今回は東京のグルメバーガーのお勧め店 3軒を紹介したい。前回紹介した麻布十番「アルデバラン」を入れてベスト4となる。
東京のナンバー1はやっぱり麻布十番の「アルデバラン」だと思う。ここは日本一との呼び声も高い店だ。
➡ 日本一のハンバーガー屋・麻布十番「アルデバラン」には別格のバーガー体験が待っているの巻 を読みたい方はここをクリック
老舗「7025フランクリン・アベニュー」は、
最高に気持ちがいい店で、味はもちろん極上
東京はグルメバーガーの激戦区である。WEB上では旨いとされるハンバーガー屋が10軒以上あって、僅差で競り合っているようだ。しかし、10軒以上回ってみてよく分かった。食べログ上位のような店でも、ゲゲー、マジかよ、こんなひどいもん食えんよって店も多いのである。厳選して、最上の店をお届けする。
「7025フランクリン・アベニュー」は、グルメバーガーの先陣を切った店と言えるでしょうね。品川区の超高級住宅地として知られる高台・御殿山のすそ野あたり、住宅街の入口にある一戸建ての店だ。
店に入ると、窓からの陽光がさしこむ広々とした空間にちょっと驚く。テーブル間もゆったりしていて、いかにも居心地がいい。しかも、1990年創業とけっこう年季も経っているのに、店内はフローリングが輝くほどで、隅々までピカピカにきれいだ。
そして、スタッフの誰もがキビキビ・ハキハキで、ダルいヤツなんか一人もいない。おー、これぞ老舗という感じ。洋食の名店「香味屋」に通じるような清々しさが漂っている。
席はカウンターに通されたから、目の前が鉄板だ。店内の中心に位置するその焼き場で、ベテランの店長とその右腕の二人が、真剣に次々と注文をさばいて焼いている。その緊張感がピシッと店全体に伝わっている。
それも含めて、店全体にとてもいい空気が流れている。こういう雰囲気の店はなかなかないゾ。
さて実食だ。サイドで頼んだフレンチフライとオニオンリングスが来た。どちらもいいキツネ色だ。フレンチフライはカリッと揚げられていて、塩気もいい具合でジャストな味わい。オニオンのほうは、一度揚げたものを冷凍すると細胞が壊れる。それをふたたび揚げるのだが、マッシュしたかのようにシャワシャワしていて旨い。袋に横文字が書いてあったから、どちらも(おそらくは海外から輸入した)冷凍品だ。自家製ではないところが残念だが、まー、とても旨いから良しとしよう。
店主は1980年から5年間、アメリカ・ロサンゼルスでハンバーガーの修業をしたそうだ。だから、アメリカ風なのかと言うと、手掴みのアメリカ方式と、ナイフとフォークで食べるヨーロッパ式の両方を薦めている。いやいや、ナイフとフォークで食べちゃあダメだよ。きっと、御殿山から下界に降りてきたおハイソなご婦人が、「大きすぎてわたくしのお口には入りませんわ。ナイフとフォークをお貸しくださいますこと?」なんて感じで始まったんじゃねえか。(←これは単に妄想)。そんなヤツはそもそもハンバーガーを食うんじゃねえよ(と思う)。(笑)
で、私は最もシンプルなハンバーガーを頼んで、おハイソでもねえから、ガブリと一口で頬張ることにする。バンスと牛肉のパティ、薄切りトマト、薄切り玉ねぎ、レタス数枚、少量のピクルスである。やはり、中でもバンスとパティが90%ぐらいの味を決める。鉄板上で温められたバンスがいい。どこにも書いてないけど、パティはきっとUSビーフなのだろう。昨今流行りの粗刻み牛肉ではなく、ミンチ肉だ。昨今のガッツリ肉を食わすのよりもクラシックでいいね。
最初はバンスとパティだけを味わう。黒胡椒が際立ち、脂身が少なく、赤身肉の味がしっかりして、肉汁もあふれてまことに理想的だ。次に、他の具材と口の中で一体化させてみたが、これも思わずうーんと唸るほど旨い。野菜も入っているのに、まるで水っぽくない(これは大事な点だ)。マスタードとケチャップも用意されているが、付ける必要はまったくない。
安っぽい下品なハンバーガーは下品なコーラとかと矢鱈(やたら)と相性がいいのだが、この店のバーガーはとても上品で、コーラとは相性が悪い。コーラがバーガーの旨さを阻害するのだ。紅茶が合うかも。それは稀有なことかもしれない。きっと、悪い脂身を含んでいないし、バンスも上等だからだろう。
サイドメニューもとても多いから、4人ぐらいで来て、スープやサラダやフライドチキンとかいろいろ頼んでシェアしてみたいもんだ。実際、大勢で来ている客も多数見受けられた。横目で見たクラブハウスサンドウィッチやエッグサンドウィッチもとても旨そうだった。素晴らしい店だ。リピート決定やな。
7025フランクリン・アベニュー
東京都品川区東五反田3-15-18
TEL 03-3441-5028
(水曜~土曜)19:30LO、(日曜・祝)16:00LO
(月曜平日)14:30LO
定休日:火曜
ハンバーガー ミディアム112g 1320円
マッシュルームチーズバーガー ミディアム112g 1690円
フレンチフライ スモール 500円
オニオンリングス 500円
「THE BURGER SHOP」は野菜が別添え
珍しく頭を使ったバーガー屋だ
仕事場が近いせいで、20回くらいは通っているだろう。昼に行っても夜に行っても、愛想もテンションも低い店員にしか当たったことがないという、バーガー屋としては極めて珍しい店だ。笑える。たまたまかかっていたBGMはオリヴィア・ロドリゴのごりごりのR&Bなのに。
トランプ元大統領が初来日した時だったかな、彼のバーガーを作ったのがここである。
トランプが食ったバーガーがメニューにも載っているが(ステーキハウスバーガー)、普通の倍ぐらいの巨大さで、牛もも肉のステーキパティが3枚、チェダーチーズが4枚も入った、狂気の外見をしている。もちろん値段もダブル。果たして元大統領が喜んだのかどうか、そこまでは知らない。
この店は、バーガーに野菜を挟まないで出てくる。野菜は別の容器にマヨネーズとともに入っている。レタス、トマト、玉ねぎ、ピクルスが小さく刻んである。そこがいい点だ。野菜を最初からバーガーに挟んで、なおかつ旨くするのは、ものすごく難しい。
別の店の話だが、港区の超有名店に行ったところ、肉の脂と、トマト、レタス、ピクルスの水分で、途中からバンスの下3分1がべちゃべちゃになってもう持っていられない。液体がペーパーに溜まりまくっている。ベーコンも臭い。食えたもんじゃない。半分で食うのをやめた。何も考えずに惰性で作っている、こういう店、多いんだよな。
だいたい、ハンバーガーってのは、
こうした業界の中で、この店の人はなかなか頭を使っている。
で、実食。筆者は大体ベーコンを頼まない。ほとんどの店では脂ぎって臭いだけだからだ。いい思いをしたことがない。ゆえに、頼んだのはアボカドチーズバーガーである。
ワンプレートにすべてが載ってやってきましたよ。フレンチフライはマクドナルドと同じサイズだが、当店のほうがパリッと感が強くてはるかに旨い。最初はバーガーにそのままかぶりつく。バンスは表面が焼いてあって、非常に旨いのがこの店の特徴だ。そしてパティはUSビーフだが、粗いみじん切り肉とミンチ肉の中間ぐらいで、肉汁は充分で、脂身はやや少なめでどちらかと言えば上品な味だ。
私が薦める食べ方は、野菜を一気に挟み込むのではなく、面倒くさいが、ひと口で食べる分だけを挟むやり方だ。こうすればバンスが水っぽくなるのを極力防ぐことができる。それで、自家製のマヨネーズで野菜を和えて、バーガーに入れると、野菜なしで食べた時よりも格段に旨くなる。この小さく刻んだ野菜の味わいが強力に効果を発揮する。なかなかの発明だ。他店もマネしたほうがいいんじゃないだろうか。
ハインツのケチャップとカラシは卓上に置いてあるが、それらをつけないほうが、元の味が失われなくていい。ちなみにチキンナゲットは普通だった。昼から夜まで通し営業をしているところもポイントが高いね。
「THE BURGER SHOP」
東京都千代田区紀尾井町3-28 ADMIRAL紀尾井町1F
TEL 03-6261-5489
(月~金)11:00~21:00
(土日・祝)11:00~18:00
アボカドチーズバーガー 1820円
バーガー 1550円
ステーキハウスバーガー 4250円
「Burger POLICE(バーガー ポリス)」で
一番旨いのはフレンチフライかも!
「バーガー ポリス」とは、これまた色気のねえ店名だなと思っていたら、碑文谷警察署の真横だからポリスなんだね。店名決めるのって、そんな理由でいいのかね?(笑)
ものによって違うが、厳選黒毛和牛の経産牛のスネとネック肉をパティに使う、ファンも非常に多い店だ。
最初のオーナーはイタリアンの名店「Tacubo」の田窪シェフである。ゆえに、冷菜や温菜の充実ぶりはズバ抜けている。少し紹介すると、マッシュルームのポタージュ、ウフマヨ トリュフマヨネーズ、和牛タルタル、日南鶏のナゲット、海老とアボカドのフリット、オムレツ 蟹クリームなどなど。腹に余裕があれば、どれもオーダーしたくなる。
肝腎のバーガーは、さし挟む野菜がバーガーを水っぽくするという考えのもと、バーガーからはトマトやレタスなど、一切の野菜を排した。これは蓋(けだ)し卓見と言える。
現在、窪田シェフは当店に絡んでいないようだが、開店当初の方針はいまでも健在だ。だから、ここはバーガービストロとも呼ぶべき存在で、バーガー以外のものを色々頼んで酒を呑む。メインはバーガー。そんな楽しみ方が似合う。
店の若い兄ちゃんは感じが良くて、丁寧に説明してくれた。まず、店が薦める「塩バーガー」である。これはカリカリに焼いた硬質のバンスと、こんがり焼いて中身はミディアムレアの黒毛和牛のパティのみという大胆なものだ。和牛の味付けは有塩バターと胡椒と塩のみという潔さである。
肉はスネとネックでところどころで歯が筋を捉える。噛み応えがあり、和牛の旨味と甘味もけっこうするのだが、バーガーとして味わったときに、筆者には違和感があった。んー、やっぱりソースなしで、肉とパンだけってのはちょっと厳しいんじゃないんですかい? 黒毛和牛と言ったって、スネとネックだからねえ。あの日本一の「アルデバラン」の時もそう思ったが、みなさん一斉に粗く刻んだ肉に走っているけど、それで本当にいいのかね? ものによってはノーマルなハンバーグのような滑らかなミンチ肉も良いのでは? オプションのワイルドマスタードという粒マスタードをつけたら、味変できて旨くなった。
次は、これも店が薦める「ザ・バーガー」である。具は和牛のパティ、ボロネーゼソース、チェダーチーズ、玉子焼きだ。例によって野菜は入っていない。アッツアツで、シートを持つ手がかなり熱い。しかし、これだけ具が入っているから、「塩バーガー」とは違って、味わいが層を成し、ガブリ一口ですべてを味わうと、その一体感はなかなか旨かった。
そうだ、フレンチフライだが、ややコンソメの味がして、大きさがバラバラでポテトは皮つきだ。これは出色の出来だと思う。もしかして、バーガーより印象に残るぐらいかも?
バーガーポリス
東京都目黒区碑文谷4-24-16 104
TEL 050-5872-5108
(月・火・木・金)11:30~15:00、17:00~22:00
(土・日・祝)11:30~17:00、17:00~21:00
定休日:水曜日
塩バーガー 1980円
ザ・バーガー 2680円
「これを食べなきゃ人生ソンだよ」とは
うまいものがあると聞けば西へ東へ駆けつけ食べまくる、令和のブリア・サバランか、はたまた古川ロッパの再来かと一部で噂される食べ歩き歴40年超の食い道楽な編集者・バッシーの抱腹絶倒のグルメエッセイ。
筆者プロフィール
食べ歩き歴40年超の食い道楽者・バッシー。日本国内はもちろんのこと、香港には自腹で定期的に中華を食べに行き、旨いもんのために、台湾、シンガポール、バンコク、ソウルにも出かける。某旅行誌編集長時代には、世界中、特にヨーロッパのミシュラン★付き店や、後のWorld Best50店を数多く訪ねる。「天香楼」(香港)の「蟹みそ餡かけ麺」を、食を愛するあらゆる人に食べさせたい。というか、この店の中華料理が世界一好き。別の洋物ベスト1を挙げれば、World Best50で1位になったことがあるスペイン・ジローナの「エル・セジェール・デ・カン・ロカ」。あ~、もう一度行ってみたいモンじゃのお。
Premium Japan Members へのご招待
最新情報をニュースレターでお知らせするほか、エクスクルーシブなイベントのご案内や、特別なプレゼント企画も予定しています。
Lounge
Premium Salon
これを食べなきゃ人生ソンだよ
Premium Salon