光る君へ 第47回 「哀しくとも」あらすじ&今週も言いたい放題
周明、刀伊の入寇に巻き込まれて死す!
乙丸渾身の絶叫に背中押されてまひろ帰京するも、倫子さまの直球に修羅場覚悟
今週のお当番、N子です。まひろと周明がまさか刀伊の入寇の戦闘に巻き込まれてしまうなんて……。周明のこんな亡くなり方ってありですか?って言うシーンからスタートした回でした。
その後まひろはなんとか帰京しますが、倫子さまの直球発言に目を泳がせるしかないまひろ……という流れが見事。あーあ、もう来週で最終回を迎えるなんて信じられません。
「帰ってきたらお前に話したいことがある」発言に、その後の展開はお察ししました
前回、まひろが物語を書き終え、最愛の人を自分だけのものにもできず、燃え尽き症候群してたとき、周明は励ましてくれましたね。
そして松浦から帰ってきたら「お前に話したいことがある」と告げる周明……。この発言で、テレビの前の全大河女子は察しました。周明、バッドエンドが近いんだなと。
そして今週、その予想はドンズバ。まさか刀伊の入寇の戦闘にまひろと一緒に巻き込まれて流れ矢にあたって死んでしまうとは思わなんだ!
まひろ、そして乙丸の目の前で人が亡くなるのはこれで2度目ですよ。最初はまひろが子どものとき、すれちがっただけの道兼に、なんの咎もない母・ちやはが刺殺されてしまうという災難に遭いましたよね。
乙丸渾身の「帰りたいーーーツ」の連呼がまひろの背中をガツンと押した!
その後、乙丸はあのときお方さまをお守りできなかったことを悔やみ、生涯かけてまひろを守ることを誓ったと言っていました。
そして今回です。双樹丸の助けを借りながら、倒れた周明に泣きすがるまひろを抱えて、乙丸はその場から逃げることに成功します。
大宰府に戻ったまひろは呆然自失。ただ泣いているばかりです。隆家が帰京する際、一緒に帰るかどうかを聞くと、ここで周明の菩提を弔うと言い出します。
突然、御簾の外から「帰りたいーーーッ」と絶叫し続ける乙丸。まひろも隆家もびっくりです。それでもお構いなしに絶叫する乙丸に背中を押される形で、結局隆家とともに帰京することになりました。
乙丸、そりゃ帰りたかったと思います。愛しいキヌのために大宰府の市で欲しがっていた紅をお土産に購入しました。あいつのよろこぶ顔が目に浮かびます。
でも、乙丸の絶叫はそれだけではなかったと思うんです。心が折れてしまい、うずくまっているだけのまひろをここに留めておいてはいけない、無事に都に連れ帰るまでが俺の仕事、って思っていたはずです。
普段は従者として気配を消している乙丸が、まひろの気持ちを帰京に差し向けるように、一世一代の絶叫をしたのでは。調子っぱずれな絶叫にちょっと笑ってしまいましたが、そんな、乙丸の不器用な愛情を感じました。
隆家らに報奨を与えない朝廷。実資の実直な人柄が光ります
刀伊の入寇を防ぎ、大宰府や九州を守った隆家たちの素晴らしい働きに対し、朝廷は十分な報奨を与えようとしません。
関白となった頼道は、戦っている最中に援軍も出さなくていいと判断し、九州から都までの重要地点を守ることもしませんでした。
実資は道長にこっそり進言し、なんとか事態を好転させようとしますが、道長が意見しても頼道は動きません。
道長、失恋出家は早まったな……と思ったはず。頼道には、道長の思いは十分に伝わっていないのです。
それにしてもブレない実資がいいですね。動こうとしない公卿たちを一喝する実資の志の高さ!腹の座った実資を演じるロバート秋山さんがいい。どんな時も自分が正しいと思う道を行く姿がとても清々しいです。
ああ、すれ違いとめぐり逢い。究極のソウルメイトなんだから一緒になってしまえと思うのは私だけですか?
女房として日々頑張っている賢子の姿を見かけ、思わず声をかける道長。っていうかさあ道長。たっくさん子どもがいるけど、愛情あふれるまなざしで、やさしく声をかけてあげることなんてなかったのでは?やっぱりまひろと自分の子だからね、賢子にも特別な愛情がある様子です。
賢子は???って感じでしたが、最終回ではどうなるのでしょうか?賢子は本当の父が道長だと知ることはあるのでしょうか?
大宰府にいるまひろの安否を気遣って気を揉んでみたり、そして……土御門邸に上がったまひろと再会して、無事に都に、俺の元に帰ってきてくれたまひろ!って、もう道長の目が叫んでいました。
道長も、まひろのこととなると、他のこととは違います。柄本佑さんの顔芸が繰り出されます。そんなに好きなのか道長!って問い詰めてやりたい。
お互いが歩みよろうとしたのもつかの間、まひろは倫子さまに呼び出しです。
私が気づいていないと思っていた?って倫子さまに言われても……まひろ、目が泳ぎまくっています。倫子さまの静かなお声で言われると、怖さ倍増です。来週どうなるんでしょう。
やっぱり、ここまで来たらもう妾になるしかないと思うんです。じゃないと周囲の人を傷つけてしまうから。いっそ妾になって、歯車のひとつになってしまうほうが潔いと思うのですが……。まひろも道長も面倒くさい人です。
最終回は15分延長の丸1時間。まひろと道長の長い旅はどう終わる……
最終回を目前にして思い返せば、今回の大河ドラマ「光る君へ」は、文学への愛に満ち溢れたものになっていました。
多くの漢籍から始まり、「枕草子」「源氏物語」「栄花物語」そしてどうやら最終回には「更級日記」の発端まで、ドラマの中で見られそうです。
古典文学へのリスペクトと愛情に溢れた脚本に脱帽するしかありません。
また、平安時代の政治システムや、政治的潮流がよくわかる構成でした。「源氏物語」は光源氏の女性遍歴と栄達、人生の浮き沈みを読み取ることができますが、貴族たちの実際の仕事ぶりなどは垣間見ることができませんでした。
でも「光る君へ」では、殿上人の働きぶりや生活、受領階級の貴族たちとの違い、ヒエラルキーまで可視化していました。史実と異なる点はたくさんありましたが、とても理解が深まりました。
そしてなんといっても大石静さんの大胆な脚本に敬意を表したい。
平安時代の政治的要素と文学作品群を見事に絡めてくれました。要所要所に引用が巧みに取り入れられ、平安時代の女性たちの文学的発達をまざまざと見せてくれました。
和歌や物語、随筆を書く能力があれば、女でも世に出ていける時代でもあったんですよね。
「源氏物語」というすさまじい大長編作品を、よくぞここまで料理してくださった!と大石さんにお礼を言いたいくらいです。
最終回はM男さんがお当番。私はただ1時間、テレビの前で物語の世界にひたるだけです!
「光る君へ」言いたい放題レヴューとは……
Premium Japan編集部内に文学を愛する者が結成した「Premium Japan文学部」(大げさ)。文学好きにとっては、2024年度の大河ドラマ「光る君へ」はああだこうだ言い合う、恰好の機会となりました。今後も編集部有志が自由にレヴューいたします。編集S氏と編集Nが、史実とドラマの違い、伏線の深読みなどをレビューいたしました!
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