イタリア北部で250年続く老舗ワイナリーMASI がスポンサードする、本年で6回目となる「マァジ・コンテンポラリーアートプロジェクト」。これまで五か国のアーティストが選ばれてきましたが、本年は、日本人アーティスト(漆芸・蒔絵作家)の浅井康宏氏の作品が選ばれ、その発表会がイタリア大使公邸で行われました。
今回選ばれた浅井さんの香炉と、作品をモティーフにして画像化されたラベルが、最良だった過去ヴィンテージ2005年のボトルに貼られたワインがお披露目されました。このボトルが張られるのは限定で2400本のみ、そのうち日本に到着するのは1200本だそうです。
マァジ社は1772年ヴァルポリチェッラ地区に設立された初のワイナリ―で、ワイナリー名は”Vaio dei MASI”(マァジの小さな谷)に由来しています。250年以上に渡りボスカイーニ家により運営され、現在のオーナー、サンドロ・ボスカイーニ氏が6代目にあたります。地元でも大きな企業であり、文化のメセナとして世界で活躍する若手芸術家の育成を目的としたプロジェクトだそう。
今回選ばれた浅井氏作の蒔絵螺鈿香炉「西香」
浅井氏は、素材、技術への想いはMASIワインの豊かな思想に重なる部分があり、「西洋」と「香り」というキーワードで作品を制作したそう。
Costasera Amaroneの手間を惜しまず作られたワインの味と香りは、奥深く気品がありまさにアートだと感じ、その思想から着想し伝統技法を用いて現代的な意匠感覚でおよそ2年をかけて作品を制作しました。
日本には香りを楽しむ「香」の文化があり、香炉はそれに用いられる大切なアイテムのひとつ。この器物にお香を入れ薫くことで、煙の香りを楽しむことができます。描かれた葡萄の模様は、日本において豊穣の意味合いとともに「葡萄」が「武道(西洋で言う騎士道)」と同じ発音なことから古くから蒔絵のデザインとして美術作品に多く描かれてきました。貝殻を貼り付けることで得られる青や紫色で葡萄の色合いとそこから得られる雫を表現。細かな金で装飾されたアーチ状のデザインは脈々と受け継がれてきた文化そのものを造形化したデザインだそう。葡萄の色、文化の形はそれぞれ普遍的な技術と素材で作られており、この蒔絵螺鈿香炉「西香」は日本とイタリアの文化が交わる素晴らしい作品だと自負しているということでした。
元松平隠岐守の中屋敷跡で、日本の歴史とも深い関わりのある由緒あるイタリア大使公邸の庭園
イタリアのプーリア州バーリから来日した、リストランテ「LA BUL」のアントニオ・スカレーラ シェフがお料理を提供。バフェ形式の飾らないプレゼンテーションながら味は超一級でした!
浅井氏と
浅井康宏
1983年、鳥取県生まれ。2004年、国立富山大学高岡短期大学部 漆工芸コース卒。2005年、室瀬和美(重要無形文化財保持者)に師事。2011年、武蔵野美術大学 造形学部通信教育課程卒。2004年頃より、自ら漆の木を育て、現在はその漆を作品に用いている。受賞歴は、2002年、日本漆工協会 「漆工奨学賞」にはじまり、2012年、日本伝統工芸展 「新人賞」、2015年、第32回 日本伝統漆芸展 「文化庁長官賞」など、多数。
島村美緒 Mio Shimamura
2017年からプレミアムジャパンの代表、そして編集長として、
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