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「光る君へ」言いたい放題レヴュー

2024.10.10

道まひの関係ほぼバレ?娘は反抗期!物語論をぶち上げてまひろさんが歌います「人生いろいろ」!

光る君へ 第37回「波紋」あらすじ&今週も言いたい放題
道長との関係はほぼバレ、平安時代の反抗期もキツイぞ、そしてまさかの物語論展開!



今週のお当番、N子です。今週のタイトルは「波紋」ですからね、色々なところ、人の心に「波紋」が広がっていきます。道長、まひろの関係にうっすらと気づいている倫子さま、赤染衛門。他の女房たちそして、まひろと家族の関係。まひろの描いた物語自体が独り歩きしだして、こちらもさまざまな影響を与えていきます。




倫子さまのひきつった笑顔がコワイ?おかわいそう?複雑な心中、お察しいたします!



彰子さまは出産のため土御門邸にお里下がり中。倫子さまはのちの後一条天皇となる敦成(あつひら)親王をやさしく見つめています。心配この上なかった娘がようやく一条帝との子を成してくれて、孫を抱くよろこびにあふれているはずなのに。



後宮に戻る際、まひろの物語を美しい紙に清書し、整え、冊子にして帝に献上するという彰子さまのアイディアを聞いた倫子さまの悲しそうなお顔……。それを見つめる赤染衛門、倫子さまのお心をお察し、です。



倫子さまも赤染衛門も、そりゃあ薄々気付いていたのだと思います。彰子さまプロジェクトを成功させるに、「物語で釣る」という方策を取り、それが成功したとはいえ、道長とまひろ、なんだかあやしいと。現場に踏み込んだわけではないが、匂う!それも、単なる浮気っぽい関係ではなさげなのが、余計にイラつかせます。




赤染衛門もクギは指すものの、まひろの物語から彰子さまの運が上がってきたことは間違いないので「お方様だけは傷つけないでくださいね」というにとどまります。

美しい冊子にまとめられた、源氏の君の物語33帖爆誕です



彰子さまと女房たちがキャッキャッウフフしている昼下がり。冊子に使う色とりどりの紙を前に、どの色の紙をどの巻に使うかを検討中です。




彰子さまも加わり、女房たち全員で冊子に仕上げていきます。ゆったりとした時間が流れていきます。雅びですわ。




各巻の清書は、当時の能書家(書道が格別にうまい人のことです)をアサイン。なんと藤原行成の清書シーンがありました。これはフィクションですし、原本は残っていないので、本当のことはわかりません。



行成、三跡のひとりですから。格別に字が美しいとされた三人のひとりですからね。そして確かに一条帝の蔵人ですし、行成が清書を担当していてもおかしくありません。もし本当に清書していて、その原本が残っていたなら、それはまさに国宝級です。




平安時代にも反抗期あり!娘・賢子は母・まひろを許すことができない……




冊子もできて、一段落ついたので、まひろは久しぶりに里に戻ることをお願いします。彰子さま、最初はノー!と言っていましたが、まひろも母親であることを思い出し、自分のことばかり考えていたことを反省。お里下がりを許します。



まひろが物語を通じて、帝への道を切り開き、自分の気持ちを表現できなかった彰子さまが変わることができたのも、まひろの情操教育のおかげ。それを身に染みてわかっているので、まひろが側を離れることを恐れるのでしょう。


それに何と言っても道長の娘ですからね。なんかわかんないけど、まひろラブになってしまうんでしょうね。血は争えないのです。


まひろ、牛車に乗って実家にお戻りです。精米された真っ白いお米や、お酒、お菓子、絹など、上等なお土産もいっぱいです。まひろ、かなり成功した平安のワーキングウーマンですから。


為時パパは年を召しましたなあ。乙丸もいともみんな変わらず賑やか。でも賢子だけは違います。冷ややかな視線、他人行儀な口ぶり。母の愛情がほしいくせに、さみしさが募って、それが批判的な態度になってしまいます。それって反抗期ですよね? 平安時代も今も、思春期の子どもは変わらないということでしょうか。




「母上が妾だから!」娘・賢子絶叫!それではまひろさんが歌います…「人生いろいろ」!



実家に戻ってきて、そのみすぼらしさを実感するまひろです。土御門邸や、宮中の華やかさと比べたら、そう思うのも仕方のないこと。外の世界、それも日本で一番位の高い女性のもとで働けば、見るもの触れるもの、当時の最高だけが、そこにはあったはず。



これは、現代にも通じることですよね。成功して見る世界と、現実の生活とのアンバランスに身を持ち崩す人はたくさんいます。まひろもセレブの仲間入りしたわけで、自慢したいわけではないけれど、ペラペラと宮中の様子を話して、賢子に嫌われる始末。帰り際には「母上が妾だから、こんな貧しい暮らしをしている!」と絶叫されていました。


……いやいや賢子や。そなたの母上はな、初恋の相手・道長との恋に終止符を打ったのも、妾になりたくなかったからなのじゃ。そこまで自分を貫いたのに、おじじさまが10年も官職を得られず、婿になってくれるような殿御はおらんかった。四面楚歌だったのじゃ。

 

 

と、架空のおばばさまになって、賢子をさとしてやりたい気持ちになったのは私だけでしょうか?



この状態での自分の在りようって難しいと思います。まひろはまだ踏みとどまっているほうでは。貴族とはいえ貧しい受領階級に生まれ、身分の低さによって、恋も結婚も諦めることが多い人生だったまひろ。自力でつかんだセレブ生活に多少酔ったところで、いいではないか!と私は思うのですが、残された家族はそんな気持ちにはなれないのもわかります。


まひろのこの頑張りで、賢子も彰子の女房になって、その後、三位という高い地位につく流れを作ることができたわけで、母・まひろの努力に感謝するときがくるでしょう。反抗期を遠く過ぎてから気づくことでしょう。


それではまひろさんが歌います……「人生いろいろ」!って、MCしたくなっちゃうほどの人生なんですから。



一条帝&彰子主催の物語朗読会開催!
すごいぞ紫式部。『源氏物語』の物語論がここで描かれるとは!


この回の白眉は、一条帝の発案で物語の朗読会は開かれたところだと、私は思います。これはかなりツウな、エグイところを持ってきたなあという印象。でもでも、大石静さんはじめ、ドラマ=物語を描いてきた人にとって、とても大切なくだりです。


内裏に戻った彰子さまが献上した『源氏物語』ここまでで33帖。美しい仕上がりにも帝も満足です。物語はまだ続くと宣言したまひろに激励の言葉をかけてくださっただけでなく、朗読会の提案までしてくださいました!



藤壺で開催された会は、それは華やか。一条帝と彰子さま、今をときめく公達が居並び、女房たちも続きます。

読まれているのは26帖の「蛍の巻」のようです。この巻で有名な、光源氏の語る物語論のくだりを読んでいるではありませんか。よりによってここを持ってくるか!さすが大石静さんです。

「蛍の巻」では、光源氏は玉鬘を引き取って面倒を見ています。田舎から出てきた玉鬘が物語に夢中になり、懸命に書き写している様子を見ながら、光源氏が語りかけるシーンが読まれているようです。以下、ビデオを見ながら、そのセリフを書き取ってみました。

光る君は「無骨なことを言ってけなしてしまったかな。物語は、世にあることを書き記していると言われているよ。
日本記などは、ほんの一面に過ぎない。物語にこそ、道理にかなった詳しいことが書いてあるのだろう」と言ってお笑いになった。


このくだりを聞いて驚いたのは藤原斉信や公任です。「今、日本記よりも物語を持ち上げたのか?」と斉信が公任につぶやきます。公任は「帝がお読みになるとわかってよく書けたものだ」とあきれていました。

日本記(日本書紀)など、国家の成立の歴史を公式記録として漢字で書かれたものが上であり、物語など、ひらかなで書かれたものは格下、女こどもが使うものとされていた時代です。和歌も物語より上。漢字で書かれたもの>和歌>物語という順番です。

私たちは『源氏物語』の原本、もしくは当時に書写されたものを見ることはできません。現存していないのです。最古のものが2019年に発見されましたが、それでも紫式部が書いていた時代よりほぼ200年後のもの。

でも『御堂関白記』の原本は残っているんですよ。「光る君へ」の時代考証を担当されている倉本一宏氏の著書「紫式部と藤原道長」(講談社現代新書)には、こう書かれています。


たとえば、近衛家には『源氏物語』の古い写本があったにもかかわらず、十五世紀の応仁・文明の乱に際して、『御堂関白記』をはじめとする家伝の古文書五〇箱を京都北郊の岩倉に疎開させたが、『源氏物語』は置いたままにした。応仁の乱で近衛家の邸宅は焼失し、『源氏物語』も運命をともにしたが、『御堂関白記』や古文書類は難を逃れた。前近代における文学の地位は、こんなものだったのである。

 

倉本一宏著「紫式部と藤原道長」(講談社現代新書)より


道長が書いていた日記「御堂関白記」は残り、紫式部が書いた『源氏物語』は残っていないことの理由は、物語は格下だから、ってことなわけです。


なのに、紫式部は堂々と「歴史書に書かれた事実だけでは把握できないことがある。物語の中にこそ、その時代や生活の真実が書かれている」ということを書いているわけです。

 

すごいぞ紫式部。物語の地位が低かった時代にあって、大胆な物語論を作品中に込めた心意気に胸を打たれます。

 

脚本家の大石静さんも、物語を紡ぐ者として、ここは書いておきたい!と思ったのではないでしょうか。



ブラック道長が出現か。第二皇子の敦成親王を次の東宮に、って言いました?

 


藤壺に盗賊が入って、女房が身ぐるみはがされた、というのは史実だそうです。ドラマでは襦袢姿の若い女房ふたりが震えていましたが、本当は全裸で発見されたとか。

そんなとき、真っ先に藤壺に駆け付けてくれたのはまひろさんでした。夜中まで執筆して、起きていたからなんですけどね。彰子さまも道長も、まひろへの信頼がさらに高まります。

 

 


まひろに感謝の意を述べる道長ですが、去り際に耳を疑うようなことを言います。敦成親王さまは次期の東宮となる方だから、と。

 

 

え???と目が泳ぐまひろさん。今なんておっしゃいました? ……定子さま所生の第一皇子、敦康親王がいらっしゃいますけども?ブラック道長が現れ始めたのでしょうか。敦康親王さま、悲劇の皇子さまフラグが立ってきました!

ここのところ、ドラマと『源氏物語』がかなりリンクしてきており、まさに佳境。まひろが構想中にメモしていた「罪」「罰」という言葉も気になるところ……クライマックスまで目が離せません!

























































































































「光る君へ」言いたい放題レヴューとは……

Premium Japan編集部内に文学を愛する者が結成した「Premium Japan文学部」(大げさ)。文学好きにとっては、2024年度の大河ドラマ「光る君へ」はああだこうだ言い合う、恰好の機会となりました。今後も編集部有志が自由にレヴューいたします。編集S氏と編集Nが、史実とドラマの違い、伏線の深読みなどをレビューいたしました!

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