内プロジェクトは進行中です。お嫁入りのお道具の屏風に、公卿たちの和歌を貼り付けて、一条帝に彰子、ひいては道長の威光を見せつけるという道長のアイディアには、政治的な思惑がギラギラしています。でもこれは史実。またロバート秋山さん演じる藤原実資は、道長からの要請を本当に断っています。

 

 

なのに一条帝の彰子さまへの視線が冷たいこと冷たいこと。自分は無能な帝だと、道長はじめ公卿たちから思われているとわかっていますからね。彰子の入内は許し、女御にも取り立てますが、心は断固として拒絶している。ここから彰子さまはどのように巻き返すのか。彰子さま入内プロジェクトは、やはりまひろさんが女房として宮仕えするところから本格的になりそうです。





定子さま、皇子を出産
一条帝の寵愛の理由とは





定子さまはとうとう皇子をご出産されます。めでたしめでたし、とならないのがお気の毒です。一条帝は定子さまを溺愛されていますが、その愛の真実とは、母・詮子さまの支配から逃れるためと告白してしまいます。

 

 

詮子さまだって、強烈な権力志向の父・兼家のために政治の道具にされ、円融帝からは疎まれ、苦渋の人生を送ってきたのです。でも、ある意味、嫌いな父・兼家と同じことを息子である一条帝にしていたことを突きつけられ、滂沱の涙を流す詮子さま。呆然です。そして自分の人生、そして自分の子育て、失敗なの???ってもうツラすぎ!





定子さまが皇子を出産して、色めき立つのは兄の伊周と隆家のふたりです。皇子が東宮になったら、道長勢に勝てる!と取らぬ狸の皮算用ですが、もちろんそうはいきません。定子さま、たぶん来週お別れだな……。

 

 

しかし、今年の大河ドラマ「光る君へ」の功績のひとつに、一条帝と定子さま、彰子さま、この3人の存在を明確にしたことだと言えますね。はっきりとこの3人と「源氏物語」との関係性が結び付けられている二次創作って見たことがなかったかも。とてもわかりやすかったし、なんだかすでに「源氏物語」を読んだような気さえします。大石静さんの脚色の妙ですね。






まひろの子は道長の子!
「源氏物語」で描かれる因果の輪舞





史実を紐解きますと、紫式部の娘の賢子は、母を上回る大出世をします。18歳で母の後を継ぎ、彰子の女房に。道兼の次男・兼隆と結婚。娘を出産後、後冷泉天皇の乳母になったことにより、従三位に叙爵します。母に似て賢く、歌の才能もあって、恋多き女だったそうです。

 

 

「光る君へ」の世界においては、まひろと道長の娘ってことは、すごいカルマじゃないですか? この子は長じて、まひろの母を殺した道兼の息子と結婚します。そもそも、母の仇の弟・道長とソウルメイトのまひろもすごいし、この母娘の今後も気になります。

 

 

先々週のお当番のM男さんが、「源氏物語」は不実の子が多いことを受けての設定なのかな?と書いていました。確かにそうですね。そして「源氏物語」の中で繰り返される業(ごう、カルマ)、因果応報ってことですよね。

 

 

「源氏物語」では、光源氏は藤壺との間に生まれた子・冷泉帝とのことで悩み、晩年に女三宮と柏木の密通を知り悩む。世代を超えて、立場を変えて、同じ過ちを犯し苦しみます。きっと、「光る君へ」の今後も、この因果応報が繰り返されていきそうです。

 

 

道長は、あれほど忌み嫌った父・兼家と同じように権力闘争に明け暮れ、兄・道隆と同じように糖尿病で苦しむでしょうし、一条帝と母・詮子さまが感情のもつれを経験するように、彰子は、父・道長と政治的に対立します。






しかし、今週は面白かった!何といってもハイライトは、石山寺の情事と、宣孝の人間の大きさかな。どんどん面白くなってきましたし、これから加速的にエグイ展開になっていきそうです!熟成肉は大好物です!











「光る君へ」言いたい放題レヴューとは……

Premium Japan編集部内に文学を愛する者が結成した「Premium Japan文学部」(大げさ)。文学好きにとっては、2024年度の大河ドラマ「光る君へ」はああだこうだ言い合う、恰好の機会となりました。今後も編集部有志が自由にレヴューいたします。編集S氏と編集Nが、史実とドラマの違い、伏線の深読みなどをレビューいたしました!

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