「とんかつ鈴新」の煮かつ丼「とんかつ鈴新」の煮かつ丼

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これを食べなきゃ人生ソンだよ

2026.3.26

時折り無性に食いたくなる「かつ丼」。 東京のベスト5を探索してみた!

文=バッシー





時折りガツンと気合を入れたくなるときに食べるもの、それがカツ丼である。

まあ、そういう場合に限ったもんでもないが。

今回は、「とんかつ燕楽」、「とんかつ鈴新」、「新潟カツ丼 タレカツ 本店」、「とんかつ 銀座 梅林」、「小春軒」の東京ベスト5を紹介する。






カツ丼を待っている時間はなぜかソワソワする。大好きなトンカツが、玉ねぎとともに出汁ツユと玉子でとじられている様を想像する。こんなにシアワセな時間はなかろう。

とは言え、最近の東京のカツ丼は多様化して、4種類もあることを指摘しておかねばならない。

 

①従来通りの玉子でとじたカツ丼

②玉子でとじないサクサク系カツ丼

③タレカツ丼

④高級トンカツ屋の、玉子の上に分厚いカツが載ったカツ丼

 

筆者が容認するのは①と③だ。②も④も勘弁願いたいもんだ。これのどこがいいのか分からん。普通にトンカツ定食を食えばいいんじゃね? 最も好きなのは、言うまでもなく①である。






筆者はトンカツの大先達が喝破するカツ丼における「理想の三大原則」に、激しく同意する。それは、「揚げたて。薄くて。蓋閉めて」という「三て主義」のことだ。蓋を閉めて一瞬蒸らすことによって一体感が出る。

 

 

やはり、カツ丼のカツは揚げたてで、さほど厚くなく、玉ねぎを煮て、その上に載せたカツの衣が半熟ぎみの玉子に覆われ、衣は出汁ツユを十分に吸ってグニュグニュとなり、蓋をしてちょっと蒸したものがいいのである。






東京のトンカツ上位の店だから
カツ丼も間違いなし!の「とんかつ燕楽」。

「とんかつ燕楽」である。一昨年の東京トンカツのベスト1に選んだ店だ。ジャンルで言えば①である。

 

(トンカツについては以下を読まれたし。
「とんかつ燕楽」は2024年のナンバー1の店だ

 

相変わらず誠実な店だ。キャベツを3人分ぐらいずつ、その都度切るところに、主人の心意気を感じる。






前回、開店と同時に入ったら、筆者に続く客が口々に「カツドン」、「カツドン」と頼むから、物凄く気になっていた。

目の前でトンカツを揚げている。待つことしばし、玉子でとじた見事な見栄えのカツ丼がやって来た。






「とんかつ燕楽」のかつ丼 「とんかつ燕楽」のかつ丼

「とんかつ燕楽」のかつ丼






なにしろ、トンカツの旨さは折り紙付きだ。カツはぶ厚いのに、衣がカツに貼りついて、まるで剥がれないところが立派だ。筆者の理想からすると、ちょっと厚いのだが、旨いカツだから許す。玉ねぎの量はかなり多めで、その上に、玉子でとじたカツが載っている。蓋はない状態で出される。蓋で蒸していないのはちょっと残念だが、衣は割下の出汁ツユを充分に吸っている。






出汁ツユは甘すぎず、とてもいい塩梅だ。白メシは硬い。そこがいい。ツユだくで、出汁ツユはご飯の底に溜まるぐらいたっぷりだ。豚汁と糠漬けも旨い。ゆえに言うことなしなのである。次回はヒレカツ丼も食ってみたいものだ。






「とんかつ燕楽」の入口 「とんかつ燕楽」の入口

「とんかつ燕楽」の入口

とんかつ燕楽

東京都大田区池上6-1-4

℡03-3754-8243

火~土:11:00~14:30、17:00~21:00

定休日:月・日

カツ丼   1300円

ヒレカツ丼 1700円

とんかつ定食 1550円






誰もが納得するであろう
東京のカツ丼ナンバーワンは「とんかつ鈴新」で決まり。

今回も例によって、名の知れたカツ丼屋、蕎麦屋などを回った。しかし、なかなかいいものには巡り会えない。豚が臭かったり、冷凍臭かったり、厚すぎたり、脂がしつこかったりして、満足できるものはなかなかない。






しかーし、この「鈴新」、東京のカツ丼と言えば真っ先に名が挙がる店の一つだが、一口食べてみて、「これだ、これだよ、ワシが求めていたのは」と思ったね。分類はもちろん①である。

四谷荒木町の奥まったところに、古くからある店だ。何度も店の前を通ってはいたが、入るのは初めてだ。

 

 

店内は薄暗く、あまり整頓された感じはない(苦笑)。常連が多い感じ。店主は客と絶えず会話を続けながらも、鍋に注がれる目つきは鋭い。その職人的な佇まいからして、ここは当たりだと直感した。






待つことしばし、カツ丼が、うひょ~、ちゃんと蓋をされて出てきた。

 

蓋を開けると、黄金色に輝くカツが玉子でとじられて艶光りしているではないか! ところどころは半熟だ。

さっそく一切れ食べてみたが、衣は充分に割下の出汁ツユを吸ってふやけている。このぐにゅぐにゅ感が好きなのだ。そして、丁寧に揚げられたカツに、歯がメリメリっと食い込んでいく。実に柔らかく歯切れがいい。肉は甘みを持っている。そこに、衣の出汁と玉子のとろみが二重にかぶさってくるのだから、たまらん。

「とんかつ鈴新」の煮かつ丼 「とんかつ鈴新」の煮かつ丼

とんかつ鈴新の「煮かつ丼」






下に敷かれた玉ねぎは煮すぎていない。半シャキで、そこがいい。白米は硬く上質で、必要十分なほどにツユで潤っている。

サイドには、豚汁、漬物4種、金平ゴボウが付いている。とても客思いな店じゃないか。感心した。






ところで、実はこの店には「かつ丼三兄弟」と称して、「煮かつ丼」「かけかつ丼」「そうすかつ丼」と三種もある。店が推奨するのは二番目の玉子でとじていないサクサクの「かけかつ丼」なのである。

店内を見回すと、三種とも出ているようだ。大根おろしで食べる「そうすかつ丼」も旨そうだったなあ。






「とんかつ鈴新」の入口 「とんかつ鈴新」の入口

「とんかつ鈴新」の入口

とんかつ鈴新

東京都新宿区荒木町10-28

℡03-3341-0768

煮かつ丼、かけかつ丼、そうすかつ丼

いずれも1900円






カツ丼原理主義者も一度は
「新潟カツ丼 タレカツ 本店」に行ってみて欲しいゾ。

ジャンルで言うと③、玉子なしのタレカツ丼である。支店は神保町の古本屋街にもあって気になっていたが、今回は本店に入ってみた。この店は正解だった。

 

 

JRの水道橋から3分ぐらいの距離だ。かなりの人気店なので、昼時にはなかなかの混雑ぶりとなる。11時開店で22時まで休みなしだから、ちと昼メシ時からズラして訪れると待たなくても入れる。






丼を待つ間に、机上の説明書きを読む。

 

「和豚もちぶた:新潟が主産地の国産ブランド豚『和豚もちぶた』にお店で一枚ずつ丁寧にパン粉を手付けして純正ラードでカラッと揚げています」

「新潟産100%こしいぶき:ご飯は新潟産の『こしいぶき』を‶おいしい水″でちょっと硬めに炊きあげています」

「天然酵母有機醤油:天然酵母で醸造した最高級の下総しょうゆに砂糖・特製スープを日々注ぎ足した秘伝のタレです」

品質へのこだわりと、丁寧な調理が伺えるではないか。厨房では、兄ちゃんがひっきりなしに豚のヒレ肉を叩いている。






「新潟カツ丼タレカツ本店」の野菜カツ丼 「新潟カツ丼タレカツ本店」の野菜カツ丼

「新潟カツ丼 タレカツ 本店」のかつ丼






頼んだのは「野菜カツ丼」である。ヒレカツ2枚に野菜のフライが付いたものだ。

店内にある写真通りのカツ丼がやってきた。まずは、カツだが、叩いて平べったくしたものが能書き通りにカラリと揚げてある。うむ、甘すぎないタレがいい。おおー、これはなかなか旨えゾ! 平べったいから実に食べやすい。

 

 

野菜は、ブロッコリー、ヤングコーン、ナスとカボチャとミニトマトだが、豚の合間に食べるといいバランスだ。海老天の代わりにヒレカツ、つまりフライ版の天丼みたいなもんだな。






卓上には生姜の漬け物、和カラシ、山椒、七味が置いてあって、特に和カラシをつけるのが筆者は好みだね。

山椒も七味もワシは要らんな。ツユだくのご飯が旨い、ワカメの味噌汁も旨い。

よって、この店は言うことなしなのである。一度は食べてみて欲しい。

 

 

最後に申し添えておきたいのは、接客の丁寧さだ。言葉遣いがよく、コップの水への目配りも怠りない。これは経営者の精神の表れなんだろな。気持ちがいい。一人で来ている女子も何人かいる。こういう店は間違いないのである。






「新潟カツ丼 タレカツ 本店」の入口 「新潟カツ丼 タレカツ 本店」の入口

「新潟カツ丼 タレカツ 本店」の入口

新潟カツ丼 タレカツ 本店

東京都千代田区西神田2-8-9

℡03-5215-1950

月~日、祝日:11:00~22:00

定休日:年末年始






東京を代表するカツ丼と言えば
「とんかつ 銀座 梅林」である。

これまた東京のカツ丼を代表する店である。創業は昭和2年で、銀座初のトンカツ専門店らしい。最近はインバウンドも手伝って、行列が激しいから、ちと早めに並ばないとひどい目に遭う。






安いのは1400円からだが、3000円と都内でいちばん高いであろうカツ丼もある。今回は、特製ヒレカツ丼2700円を頼んだ。というのも筆者は、ロースカツよりもヒレカツのほうが、カツ丼には相応しいと思ったりするからだ。ロースだとカツ煮にしたときに、あの脂身の部分がどうも脂っこくて、ちょっとだけ違和感がするのだ。






さて、威風堂々の特製ヒレカツ丼が蓋で蒸された状態でやって来た。ヒレカツはしっかりと火が通っていて、なかなか分厚い。ゆえに、豚の味がしっかりする。






「とんかつ 銀座 梅林」のかつ丼 「とんかつ 銀座 梅林」のかつ丼

「とんかつ 銀座 梅林」のかつ丼







割下は甘さと辛さの中庸で、玉ねぎは多くはない。玉子も1個分だから少ない感じだな。スペシャルってのにすると、半熟の目玉焼きが上に載ってきて2個分の玉子となる。そっちの方が良かったかもね。

 

 

まあ、さほど感動するほどのものでもないが、がっかりすることもなく、上等な部類のカツ丼でしょう。

白米は大盛りまで無料だが、硬めに炊いてあって旨い。味噌汁は赤出汁、漬物は旨いけど少ねえな。お茶はあまり味がしないけど、頻繁についでくれるからサービス精神は旺盛だね。

「「とんかつ 銀座 梅林」の入口 「「とんかつ 銀座 梅林」の入口

「とんかつ 銀座 梅林」の入口

とんかつ 銀座 梅林

東京都中央区銀座7-8-1銀座梅林ビルB1F

℡03-3571-0350

11:30~21:00

カツ丼        1400円

スペシャルカツ丼   2300円

特製ヒレカツ丼    2700円

黒豚スペシャルカツ丼 3000円






デミグラスソースのカツは他に類なし。
「小春軒」は店も古いが客も古い。

歴史のある店だ。なにしろ、初代の店主、小島種二郎は明治の元勲・山縣有朋邸の料理長だったという。妻「はる」との結婚を機に独立し、二人の名前を取って「小春軒」としたんだって。シャレてるじゃんか。明治45年のことである。






当店は「人形町洋食御三家」とされる洋食屋なのだが、揚げ物メニューが豊富にある。店も古いから客も古い(笑)。爺さんがやたら多いのだが、昼からメンチとかコロッケとかハンバーグとかの定食を食っているんだから、元気だねえ。






カキフライライスやメンチカツを食べている客もいるが、半数ぐらいは「小春軒特製カツ丼」を頼んでいる。都内でも珍しいのだが、デミグラスソースカツ丼である。ジャンルで言うと、これも③だな。






まず、半熟の目玉焼きが印象的だ。その下に割下をまとった小ぶりのロースカツが5~6個眠っている。また表面には、割り下で煮たジャガイモ、ニンジン、タマネギ、ピーマンの角切りが散らしてある。

特徴的なのは割り下で、隠し味としてデミグラスソースが加えてある。そこが洋食屋のカツ丼ってわけだ。


「小春軒」のかつ丼 「小春軒」のかつ丼

「小春軒」のかつ丼






カツが小さいところが食べやすい。ソースカツ丼とは違う、デミグラスソースの味わい深さを感じることだろう。半熟目玉焼きを割ると、黄身がトロリンと流れる。カツを絡めて食べるのがいいのである。まあ、カツ丼の変化球として紹介してみた。

 

 

ちと、気になったことが2点ある。白米の炊き具合がなんかベットリしてたなあ。実は丼もののご飯はとても重要で、このご飯は落第点であるから紹介するかどうか迷ったが(この日の具合が悪かったのか?)、他に類がないので出した。

 

 






それと、しじみの味噌汁はいいんだが、他にお新香なんかも付けて欲しいわな。給仕の女性がとてもキビキビとしていて感じがいいところは◎を進呈したい。

あ、そうだ。ご飯の量がとても少ないので、物足りなく思うかもしれない。ワシは何となく単品でメンチカツを1個頼んでおいたが、それを足してちょうど良かった。

「小春軒」の入口 「小春軒」の入口

「小春軒」の入口

小春軒

東京都中央区日本橋人形町1-7-9

℡03-3661-8830

月~金:11:00~13:30、17:00~19:30

土:11:00~13:00

定休日:日・祝日

小春軒特製カツ丼  1500円

とんかつ(定食)  1500円

メンチカツ(定食) 1100円

メンチカツ(単品) 500円






「これを食べなきゃ人生ソンだよ」とは

 

うまいものがあると聞けば西へ東へ駆けつけ食べまくる、令和のブリア・サバランか、はたまた古川ロッパの再来かと一部で噂される食べ歩き歴40年超の食い道楽な編集者・バッシーの抱腹絶倒のグルメエッセイ。



筆者プロフィール

 

食べ歩き歴40年超の食い道楽者・バッシー。日本国内はもちろんのこと、香港には自腹で定期的に中華を食べに行き、旨いもんのために、台湾、シンガポール、バンコク、ソウルにも出かける。某旅行誌編集長時代には、世界中、特にヨーロッパのミシュラン★付き店や、後のWorld Best50店を数多く訪ねる。「天香楼」(香港)の「蟹みそ餡かけ麺」を、食を愛するあらゆる人に食べさせたい。というか、この店の中華料理が世界一好き。別の洋物ベスト1を挙げれば、World Best50で1位になったことがあるスペイン・ジローナの「エル・セジェール・デ・カン・ロカ」。あ~、もう一度行ってみたいモンじゃのお。

 



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