ハッピーオーラに包まれたくて
毎日でも通いたい「おにぎり ぼんご」
おー、ついに、「おにぎり ぼんご」かあ。筆者が35年以上も通う店である。
世の中に飲食店はあまたあれども、毎日でも食いてえなあと思うのは「ぼんご」ぐらいかもしれぬ。そら、時々、「すぎ田」のロースカツや「春木屋」のラーメンを食いたいなとは思っても、「ぼんご」に毎日抱く思慕ほど強くはない。そういう意味では、「ぼんご」は私にとって永遠不滅の、どセンターなのである。
「おにぎり ぼんご」、その名を知らない日本人はあまりいないほどの有名店だ。雑誌やテレビがおにぎりの特集をやれば、必ず出てくる。ゆえに、もー、混んじゃって、混んじゃって、この5年くらい前から2~3時間待ちは当たり前、8時間待ち!とかも聞こえてくる。気軽に行けなくなったことがひたすら悲しい。人生最大の悲しみの一つと言ってもいい(誇張なしで)。
ご存じの通り、行列は覚悟せい
それでも食べたいと思わせる店内はハッピーオーラ満載!
今回はどしゃ降りの日を選んだ。それなら大して並ばんだろということで。しかし……、それが甘かった。開店前15分で、着いた位置は18番目。50分ほど待ったね。膝から下はズブ濡れじゃ。最近は押し寄せる外国人勢力も混雑の理由だな。雨の日は、50メートルも離れているのに、店のお姉さんがビニール傘を提げて心配してくれたり、順番が近づいたら熱いお茶を出してくれたりする。いやー、外国人も、「ニホンのオモテナシ、サイコーでーす」と感激することだろう。どしゃぶりでも、店内はハッピーオーラが満載だった。
「そんなに旨いのか?」と、人によく聞かれる。「べらぼうに旨え」と答える。「それを食べた幸せが、優に2~3日は脳内に持続するぐらい」と付け足す。その一週間後だって、脳内映像を甦らすだけで、生ツバがじゅわじゅわと湧いてくる。だから、単に「旨い」とかをはるかに超越しちゃっているのである。
新潟県岩船産コシヒカリの棚田米を炊いた白米が恐ろしく旨い。米は1時間以上も浸水させ、水を切ったら冷蔵庫に一晩いれるのが旨さの秘訣だ。冷やしている間に、米のでんぷんが糖分へと変化するんだって。そして水を控えて炊けば、硬めで甘く旨味の強い白米が出来上がる。この白米の旨さこそが、「ぼんご」を不動の王座に位置づける最大の要素だ。
具材のひとつひとつが素晴らしい、有明産の海苔がいい、握る際の沖縄の塩の分量が抜群で、その握り方が、日本のどこにもないぐらい見事なのである。形を整えるだけで握らないエアリーなおにぎり、ってことで有名だ。白米と具材の割合が2対1なところも、旨さの秘訣だろう。どこを噛んでも白米と具が一緒だ。味噌汁も旨い。もー、この店のカウンターにはシアワセしか漂っていないのである。
具の種類はなんと57種
さらにトッピング可能で美味しさ無限大
私が最初に食べたのは、35年以上も前のこと。具材は30種類ぐらいだったかねえ。それが今や57種になり、増え続けている。「卵黄醤油漬け」とか「ホッキサラダ」とかはなかった。昔は2種の具材を合わせるトッピングという技もなかった。だから、現状に満足することのない店なのだ。
おにぎり1個はかなり大きいサイズなのだが、6個を食べたのが最多だ(アホか!)。だいたい3個となめこ汁のセットを頼んで、それが済んだら、めったに来られないからと理由をつけてもう1個を追加する。普通のコンディションでは、4個が限界だから、それ以外の具を諦めるのは猛烈にツラい。
筆者には、具材選びの変遷がある。かつては、「さけ」と「明太マヨネーズ」と「鳥唐揚げマヨネーズ」は必ず食べていた。このマヨネーズものが、素晴らしいのである。特に「明太マヨネーズ」の滑らかさにはド胆を抜かれる。挽肉用マシーンで明太子を挽くんだってさ。それで常軌を逸した旨さが生まれる!
具材の好みは人それぞれだろう。私で言えば、近年のお気に入り単体もの・ベスト5は、「しらす」「ホッキサラダ」「すじこ」「明太マヨネーズ」「鳥唐揚げマヨネーズ」だ。入手困難な「すじこ」を常備する企業努力は大したものだと思う。それもお客ファーストだからこそ、諦めずに「すじこ」を入手するのだ。頭が下がるぜ。
「しらす」や「ホッキサラダ」を食べる人が少ないようだが、ぜひ一度食べてみて欲しい。「しらす」は塩加減が絶妙、淡白で何個でも食べたくなる。本当に旨い。「ホッキサラダ」はホッキのコリコリの食感と薄いマヨ味がたまらん。その旨さにおったまげるぞ。
バッシーお気に入りのトッピングベスト4
「すじこ+さけ」「卵黄+肉そぼろ」「ホッキサラダ+焼きたらこ」「しそ昆布+明太マヨネーズ」
おにぎりが全体として素晴らしいのは言うまでもないが、やはり、具材の一つ一つが他店の追随をまるで許さないぐらい旨いのである。これを毎日仕込むのは本当に大変だろう。
トッピングメニュー・私のベスト4なら、「すじこ+さけ」「卵黄+肉そぼろ」「ホッキサラダ+焼きたらこ」「しそ昆布+明太マヨネーズ」となる。
「すじこ+さけ」「卵黄+肉そぼろ」は、トッピングの人気ランキングで1位と2位だ。「卵黄」「肉そぼろ」「すじこ」「さけ」が、単体だけでもの凄く旨いのに、それが組み合わさったら最強無比に決まっているわな。それぞれの相性も最高。どれも昇天しそうになるほどだ。
特に、「しそ昆布+明太マヨネーズ」は他店にもあるけれど、ここのは唯一無二。それらが口の中で混合するときの至福を表現する術を持たないよ、あたしゃ。一瞬、頭を殴られて、ボー然とするぐらいだ。ぜひとも食べて驚愕してみて欲しい。他の具もチャレンジしてみたいのだが、この9種がとにかく超絶的レベルだから、試せないのよねえ。
並ぶのがイヤな人は、時間指定の予約でテイクアウトできるから、そういう手もある。だけどね、店でアツアツのパリパリの握りたてを食べるのが一番ヨ。味噌汁も2杯目以降はサービスだしね。
(行列を短い時間で済ませたい人は、下板橋に「おにぎり ぼんご板橋店」と、新宿伊勢丹横に「おにぎり まんま」がある。両店とも、
おにぎり ぼんご
東京都豊島区北大塚2-27-5
TEL03-3910-5617
営業時間:11:30~23:00
定休日:日曜日
しらす 350円
ホッキサラダ 500円
すじこ 650円
卵黄+肉そぼろ 550円
すじこ+さけ 700円
ホッキサラダ+焼きたらこ 550円
しそ昆布+明太マヨネーズ 400円
とうふ汁 200円
なめこ汁 300円
「これを食べなきゃ人生ソンだよ」とは
うまいものがあると聞けば西へ東へ駆けつけ食べまくる、令和のブリア・サバランか、はたまた古川ロッパの再来かと一部で噂される食べ歩き歴40年超の食い道楽な編集者・バッシーの抱腹絶倒のグルメエッセイ。
筆者プロフィール
食べ歩き歴40年超の食い道楽者・バッシー。日本国内はもちろんのこと、香港には自腹で定期的に中華を食べに行き、旨いもんのために、台湾、シンガポール、バンコク、ソウルにも出かける。某旅行誌編集長時代には、世界中、特にヨーロッパのミシュラン★付き店や、後のWorld Best50店を数多く訪ねる。「天香楼」(香港)の「蟹みそ餡かけ麺」を、食を愛するあらゆる人に食べさせたい。というか、この店の中華料理が世界一好き。別の洋物ベスト1を挙げれば、World Best50で1位になったことがあるスペイン・ジローナの「エル・セジェール・デ・カン・ロカ」。あ~、もう一度行ってみたいモンじゃのお。
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