鎌倉宮や鶴岡八幡宮から程近い二階堂の山間に、安政2年(1855年)築の古民家をリノベーションしたわずか2部屋のラグジュアリーホテル「鎌倉古今(かまくらここん)」がある。地主でもあると言う一族が代々守り続けてきた邸宅は、長い年月を経て、その形を少しずつ変えながらも威風堂々とその姿を残す。美しい日本庭園はそのままに、古民家はレストランへ、その両脇に建てられた昭和の数寄屋と蔵を宿泊施設として、2019年1月にオープンした。古今の代表であり支配人でもある松宮大輔は「いつか鎌倉に上質の宿をつくりたいと、それに相応しい古民家をずっと探していました。ここは私が探し求めていた以上の邸宅でした」と語る。
静寂に包まれて、心がゆっくりと解き放されていく。
庭園からレストランの個室をのぞむ。
都心から電車でわずか1時間。二階堂の住宅地の中を進んで行くと、ひと際大きな邸宅が目前に現れる。見渡すと山々に囲まれ、静寂に包まれた空間が広がっている。
その佇まいに足を踏み入れると、時代を経た日本建築には丁寧な職人の手仕事が其処ここに見られ、天井を見上げれば立派な梁があるなど、この邸宅が贅を尽くされたものであることがわかる。
木々の温もりや香り、美しい意匠、内と外をゆるりとつなげる縁側……、どこか懐かしい雰囲気を残しながら、インテリアはあくまでもシンプルモダンスタイル。時代を経た建物の趣きに、洗練されたセンスが融合された空間は不思議と居心地がよく、心が落ち着いてくる。
窓からこぼれる光にホッと心が安らいでくる。
ホテル内はすべてが美しく磨き抜かれ、清潔感にあふれている。
鎌倉に暮らすように滞在する。趣きある空間と最高級のサービス
ここが大人の隠れ宿と呼ばれる所以は、その静寂に包まれた立地もあるが、80㎡以上のゆとりのあるメゾネットスイートが2部屋だけという設計もある。30年以上日本の最高級ホテルを渡り歩いてきたという松宮は、古民家をコンクリート建築のホテルと同様の快適性をつくるためにこだわったのは実は密閉性であったと言う。
木造建築はコンクリート建築と比べると密閉性はどうしても劣る。ましてや古民家となればなおさらである。木の窓枠も風情はあるがすき間が生まれやすい。そこで徹底的にすき間を埋めて、快適な室温をキープできるまでの気密性をこだわり抜いたと言う。「快適さというのは五感から生まれる部分は大きい。室温や香り、窓から差し込む光など、五感が心地よいと感じていただけるように細部への工夫をしています」と松宮は語る。
室内と続く「内蔵(うちくら)」をリノベーションしたベッドルーム。
窓からはリスの姿が見られることも。
風情ある和室を楽しむこともできる。
空間の快適性に加えて、ここはサービスも一流である。部屋数が少ない分、スタッフとお客様の距離は近くなる。この距離感をお客様に合わせて微妙に加減していくことができるのはまさに経験と感性。
ここではお願いすれば、コンシェルジェによる無料送迎が利用できたり、お部屋にカイロプラクティックやエステティックなどの手配も可能である。もちろん部屋でゆっくりしたい場合は、静かな時間を過ごすこともできる。自分らしい過ごし方を手助けしてくれる。また部屋では24時間入浴可能なマイクロバスが設置され、快眠のための最高級の寝具も用意されている。
一軒家レストランのような特別感があり、ライブ感があるカウンター形式も楽しい。
色とりどりの旬の野菜を楽しめる。
イタリアンの技法を用いた独創的な料理の数々。
五感を刺激する料理が心を満たしていく
鎌倉古今には、約10席ほどのカウンターのモダンイタリアンレストラン「レストラン ココン(Restaurant COCON)」がある。ここは国内オーガニックレストランの先駆けとしても知られる「アル・ケッチァーノ」の奥田政行シェフがプロデュースしている。地元の鎌倉野菜や藤沢市のみやじポークなど、厳選した食材が楽しめる、イタリアンベースのオーガニック料理が味わえる。ここはレストランのみの利用も可能である。
松宮は「滞在されるお客様がゆるりと心が解き放たれる、そんな宿を目指している」と語る。その言葉の意味はここに身を置くと、少しわかる気がする。自分らしい時間を過ごしたいのなら、きっとここは最適な宿である。
(敬称略)
鎌倉古今
神奈川県鎌倉市二階堂836
0467-81-4435
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