東京の洋食屋の頂点「レストラン香味屋」で 至高のオムライスを食べるの巻
東京の洋食屋の頂点「レストラン香味屋」で 至高のオムライスを食べるの巻

Lounge

Premium Salon

これを食べなきゃ人生ソンだよ

2023.10.25

東京の洋食屋の頂点「レストラン香味屋」で 至高のオムライスを食べるの巻














筆者はオムライスが激しく好きだ。洋食屋などに行ったときに非常に悩むのは、同じくらい好きなナポリタンとオムライスのどっちにするかということだ。そのどちらかに加えて、ハンバーグかメンチカツかクリームコロッケかエビフライをサイドにもう一皿添えればカンペキである。大体、特に女性などからは、「食いすぎやろ!」と突っ込みを食らう。たしかにそうかも(笑)。

 

 

まず、最初に、あくまでも筆者の好みでしかないのだが、自分が食べないオムライスについて触れておきたい。






いちばん好まないのが、オムライスのわきにビーフシチューとかホワイトシチューをたんまりとよそってあるヤツ。これはアカン。シチューが濃すぎて、せっかくのオムライス様をぶち壊してしまう。濃い餡かけをかけた炒飯のようなもんだ。

 

 

次に好きじゃないのが、オムライスの上に厚ぼったいオムレツが載っていて、ナイフで切り裂くと、ドバーッと半熟玉子が自慢げに雪崩を起こすヤツ(笑)。これも玉子が強烈すぎてチキンライスの味も何もあったもんじゃない。このオムレツの中にチーズなんかが入っていたら、最悪だ。頼むから、もっとオムライス様を、大事にしてく・れ・よぉ~お(『鬼滅』の善逸の口調で。古い!)。

 

 

三番目に絶対に食べないのは、チキンライスと玉子を混ぜてぐじゅぐじゅに炒めたヤツ。これなんか、どこがいいのかわからん。注文してそれが出てきた時の落胆と言ったら……。こういうことをする料理人の発想が理解できない。

 

 

もうお分かりと思うが、筆者がこよなく愛するのは、チキン(時にハム)と玉ねぎとマッシュルームとケチャップで作った普通のチキンライスを、薄い(少し厚くても良いが)オムレツがくるむ昔ながらのヤツである。チキンライスの絶妙な味わいを他の脇役が阻害して欲しくないのだ。それには玉子の薄焼きが丁度良いバランスだと思うわけである。










東京の洋食屋の頂点は「レストラン香味屋」だと思う、その理由

 

 

そこで第一のチョイスは、台東区根岸の「レストラン香味屋」となるのである。

 

 

創業は大正14年、洋食屋の老舗である。東京に実力派の洋食屋は何軒かあるが、格式の上では頂点に君臨する。なにせ、サービスは男女ともに黒服で統一、布のテーブルクロスは客ごとに交換し、ベルナール・ビュッフェとレオナール・フジタのリトグラフが室内を飾る。BGMはモダンジャズだ。客筋もなかなかお上品な方たちばかりに見えてくるのである(実際は分からんが)。




筆者が初めてここを訪れたのは35年以上も前になる。冷たいヴィシソワーズをどんぶり一杯飲みたいと強烈に思ったことを覚えている。続けて、サラダではアスパラガスを選んで食べ、名物のメンチカツとオムライスを食べた。ものすご~く感激した。デザートにしようかと思ったが、引き返して、二度目のヴィシソワーズとポークカツレツを追加した。あの頃は若かった(笑)。もしかして、バカなの?

 

 

私にとっては、背筋が伸びる店というか、特別な店に位置付けられている。格式がトップならば、味もトップ中のトップなのである。なにを食べても素晴らしい。とはいえ、サービスの面々は、みなさん親切この上ないので、何のシンパイもいらない。






まずは門外不出の「コンソメスープ」にしびれて

 

 

今回、まず頼んだのは温かい「コンソメスープ」である。筆者はこれに目がない。単に茶色い汁じゃんと侮ってはいけない。牛肉の骨(または骨付きの鶏)とあまたの野菜、種々のハーブに赤か白のワインを用いて、出来上がりまで途方もない手間と時間がかかる。レシピは門外不出である。一流の店にしか出せない一流の味、――極上のコンソメほどしびれさせるものはないのである。上品にして奥深い味わいは、全方位的に味蕾を刺激してくれる。はい、素晴らしかったです。陶然としました。お奨めします。









艶やかな卵焼きの中に、極上のチキンライスがひそむ
これぞ頂点のオムライス!

 

 

それで、肝心のオムライスをご覧いただきたい。まー、美しいではないですか。崩すのがもったいないくらいだ。艶やかな卵焼きに切れ目を入れると、チキンライスが現れる。鶏肉、玉ねぎ、ピーマン、マッシュルーム、グリンピース。何という過不足のない素材であろうか。これが決して濃すぎないケチャップで味付けられ、米粒がピラフのようにパラパラに炒められている。それぞれの素材一つ一つが、しっかりと味がする。このオムライスは、あくまでも極上のチキンライスを食べることを主眼として作られている。

 

 

それでいいのだ。卵がムダに自己主張をしないことが大事なのだ。ケチャップをかけないところも潔い。副菜として添えられたラッキョウと福神漬けがまた良い変化を味覚に与えてくれる。

 

 

もちろん、オムライスの前に「ハンバーグステーク」を食べたが、その素晴らしさについては、おそらくハンバーグの回で語ることになると思う。




オムライス オムライス

ツヤツヤの卵焼きが誘ってくるオムライス






この店がエライのは、11:30からの通し営業をしている点にもある。昼も夜も満席で予約なしでは入れないので、時間をズラせばすっと入店できるでしょう。洋食弁当とか楽しいものもある。とにかく、全メニューを制覇したくなる店であることは間違いないですな。























レストラン香味屋

東京都台東区根岸3-18-18
03-3873-2116

営業時間:11:30~22:00
定休日:毎週水曜日(祝日の場合は、翌日木曜日)

コンソメスープ   1,400円

オムライス     2,500円

ハンバーグステーク 2,200円

 

※各店の営業日/時間、値段は変わることがあるので要確認されたし。





「これを食べなきゃ人生ソンだよ」とは
うまものがあると聞けば西へ東へ駆けつけ食べまくる、令和のブリア・サバランか、はたまた古川ロッパの再来かと一部で噂される食べ歩き歴40年超の食い道楽な編集者・バッシーの抱腹絶倒のグルメエッセイ。

 

 



筆者プロフィール

 

食べ歩き歴40年超の食い道楽者・バッシー。日本国内はもちろんのこと、香港には自腹で定期的に中華を食べに行き、旨いもんのために、台湾、シンガポール、バンコク、ソウルにも出かける。某旅行誌編集長時代には、世界中、特にヨーロッパのミシュラン★付き店や、後のWorld Best50店を数多く訪ねる。「天香楼」(香港)の「蟹みそ餡かけ麺」を、食を愛するあらゆる人に食べさせたい。というか、この店の中華料理が世界一好き。別の洋物ベスト1を挙げれば、World Best50で1位になったことがあるスペイン・ジローナの「エル・セジェール・デ・カン・ロカ」。あ~、もう一度行ってみたいモンじゃのお。

 



最新情報をニュースレターでお知らせするほか、エクスクルーシブなイベントのご案内や、特別なプレゼント企画も予定しています。

Lounge

Premium Salon

これを食べなきゃ人生ソンだよ

Premium Salon

ページの先頭へ

最新情報をニュースレターでお知らせするほか、エクスクルーシブなイベントのご案内や、特別なプレゼント企画も予定しています。