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「光る君へ」言いたい放題レヴュー

2024.11.5

ブラック道長から衰弱道長、そして号泣道長へ。豪胆まひろは「二人で流されましょう」と、なんと心中の誘いまで。

光る君へ 第42回「川辺の誓い」あらすじ&今週も言いたい放題
幼き日の出会いから幾星霜。再び川辺に立った二人。まひろは心中の誘い、道長は号泣。大感動の回でした!!



今週のお当番のM男です。三条帝との軋轢が深まる道長。比叡山で僧侶たちに石を投げつけられるなど、受難の日々が続き、ついに病に倒れます。藤原氏の別荘地宇治で療養している道長のもとに駆け付けるまひろ。宇治の川辺で交わされた会話は、それはそれは感動モノでした。中断していた『源氏物語』も再開の気配です。




「帝がこう出るなら、俺はこうする」。道長と三条帝との果てしないバトル





三条帝は一帝二后を道長に迫ります。自分が先例を作っていますから、道長も嫌とはいえません。しぶしぶ承諾した道長ですが、帝がかねてから寵愛してきた娍子(すけこ)立后の日と、自分の娘の姸子(きよこ)の内裏参入の日をわざとぶつける姑息な手法に出ます。


大半の公卿たちは、道長が主催する姸子参入の宴に出席し、娍子立后の宴に出たのは、実資や隆家ら4人のみ。これも史実だそうですが、権力におもねらない、実資や隆家らの一本気なところが垣間見えてなかなか面白いです。



こともあろうか、『源氏物語』はもはや役に立たないと言い放つ道長



三条帝は中宮となった姸子のところには、なかなか「お渡り」になりません。あたりまえですよね。父親との間に確執があるのに、その娘のところなんぞ、行きたくありませんよ。




困った道長は、まひろに泣きつきます。しかもこともあろうか、『源氏物語』はもはや役には立たないとまで言い放ち、その次の物語を書けといわんばかり。なんとことを言うのじゃ、道長。やはり道長にとって『源氏物語』は道具に過ぎず、それを苦労して紡ぎ出してきたまひろも、いわば道具にしか過ぎなかったのでしょうか。

 

それに対し、まひろは怒ることもせず、諦念すら感じさせる表情で、「物語は人の心を映しますが、人は物語のようにはいきません」と、やんわりと拒絶。偉いぞまひろ!




なんだかこのところのまひろは、人間力が一段と増したようで、余裕と凄みさえ感じさせます。それにひきかえ、相も変わらず内裏の権力争いに右往左往している公卿たちの、哀れなことよ。



まひろ自身も、燃え尽き症候群になっているのかも



でも、まひろはまひろで、達成感と虚脱感が入り混じっているのではないでしょうか。燃え尽き症候群ですね。一条帝が崩御し、母親となった彰子は皇太后として存在感を増し、確かに『源氏物語』は役目を終えたと内心思っているのかもしれません。加えて、敦成を東宮にするという暴挙に出た道長には、少し幻滅しているのかも。



そんなまひろにとっては、娘の賢子と双樹丸のラブラブモードが、かえって微笑ましく見えるのでしょう。かつての自分と若き日の道長のことを思いだすかのように。だからこそ、いとが二人を案じても「何かあってもいいじゃない」と余裕の発言。まひろ、強し。

 



「雲隠」を「雪隠」と勘違いし、しばし「????」のM男でした




「雲隠」とだけ記された半紙を盗み見た道長を病が襲います。実は、前週の次回予告でこのシーンが登場しましたが、アホなM男は、「雲隠」が、巻名だけが伝わる幻の巻の名前だとは露知らず、ちらりと映った二文字を「雪隠」と読んでしまい、「雪隠?トイレ?なんのこっちゃ???」状態でした。

 

事情通の視聴者は、次回で「おお、幻の巻が書かれるのか」と期待したのでしょうね。5歳児にも分かるように、とは言いませんが、源氏知らずにも、そのあたりが分かるようにしてほしい、と思うのはM男だけではないはず。



道長の病は頭痛だったようです。「キーン」という、いかにも頭痛を思わせる効果音も鳴っていました。帝に奏上された道長の辞表を、帝は「返したくないな~」なんて言ってます。

 

つまり、辞表を受理し、道長の左大臣職を解きたい気マンマンですが、返すことが先例ですという言葉に、しぶしぶ従っています。でも、返すまでに1カ月以上、帝は手元に辞表を置いておいたとか。よほど受理したかったのでしょうね。


まひろ、大胆にも「宇治川心中」のお誘い



百舌鳥彦の機転で、まひろは宇治まで足を運びます。京都から宇治までは20キロメートル以上ありますから、ほぼ1日がかり。まひろ、ひとりで来たのかな、なんて細かい突っ込みはこの際置いといて、感動シーンが続きます。




病に侵され衰え、いかにも弱弱しい道長。やれブラック道長、鈍感道長などとこき下ろしていましたが、いざこんな姿を見せられると、はっとします。まひろも、涙を流していました。

 

そして川辺へ。当然、誰もが幼き日のまひろと三郎との川辺のシーンをオーバーラップさせて見ています。終盤でのこの展開を見越しての若き日の出会いですから、もうお見事としか言いようのない運びです。




痛々しい道長の姿を見かねて「もう、私との約束はお忘れくださいませ」と、道長に頑張らなくていいのよ、と助け船を出すまひろ。道長は「俺の命は終わる」と。すると、なんとなんとまひろは「私も一緒に参ります。この川で二人流されてみません?」えっ、心中のお誘い?? いきなり「曽根崎心中」? 大胆かつ強烈なヒトコトに見てるほうがドキドキしてきます。

 

道長は「お前は俺より先に死んではならん」と、ちょっと上から目線だけど言われた方はチョー嬉しい愛の告白。まひろも負けずに「ならば、道長さまも生きてくださいませ。道長さまが生きておられれば、私も生きられます」と、倍返し以上の愛の告白。

 

そして道長号泣。M男も泣きました。これ以上の魂の触れあいはありますまい。真っ昼間の濃密シーン。しかも、絶叫とか過剰なセリフ回しではなく、あくまでも落ち着いたまひろの表情が、かえって凄みを感じさせます。

 

これまで、いろいろ名場面はありましたが、M男的には、もしかして今回が一番になるかも。


宇治の川辺でまひろも再生。そして新たに書き始める「宇治十帖」



都に戻ったまひろは、再び執筆に取り掛かります。『宇治十帖』の始まりです。道長も、次回予告を見る限りにおいては、少し元気を取り戻したようです。

 

つまり、宇治の地で愛を確かめ合った二人は、それそれが生きる糧を見出し、再生の道を歩み始めた、ということ。しかも、そこに『源氏物語』再開が、絶妙に織り込まれています。そうか、そういう展開なのかと、これまた大石静さんに感服です。


じつは紫式部の没年は不明。ということは、あっと驚くエンディングも可能?




ここからは蛇足にしてややネタバレですが、「俺より先に死んではならぬ」と道長に言われた、まひろこと紫式部の没年に関しては、諸説が入り乱れ、はっきりしたことは分からないそうです。

 

一番早い説では、今回描かれた長和元年(1012)の2年後。それから20年近く生きていた、と唱える学者もいるようです。ちなみに、道長の没年は万寿4年(1027)と、明確にわかっています。

 

まひろがいつまで生きていたか、真相を知りたいところですが、没年がわからない以上、どんな晩年を描くことも可能で、なんなら道長よりも長生きしていた、という設定もあり得る? ということは、あっと驚くようなエンディングが待っているのでしょうか。

 

道長の、例の「望月の欠けたること」の歌は、はたして登場するのか、その場面にまひろはいるのかいないのか。そもそも歌は登場しないのか。残り少なくなりましたが、楽しみは尽きません。

























































































































































































































































「光る君へ」言いたい放題レヴューとは……

Premium Japan編集部内に文学を愛する者が結成した「Premium Japan文学部」(大げさ)。文学好きにとっては、2024年度の大河ドラマ「光る君へ」はああだこうだ言い合う、恰好の機会となりました。今後も編集部有志が自由にレヴューいたします。編集S氏と編集Nが、史実とドラマの違い、伏線の深読みなどをレビューいたしました!

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