東京で食べる韓国料理のベスト1はここだッ!!
韓国料理の食卓は実に豊かだ。肉と魚介類、発酵物、炒め物、煮込み物、漬物、数々の生野菜、チヂミにスープ、米の多様なバリエーション、鍋もの……韓国料理の食卓に並ぶおかずはおよそ1500種あるという。たとえ韓国に住んでいても、全種類を食べ尽くすことは困難だ。食に対する執念は、台湾人、香港人も凄いが、韓国人もいい勝負だ。やはり、当たり前なことで、韓国料理は本国で食うのが世界一旨いんだが、都内でその片鱗に触れられる店はどこか……。それは赤坂にある、チョンギワ新館である。
偉大な店、赤坂「チョンギワ新館」で
東京一のチジミとチゲとビビン冷麺を食べる
新館というからには本館もある。本館は手狭で、メニューはほぼ同じだが、グレードが少し上になる。
筆者は新館にはもう何十年も通っている。ある女優さんを連れていったことがあるのだが、猛烈に気に入って、その後、自分でも何度も通っていたようだ。都内に韓国料理屋は多いが、トップクラスの店だと思う。いや、ほぼ何を食べてもとびきりに旨い、偉大な店だと言ってしまおう。
あまりにも旨くて、私がギョギョギョッと目を見開いた品目をあげれば、「浅漬けキムチ」、「ニラチヂミ」、「太刀魚の塩焼き」、「海鮮純豆腐チゲ」、「冷麺」、「ビビン冷麺」である。
「浅漬けキムチ」はサラダ代わりの前菜として最適だ。辛味一辺倒ではない薬念(ヤンニョム)が滅茶苦茶に旨い。甘味とコクがあり、フルーツも感じられる。食欲がグーッと上向き、これで胃袋の準備は万端だ。
「ニラチヂミ」はカリカリに揚がっている。相当に油を使う一品だと思うが、油っこさはまるでない。ひっくり返しても油垂れしていない。世にあまたのチヂミあれども、なにしろ無類の旨さだ。これは傑作の類だろう。もちろん、「海鮮チヂミ」も旨いが、ニラと生地の味だけで一直線という方がシンプルでいい。筆者の一推しはニラチヂミだ。
太刀魚自体は韓国本国ではきわめてポピュラーな魚だ。日本では、スーパーに行っても少々値段が高い。この店で「太刀魚焼き」を頼む人がとても少ないことを激しく残念に思う。まー、ちょっと高いせいもあるかな。ぜひとも食べてみて欲しい。適度に塩を振り、油で焼いていると思われるが、白身の塩焼き魚としては、王座に君臨するものであると、認識を新たにするに違いない。いや、マジで。硬い骨が多いんだけどね(苦笑)。
「海鮮純豆腐チゲ」は、「東京で二本指に入る(笑)」と、知人の元ミス在日コリアンが言っていた。いわゆるスンドゥブチゲである。調味料で適当に誤魔化す店がほとんどだが、ここはアサリや魚介、昆布でしっかりと出汁を取っている。ゆえに、風味と奥行きがぜんぜん違うのである(二本指のもう一軒ももの凄く旨いのだが、すこぶる高い店なのでここでは紹介しない)。Netflixのドキュメンタリーを見ればわかるが、そもそも韓国は「スープの国」であるからして、スープが旨いことは極めて重要なことなのだ。
最後に「ビビン冷麺」。筆者は初めてここで食べたとき、なんだこりゃ~! あまりの旨さに言葉を失った。辛くない「冷麺」も相当に旨い。牛骨スープの奥深い味と麺の旨さは只事ではない。しかし、それ以上に、ビビン冷麺の辛みと甘みと苦味の絶妙なる混合にやられた。味の奥行きが冷麺の比ではない。このヤンニョムは天下一品だ。韓国料理好きの仲間で、「これは東京一!」と評するヤツがいるくらいだ。それに対してまったく異論はない。
さて、5品だけを挙げたが、キムチ類、ケジャン、チャプチェ、タン塩(はいいが、カルビやハラミなどの焼肉方面だけはお薦めしない。日本の焼肉屋の方が上だ)、アワビお粥、プルコギや鍋料理も抜群に旨い。まず、なにを頼んでも他店とは比べようがないとだけ言っておこう。
最後になるが、フロアのサービスも凄くて、頼んだことには電光石火で応じてくれる。本館で食べていたときに、箸を落としたら、何も言わないのに五秒で代わりの箸を持ってきてくれたのには感動した。新館は広いのでそこまで気は回らないが、精神は同じものが通っている。ビビン冷麺と一緒に紙エプロンを出してくれるところなどには、感激してしまうのである。
チョンギワ新館
東京都港区赤坂3-12-7 赤坂ソシアルビル1F
TEL 050-5456-9152
(月~金)11:30~26:00
(土・日・祝)12:00~23:00
浅漬けキムチ 1,650円
ニラチヂミ 1,580円
太刀魚焼き 2,500円
海鮮純豆腐チゲ 1,350円
ビビン冷麺 1,650円
「これを食べなきゃ人生ソンだよ」とは
うまものがあると聞けば西へ東へ駆けつけ食べまくる、令和のブリア・サバランか、はたまた古川ロッパの再来かと一部で噂される食べ歩き歴40年超の食い道楽な編集者・バッシーの抱腹絶倒のグルメエッセイ。
筆者プロフィール
食べ歩き歴40年超の食い道楽者・バッシー。日本国内はもちろんのこと、香港には自腹で定期的に中華を食べに行き、旨いもんのために、台湾、シンガポール、バンコク、ソウルにも出かける。某旅行誌編集長時代には、世界中、特にヨーロッパのミシュラン★付き店や、後のWorld Best50店を数多く訪ねる。「天香楼」(香港)の「蟹みそ餡かけ麺」を、食を愛するあらゆる人に食べさせたい。というか、この店の中華料理が世界一好き。別の洋物ベスト1を挙げれば、World Best50で1位になったことがあるスペイン・ジローナの「エル・セジェール・デ・カン・ロカ」。あ~、もう一度行ってみたいモンじゃのお。
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