「光る君へ」言いたい放題レヴュー

Lounge

Premium Salon

「光る君へ」言いたい放題レヴュー

2024.7.2

愛娘・彰子の入内で悩める道長サマが、なんと石山寺に降臨! 停滞の越前編から驚愕の展開に!



「光る君へ #26 いけにえの姫」あらすじ&今週も言いたい放題
道長サマが石山寺にまさかの降臨!! 驚愕の展開


今週のお当番のM男です。まず、お詫びしなければならないことがあります。それは宋の薬師、周明こと松下洸平さんのことです。前々回、M男は「周明はまだ登場する。なぜなら俳優としての格が高いから」なんて書きましたが、まったく見当違いでした。越前編と共に去りぬでした。失礼しました。よく考えてみれば、当たり前ですね。申しわけございません。わが身の見識のなさに、恥じ入るばかりです。

 

今週からは停滞の越前編を脱出し、再び京へ。俄然面白くなってきました。最後には衝撃的シーンもありました。もう驚いたのなんのって。それに関しては後ほどたっぷりと。


道長は、権勢掌握のために娘を入内させたにあらず?


「いけにえの姫」なんて、どっきりするようなタイトルでしたが、とうとう道長の娘、彰子が入内します。道長は苦渋の決断です。倫子は「私を殺してからにしてください」と、ちょっと大袈裟なセリフで反対します。あれっ? 道長って、外祖父となって権勢を広げるために、自ら進んで彰子を入内させたのでは……?

 

歴史で習ったお話が、一条帝の失政を正すために、詮子の言葉を借りれば「自ら血を流す」設定に180度転換。まあ、仕方がないのでしょう。こうしないと、権力志向でなかった道長という、ドラマとしての根本的設定が崩れてしまいますから。

 

とはいえ、天変地異の責任を一条天皇に押しつけてしまい、いくら定子にぞっこんとはいえ、一条天皇がなんだか気の毒な気が……。

意志薄弱な少女? じつは、聡明だった彰子さま



彰子は「仰せの通り」としか言えない,意思薄弱な女性として描かれていましたが、この時まだ12歳。女性というよりは女の子。当たり前ですよね。

 

でも、史実によると、この意志薄弱な女の子は、やがて聡明で思慮深き中宮となり、あの藤原実資が『小右記』に「賢后」と記したほど。そして後一条天皇、後朱雀天皇の生母となり、「大女院」とも称され、86歳という長寿を全うしたそうです。

 

おそらくドラマでも、ぽわーんとした女の子が聡明で賢いお姫さまになっていくその変化を、「見せ所」とするのでしょう。楽しみ~。


彰子さまの局(つぼね)は「藤壺」。いよいよ「源氏物語」の世界に突入です



まひろ(そろそろ紫式部と言いたいところですが)が、彰子に女房として仕えるようになるのは、彰子が入内してから6~7年後とされています。放送開始から半年以上、ふー、やっとここまで辿り着いたかと、感慨深いものがあります。

 

そしてなんと、彰子が割り当てられた局(つぼね)は「藤壺」。「藤壺」といえば思い起こすのは、そうです、光源氏の永遠の女性像である藤壺女御です。

 

いよいよ近付いてきました。前回では、越前紙をまひろが欲しがるエピソードも、さりげなく登場していましたからね。やっぱり、道長がまひろに、紙をプレゼントするのでしょうか。



KY宣孝に、まひろブチ切れ。織田信長も真っ青の、灰投げ付け



宣孝との結婚(?)生活には、早くも波風が立ち始めます。妾であることを承知の上での結婚ゆえに仕方がないのでは、と思いたくもなりますが、お相手はまひろよりずっと若い女子。それだけではなく、まひろからの文を方々で見せびらかすという無神経ぶり。決定的だったのが、「左大臣様もそんなお前だから愛想を尽かしたのだろ」という一言。

 

 

そりゃあ、誰だって怒りますよ、宣孝さん。まひろ、ブチ切れて灰を宣孝の顔めがけて投げつけます。このシーン、予告でもちらっと出ていたので、まあそんなことだろうと、予想はしていましたが、それにしても凄い! 父親の位牌に灰を投げつけた織田信長も真っ青な切れぶりです。

 

 

ここでアホなことを言うと、このシーンはNG無しで一発で撮ったのでしょうね。でないと、何度も灰(実際は灰ではないでしょうが)を浴び、佐々木蔵之介さんも気の毒。(吉高由里子さんが、「一発勝負。緊張したよぉぉぉおお」と、収録後の白塗り蔵之介さんとのスマイルツーショットをXでアップしていると、N子さん情報。やっぱりNG無しだったんですね)

そしてもっとアホなことを言うと、灰を投げつけられて真っ白になった宣孝の顔は、一瞬志村けんのバカ殿様に似てなくもなく……。本当にしょうもない話ですみませんです。

宣孝が若い女と歩いていた「清水の市」。ホントにあったの?




ここで、さらに重箱の隅的なしょもうない話をひとつ。宣孝が若い女と歩いていた場所を「清水の市」と、乳母のいとは言ってました。この瞬間、猜疑心の強いM男は、「まてよ、平安時代に市なんてあったのかしらん?」と素朴な疑問を抱いたのでした。

 

放映後に調べてみると、あるんですね、平安時代にはすでに市なるものが。東と西にあったそうです。またしても勉強なりました。ただ、問題はその市の位置です。綿密に調べた学者の方の論文によると、東の市は今の堀川通と七条あたりとのこと。清水じゃないじゃん。「清水の市」なんて言わずに、単に「市」としておけばよかったのに。

 

ちなみに、平安時代の御所は、現在の御苑よりかなり西、堀川通より西にあったそうです。現在の感覚からすると、東よりどちらかといえば西に位置する東寺が、「東」なのもそのためです。

 

まさかまさかの道長サマ降臨 @石山寺




まあ、そんな細かなことはどうでもよいとして、いよいよ衝撃のシーンです。石山寺で現れたのは、道長ではありませんか。現れたというか、もう降臨。いくら宣孝と疎遠になったとはいえ、いきなり「みんなで石山寺へ行きましょう」だなんて、なんだか唐突だなぁ、と思ってたら、そうきたか!!

 

まさか、読経に疲れて居眠りしたまひろの夢、だったというオチではありませんよね。

 

 

 




道長サマには後光が射していました。そして何やらキラキラ光るものが天から降り注いでいました。あれれ? この何やらキラキラ光るもの、前にも見たことあるぞ……。そうです、荒れ果てたお屋敷で、まひろと道長が結ばれたときも、空から降ってました。

 

 

ということは、まさか石山寺でも……。「ちょいちょい道長が現れて逢瀬を重ねる」と、前に書きましたが、もう逢瀬とは!

 




調べてみると、越前へまひろが発ってから、彰子の入内までは3~4年くらいの月日が流れているので、厳密に言えば、「ちょいちょい」ではありませんが、観てる方としては、「ちょいちょい」気分になります。

 

ここでM男は思い出しました。N子さんが、まひろは宣孝との結婚後に妊娠するけど、それは道長との間にできた子だ、と書いてたことを。その時は、何を荒唐無稽なことを、と思っていましたが、まさかまさか。

 

 

でも、宣孝に灰を投げつけたあと、「この時以来、宣孝との間は疎遠になりました」なんて、別にそれほど必要でもないナレーション入ってたしなぁ……。


『源氏物語』に不実の子が多いのは、紫式部の娘も不実の子だから?





紫式部の娘は、道長の子ども。なんと大胆な歴史解釈。この回が放映された、ちょうど6月30日の朝日新聞の朝刊で、タイミングをはかったように大石静さんのインタビュー記事が掲載されていました。その記事で大石さんは「時代考証の先生のチェックを経ていますので、歴史的にあり得ないことは書いていません」と仰っています。

 

 


「悪魔の証明」的理論からすると、たしかにそれも一理ありです。まひろの母が道兼に殺されたこと、清少納言と紫式部が友達だったことを否定する証明はできないわけですから。すべてあり得なくはない。

 

で、結論からして、M男はいつものように「そりゃないだろ」とメクジラを立てるのではなく、その逆で今やどんどん想像の翼を広げてください、大石さん。というスタンスです。なぜって、その方が面白いから。



まひろも道長もその事実を知っていながら、道長はまひろを彰子の女房にし、まひろもそれに応え、しかも『源氏物語』を綴る。そうなっていった方が、ドラマとしては、メチャ重みが出ますよね。

 

光源氏の子どもに、不実の子が多いのはそのためか、と妙に納得したりして。おそらく、そのあたりも大石さんの計算づくのことでしょう。素晴しい!!

 

うー次回が待ち遠しいです。と思っていたら次回は東京都知事選の選挙報道で一回お休み。残念!!



「光る君へ」言いたい放題レヴューとは……

Premium Japan編集部内に文学を愛する者が結成した「Premium Japan文学部」(大げさ)。文学好きにとっては、2024年度の大河ドラマ「光る君へ」はああだこうだ言い合う、恰好の機会となりました。今後も編集部有志が自由にレヴューいたします。編集S氏と編集Nが、史実とドラマの違い、伏線の深読みなどをレビューいたしました!

最新情報をニュースレターでお知らせするほか、エクスクルーシブなイベントのご案内や、特別なプレゼント企画も予定しています。

Lounge

Premium Salon

「光る君へ」言いたい放題レヴュー

Premium Salon

ページの先頭へ

最新情報をニュースレターでお知らせするほか、エクスクルーシブなイベントのご案内や、特別なプレゼント企画も予定しています。