国産ワインと日本ワインは違う
日本のワインの魅力を広めるため、「日本のワインを愛する会」が設立されたのは2018年11月のことだ。
俳優の辰巳琢郎氏が会長を務めることとなり、2025年9月には一般社団法人としてリスタートすることになった。その報告を兼ねた懇親会が、今年2月に銀座の「坐来大分」で開かれた。
辰巳会長が口火を切る。
「僕は15年間、『日本ワインを愛する会』の副会長を務めておりまして、途中で会長に指名されました。しかしその後すぐに、会を解散しました。2018年に『日本ワイン』という呼称が認められ、役目を終えたからです」
ちなみに、「国産ワイン」と「日本ワイン」はまったく別種のものだ。
国産ワイン…日本国内のワイナリーで醸造、瓶詰めしたワイン。葡萄の産地の国内外は問わない。
日本ワイン…日本国内で栽培、あるいは採取した葡萄だけを用いて、日本国内で醸造したワイン。
「そして新たに『日本のワインを愛する会』として再結成しました。これまでのようなワイン好きの集まりで、日本ワインが楽しめればいいやということではなく、何か日本のためになるようなことをしなければいけない。
昨年、会が一般社団法人化されたこともあり、これから一番本当にやりたいのは地方の応援です。それは地方創生であり、まずは、日本の第一次産業、そして食文化、地方の文化を含めて応援したいのです」
この日は北海道から宮崎まで50種を超えるワインが提供された。
ワイナリーはこの10年で2倍の500軒に
二番目に壇上に立ったのは、何と、林正芳総務大臣である。氏はワイン通として知られる。
「辰巳会長とは、ワインを通して、大変古いお付き合いがあります。私は2017年に名誉ソムリエの称号を頂戴しました。ちょうど農水大臣の時です。その頃は、日本のワインそのものを応援したり、ヨーロッパに売り込むことを懸命にやっていました。
先日、長野の『千曲川ワインバレー』に行ってきたのですが、10年前にはワイナリーが20軒だったのに、今は100軒を超すそうです。総務大臣で地方創世も扱っていますから、ワインを核にした地域興しに尽力していきたいですね」
2018年当時、日本のワイナリーは約260軒だったが、現在は500軒に増えた。
とは言え、問題もある。それを指摘したのは、続いて壇上に上がったソムリエの田崎真也氏だ。
「日本のワイナリーはこの10年間でほぼ倍の軒数になりました。しかし、生産量は全くと言っていいほど変わっていません。つまり、消費者を取り合いしているような現状です。
しかも、新規設立して3年以上続けている、100キロリッター未満のワイナリーの中で、その60%が赤字経営で続いているというのが現状です。
そこから脱却するには、日本のワインでしか表現できないような味が各地域で作られて、それをきっちりと法律で管理をするような制度を作ること。まさにヨーロッパでなされているようなことをしなければなりません」
ただし、明るい話もある。
「ずっと以前から比べると、平均的な味わいはすごく美味しくなったのも確かです。今後ますます日本ワインが日本で多くの方々に飲まれるような風土になっていくためにいろんなことをしていかなきゃいけないのかな、と思います。
そのためにはまず、飲み手を増やして、そして飲み手の満足度を提供できるような会が必要ではないかと思います。今後ますます日本ワイン発展のために、『日本ワインを愛する会』の活動に期待するところは大きいですね」
一年間で飲む日本ワインは約1000種だとか。
回ったワイナリーは400軒以上
同会の活動以外にも辰巳会長が企画し出演してきたテレビ番組「辰巳琢郎の葡萄酒浪漫」の存在も重要だ。
「ちょうど今年3月で、私のワインの番組は2006年から始めたので20年周年になるんです。何か愚直に続けることも大事だなと思っています。20年前とは見えている世界、風景が本当に変わっていると思います」
20年の間に会長が回ったワイナリーは400軒を超えるという。
「番組が始まったころは、すべてのワイナリーを回りきれると思っていました。それがどんどん増えましたから。
これから何をすべきかというと、もちろん発信もしていきます。テレビのほかにも、ラジオ番組「辰巳琢郎の日本ワインDE乾杯!」を5年半続けています。公共の電波で発信し続けられることに感謝しつつ、日本ワインの価値の再確認と問題解決を視野に入れながら、新たな歩みを始めようと決意しております」
辰巳氏が監修を務め同行もするワイナリーツアーも好評のようだ。
Text by Toshizumi Ishibashi
Profile
石橋俊澄 Toshizumi Ishibashi
「クレア・トラベラー」「クレア」の元編集長。
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