日本舞踊の尾上菊之丞さんと狂言の茂山逸平さん@FCCJ日本舞踊の尾上菊之丞さんと狂言の茂山逸平さん@FCCJ

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編集部&PJフレンズのブログ

2024.5.20

Premium Japan 着物で日本文化体験イベントレポート~尾上菊之丞+茂山逸平@FCCJ~

日本舞踊の尾上菊之丞さんと狂言の茂山逸平さん@FCCJ

Premium Japan着物部部長の島村です。日本文化を着物で楽しむ会、今回はFCCJ(日本外国特派員協会)でのイベントをプロデュース+和服でのMCを致しました。

 

当日はFCCJのメンバー、外部からのゲスト、メディア関係者、Premium Japan着物部の皆さん合わせて約80名のゲストが来場し、大盛況となりました。

 

 






プレゼンテーションを行う菊之丞さん プレゼンテーションを行う菊之丞さん

プレゼンテーションを行う菊之丞さん






イベントを実施するにあたり、私が菊之丞さんと逸平さんに依頼したのは、まずは「日本舞踊」「狂言」それぞれの成り立ちや特徴、「逸青会」についてなど、演目をより一層楽しめるプレゼンテーションを最初に行うこと。

 

FCCJのメンバーには多数の外国人がおりますが、彼らにとって日本文化、特に伝統芸能は謎の世界だからです。もちろん日本人にとっても一部の愛好家以外には不明なことも多いので、普段は舞台で演じることがメインのお二人に、パワーポイントの資料を使ったプレゼンテーションしてもらうことになりました。

 

しかも全ての内容には英訳が入るので、時間もダブルでかかります。タイミングを取るのが最初は難しかったようですが、お二人とも説明がとっても上手、しかもユーモアセンスも抜群です。プレゼンについてはリハーサルを行わなかったので心配をしていましたが、杞憂に終わりました。



茂山逸平さんによる「魚説経」 茂山逸平さんによる「魚説経」

茂山逸平さんによる狂言「魚説経」



愉快なプレゼンテーションに続いて、それぞれに演目が披露されました。

 

 

まずは狂言の茂山逸平さんによる「魚説経」。元漁師の新米のお坊さんが檀家さんに急に説経を頼まれます。しかし説経をした事のないお坊さん。困った挙句に魚の名前を並べて説経するのですが……。お経に魚介類の名前を洒落的に盛り込んで、逸平さんがさも堂々と唱える様子が見どころでした。

 

 

能と狂言を合わせて能楽というジャンルを形成しています。歌舞劇である能に対し、狂言はせりふ劇。大がかりな舞台装置は用いず、言葉やしぐさによってすべてを表現します。狂言の大きな特徴は「笑い」。 中世の庶民の日常や説話などを題材に、人間の習性や本質を切り取って、大らかな「笑い」や「おかしみ」にしてしまいます。

 




尾上菊之丞さんによる「助六」 尾上菊之丞さんによる「助六」

尾上菊之丞さんによる「助六」。素踊りなのに、助六の装束や江戸・吉原の大店が見えてくるような、その表現力に感動しました。



歌舞伎でも人気の演目、「助六」を菊之丞さんが日本舞踊ならではの素踊りで踊ります。江戸の遊郭を舞台に、伊達男、粋な二枚目の助六が恋人を訪ねていく様を舞踊にした演目です。華やかで派手な「荒事(あらごと)」と呼ばれる部分と艶っぽい「和事(わごと)」の魅力の両方がうまく表現されています。和傘をつかった振り付けも見どころです。

日本の踊りは古代から人々の生活の中にありました。子孫繁栄と平和、豊作を願い、鎮魂を祈って踊るのは万国共通です。その根源的なおどりは能楽のルーツや歌舞伎の創生、人形浄瑠璃など様々な形態に分かれ、それぞれの芸能の中で磨かれていきました。中でも日本舞踊は歌舞伎と最も関わりが深く、400 年以上続く歌舞伎と共に発展してきた踊りです。歌舞伎の美意識のなかで衣裳や鬘、小道具などの工夫が進み、人物の背景や心情を表現する踊りの技法が育まれ、その技法や演出が脈々と今まで継承されてきました。明治以降には特に芸術性が磨かれ、「素踊り」という衣裳や化粧をせずに踊る演出も発展しました。

 

 

日本舞踊の特徴は、舞踊作品としての存在以外にも、人間の立居振舞い、身のこなしといったところにもその心が大切にされている点にあります。その為、様式的な演技が求められる時代劇、着物を着用する俳優に必要な最も重要な素養なのです。日本舞踊は伝統芸能のほとんど全てに関わっている特殊な芸術です。

 

 

尾上流はそのなかでも「品格、新鮮、意外性」を大切にした上品な舞踊、格調の高い舞踊芸術が特徴だということを、菊之丞さんから説明していただき、踊りも拝見したことによって、理解することができました。


逸青会 逸青会

イベント翌日に尾上さんの事務所より、ファンクラブへの入会者が急に増えました、と嬉しいご報告が。日本の伝統芸能を背負っていく彼らのような若手をサポートする活動を、Premium Japanでは今後も続けていきたいと強く思いました。

 

今年の逸青会は記念すべき十五回目。日替わりのゲストも人気の歌舞伎役者など豪華なメンバーとなっているので、チケットは争奪戦となるかも。ご興味がある方は、以下のサイトをチェックしてみてください。

 

 

 

 


◆逸青会(いっせいかい)とは

舞踊家・尾上菊之丞と狂言方能楽師・茂山逸平が互いのジャンルを越え、新しい形としての舞踊と狂言の可能性を追求している二人会です。2009年より毎年創作を重ねさまざまな形で継続して開催、この度丸15年を迎えます。古典作品の上演に加え、互いのジャンルの研鑽と、「舞踊」「狂言」という似て非なる芸能を合わせ、単なるコラボレーションに終わらない新しい可能性を求めて毎回「舞踊狂言」として新しい作品を創作、発表しています。現在までに10を超える逸青会オリジナル作品が生まれています。

 

◆公演概要

《日程》2024年8月18日(日)~25日(日)※21日休演・7日間・全11公演

《場所》セルリアンタワー能楽堂(東京都渋谷区桜丘町26番1号 地下2階)

《主催・出演》尾上菊之丞/茂山逸平

《出演者》

8月18日(日) 尾上右近/茂山茂/島田洋海

8月19日(月) 松本幸四郎/茂山宗彦/坂口貴信/茂山慶和/尾上京

8月20日(火) 中村鷹之資/茂山宗彦/坂口貴信/尾上菊紫郎

8月22日(木) 中村壱太郎/茂山千五郎/茂山慶和/島田洋海/尾上墨雪

8月23日(金) 中村莟玉/茂山千五郎/羽鳥以知子/茂山七五三

8月24日(土) 茂山七五三/茂山千之丞/谷本健吾/羽鳥嘉人/尾上墨雪

8月25日(日) 尾上松也/茂山千之丞/谷本健吾/茂山慶和/羽鳥嘉人/

茂山七五三/尾上墨雪

入場料    :10,000円 (※全席指定/税込、お席の指定はできません)

チケット申込 :6月10日(月)ファンクラブより受付開始

6月17日(月)より尾上流、茂山千五郎HPより受付

チケットに関するお問い合わせ先:

TEL : 03-3541-6344(平日10:00-18:00)

MAIL: info@onoe-ryu.com



尾上菊之丞
尾上流四代家元/(公社)日本舞踊協会理事

1976 年生まれ。2 歳から父・二代目尾上菊之丞(現・墨雪)に師事し 5 歳で初舞台。2011 年尾上流家元を四代目として継承し、三代目尾上菊之丞を襲名。自身のリサイタル「尾上菊之丞の会」、狂言師茂山逸平氏との「逸青会」を主催。新作歌舞伎や花街舞踊、宝塚歌劇団、 OSK 日本歌劇団やアイススケート「氷艶」「Luxe」など様々なジャンルの演出・振付を手掛ける。

 

茂山逸平
狂言方大蔵流能楽師/重要無形文化財保持者(総合認定)

1979 年生まれ。4 歳の時『業平餅』の童にて初舞台。その後『千歳』『三番三』『釣狐』を披く。1994 年に、宗彦、茂と「花形狂言少年隊」を結成し活躍。また 2000 年より心・技・体、教育的古典狂言推進準備研修錬磨の会=「TOPPA!」を千三郎、正邦(現 千五郎)、宗彦、茂、童司と共に主催し、活動。NHK 連続テレビ小説「京、ふたり」「オードリー」「ごちそうさん」他、舞台・CM にも数々出演。

 

 







島村美緒  Mio Shimamura 島村美緒  Mio Shimamura

島村美緒  Mio Shimamura

2017年からプレミアムジャパンの代表、そして編集長として、日本のいいモノ・コトを紹介中。着物と映画、音楽、ジュエリー、スイーツ好き。

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