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これを食べなきゃ人生ソンだよ

2024.9.27

香港に負けない!東京・新橋「家全七福酒家」の飲茶ランチが至福過ぎ!の巻

ランチで飲茶をするなら、日本一のここで!「家全七福酒家」は香港と比べても遜色なし



食い倒れ編集者バッシーに「美味しい飲茶が食べたいんです」とリクエストしたら、教えてくれたのがここ「家全七福酒家」。 東京一、いえ日本一美味しいとバッシーが絶賛するその味とは? 

 






東京でも本格的な飲茶がけっこう増えてきた。そこで東京で食べたい飲茶のベスを紹介したい。 


飲茶というからには、実は茶を飲むことのほうが大事なのだ。点心はその次だ。まー、しかし、ここは日本であるから、焦点は食べ物のほうに当てることにする。

古いところを挙げれば台湾からは「鼎泰豊」が、近年では香港から「添好運」が日本に上陸した。添好運は東京に3店舗あり、鼎泰豊にいたっては、日本に20店舗以上、東京だけでも11店舗もある。 


何年か前に、香港を代表する食の大御所に、「その店の味を守るのは、オーナーの厳格な舌だ」という話を聞いたことがある。「オーナーが料理長に遠慮しているような店は、味が廃れていく」と。 





そういう意味で、鼎泰豊や添好運はどうか。エラそうで、すんませんけれども、ハッキリ言えば、どちらも本国に比べると、点心の味はかなり落ちる。本国の点心師の徹底指導のもとに作り、社長が定期的にチェックの訪日をしているにもかかわらずだ。




厨房に立つトップの厳しい目に日々さらされていないと、料理は下降の一途を辿るものなのである。そもそも、同じ店であっても、中国料理ほど鍋を振る人によって味が激変するものはないことを筆者は実感している。


だから、その両店に行くたびに、「本国で食う点心は、こんなモンじゃねえゾ」と思うのだ。例えば、台北の鼎泰豊では、口に入れた途端に、これ、マジかよと、目を見開く。ただの蒸し餃子や小籠包が、魂を揺さぶられるほど旨いのだ。日本でそういう経験をすることはまったく無い。




そこで今回は、筆者がもう35年以上も通う店を紹介する。よく知る人にとっては、「そんなの意外性ゼロだね」ってな結論だろう。




家全七福酒家」、元々はあの名店だった



ここの飲茶は香港と較べても、まったく遜色がない(茶に関しては、香港が圧倒的にいい)。その名は、「家全七福酒家」である。元々は「福臨門魚翅海鮮酒家」(通称・福臨門)という店名であった。



福臨門は、7人いる兄弟が喧嘩をした末に、福臨門と家全七福の2つに分裂したのだ。福臨門は日本から消滅し、一軒だけ日本に残ったのが「家全七福酒家 東京新橋店」なのである。


大元の福臨門は、その本店は香港にあり、伝統的広東料理の最高峰的存在の一つとして知られる。往時には、東京に2店、名古屋と大阪と福岡に1店ずつの計5店が日本にあったはずだ(増やしすぎだヨ)。

家全七福酒家は、丸ビルの見晴らし良いところから、第一東京ホテルに移転した。「総料理長は変わっていません」とスタッフが言っていた。これ、いちばん重要なポイントだ。



本場・香港も凌駕する?! 点心の数々



「海老蒸し餃子」 「海老蒸し餃子」

「海老蒸し餃子」




まずは、「海老蒸し餃子」でその腕を確認しよう。半透明な皮は、モチッとしながらツルンという感じで、確かな技術を感じさせる。



齧れば、中の海老は当然のごとくプルッと弾けて甘く、海老と餡の味わいが実に豊かだ。これ、これ、これなのよねー。この一品だけで、「やはり、家全七福が一番だべ」と深くうなずく。





逃してはならない品がいくつもある。たとえば、「大根もち」だ。これは他店と比べたら雲泥の差がある。


大根もち 大根もち

「大根もち」は絶対にオーダーせよ。後悔はさせない。




他店のものは、大根がベタッーと一体化した餅のように平板なものになっているが、ここでは大根の断面は正四角形で細長く切った形が残っている。



包丁の切れ具合が凄まじい。もちろん、表面と裏は焼き色がついてカリッと香ばしく、中身は柔らかいのに大根の形状があり、つなぎの片栗粉の中に小さな金華ハムがまぶしてあり、大根の香りと味が深い。






ちょっと類を見ないほど旨い。初めての人は、なんじゃーっと、驚くに違いない。必食ものだ。


「フカヒレ入りスープ餃子」は、アツアツの上等な上湯の中に、フカヒレをほぐした木っ端と海老をくるんだ餃子が浮かんでいる。



「フカヒレ入りスープ餃子」 「フカヒレ入りスープ餃子」

「フカヒレ入りスープ餃子」のスープがたまらないのだ!




まずは熱々の上湯をすする。上質な金華ハムから丁寧にとったこのスープは、広東料理の神髄と言って良い。出汁に慣れた日本人の舌は、それを感じ取れるはずだ。





化調のように舌にピリピリ来ない、ホンモノのスープである。まったり柔らかいのだが、味の深さは広大無辺で、口中に染みわたってゆく。嗚呼!と、ここで深いため息。


このスープとともに餃子をすくう。滋味深きスープを吸い込んだフカヒレとエビをハフハフ言いながら食べる。何という快楽か! 私が推奨したいのは、ここに少量の赤酢を垂らすことだ(普通の酢を出してくるので、赤酢は頼んでくれい)。味が締まって、より一層の深みを与えてくれる。


他にも、「ニラ入り揚げもち」や「小籠包」や「海老入り春巻」など、何でも極上だ。


それから、点心メニューではなくて前菜の部類なのだが、「釜焼き叉焼」、これも必ず食べなくてはならない。



「釜焼き叉焼」 「釜焼き叉焼」

「釜焼き叉焼」




香港の福臨門や家全七福とほとんど違わない。ハチミツがトロリンで、豚はあくまでも柔らかく、旨味が恐ろしく深い。豚をどこまで旨くするかという中国人の執念すら感じさせる品だ。





他店のように、豚が臭うようなことは皆無である。食べたそばから幸せを嚙みしめることになるだろう。





さて、点心類はこのぐらいにして、野菜を食べておきたい。


季節の中国野菜(とは言え、日本国内で育てたもの)を食べるのがいい。この日は、カイラン、中国白菜、ブロッコリー、アスパラがあった。


どれも、野菜にポリポリ、シャクシャクする歯ごたえのあるものだ。中国人は葉よりも茎の部分の食感を大事にする。カイランの上湯スープ浸しで頼んでみた。もちろん野菜の茎の部分がシャクシャクして旨かったが、単純に塩炒めにしても良かったかもね。


最後の締めが、いつも頭を抱える。どれもこれも激ウマだからだ。自分に牛の胃袋があったなら、確実に4品は頼むだろう(笑)。



「干し鮑の煮汁を入れた干しタコと鶏肉の炒飯」 「干し鮑の煮汁を入れた干しタコと鶏肉の炒飯」

「中華風アンチョビと鶏肉の炒飯」は超パラパラで、至高の味だ。




例えば、「干し鮑の煮汁を入れた干しタコと鶏肉の炒飯」はもう絶品のひと言。炒飯というよりリゾットに近いのだが、何種類もの乾物を戻した旨味の凝縮である。未体験の人は、絶対に食べておくべき代物だ。




他に「福建風あんかけ炒飯」とか「和牛挽き肉とレタスの炒飯」もいい。特に私が大好きなのは、香港の冬の風物詩である「煲仔飯」(土鍋の炊き込みご飯)だけどね。これが一年中食べられるのは、まったくもって夢のようだ(笑)。


麺のほうは、汁麺も焼きビーフンも極上だ。


迷った末に、とりあえずスタンダードな、「中華風アンチョビと鶏肉の炒飯」と「黄ニラ入り醤油焼きそば」にした。


炒飯は油のまったく感じられない塩味で、信じられないほどパラパラで軽い。しかし、傑作なのは発酵させた魚(咸魚)のほぐし身と卵白と鶏肉のコンビネーションだ。その三者三様の旨味が合わさり、陶然とさせるほどの領域に達している。


咸魚は、よく中国式クサヤと説明されるが、クサヤほど特殊な味はしない。まあ、アンチョビぐらいの濃さかな。


「黄ニラ入り醤油焼きそば」は、通称で「香港焼きそば」と呼ばれるほど香港ではポピュラーなものだ。極細の卵麺(鶏蛋麺)に、具材は黄ニラとモヤシだけ。それを甘じょっぱい中国醤油(老抽)とオイスターソースでサラッと炒める。油っ気はほぼない。筆者が愛してやまない焼きそばであるが、他店のものはベチャーッとしてクドく、この店ほど軽快なレベルのものには日本ではなかなかお目にかかれない。


ちなみに、中国デザートは、どれを選んでも素晴らしい。


とりわけ黒胡麻の白玉団子やクルミの白玉団子は、昇天ものである。この店で飲茶ランチを食べた日には、深い深い幸福感に浸れることだけは請け負っておきたい。「平日限定飲茶コース」もお薦めだ。


ランチだけじゃなくて、名物のクリスピーチキンや北京ダック(広東料理屋なのに、これが素晴らしい)、ハタの蒸し物、フカヒレなどを豪勢に食べるディナーは、もちろん最高デース。



家全七福酒家 東京新橋店 家全七福酒家 東京新橋店

家全七福酒家 東京新橋店

東京都港区新橋1-2-6 第一ホテル東京2F

℡ 03-6273-3308

営業時間:11:30~15:00、17:00~22:00

定休日:月曜日

 

 

海老蒸し餃子(2コ)   960円

大根もち(2コ)     880円

フカヒレ入りスープ餃子(1コ) 2130円

釜焼き叉焼        2540円

中華風アンチョビと鶏肉の炒飯 3070円

黄ニラ入り醤油焼きそば    1430円

平日限定飲茶コース    5500円






「これを食べなきゃ人生ソンだよ」とは

うまいものがあると聞けば西へ東へ駆けつけ食べまくる、令和のブリア・サバランか、はたまた古川ロッパの再来かと一部で噂される食べ歩き歴40年超の食い道楽な編集者・バッシーの抱腹絶倒のグルメエッセイ。



筆者プロフィール

 

食べ歩き歴40年超の食い道楽者・バッシー。日本国内はもちろんのこと、香港には自腹で定期的に中華を食べに行き、旨いもんのために、台湾、シンガポール、バンコク、ソウルにも出かける。某旅行誌編集長時代には、世界中、特にヨーロッパのミシュラン★付き店や、後のWorld Best50店を数多く訪ねる。「天香楼」(香港)の「蟹みそ餡かけ麺」を、食を愛するあらゆる人に食べさせたい。というか、この店の中華料理が世界一好き。別の洋物ベスト1を挙げれば、World Best50で1位になったことがあるスペイン・ジローナの「エル・セジェール・デ・カン・ロカ」。あ~、もう一度行ってみたいモンじゃのお。

 



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