スペイン料理と言えば、誰もがピンチョスやパエリアを思い起こす。カヴァやチャコリまで想起する人は結構なスペイン料理通だろう。
そうした通にとっての朗報は、4月3日、目黒に「KONEXIOA(コネクショア)」がオープンしたことである。ここはまさに、スペインの料理やアルコールを極上に楽しめる店だ。その店名は、バスク語で「つながる」を意味する言葉だそうだ。
スペインの食文化を通して、人と人の縁を紡ぐ場所でありたいという願いを込めて、その店名を選んだという。
天井は高くゆったりとした空間は、ここにいるだけで心が和む。
2階建てのモダンな一軒家レストラン
目黒のちょっと閑静な場所に店はある。門扉から少し入ったところで迎えてくれるのは、スペインから運んだという樹齢約200年のオリーブの樹である。威風堂々たるものだ。その先に、ガラス張りのスッキリしたモダンな建物が立つ。今どき2階建ての一軒家というのが何とも贅沢ではないか。
1階はシェフズカウンターを備えたメインダイニングだが、天井が高く、非常に大きな窓のおかげで、昼は陽光が燦燦と、夜は庭のランプが星空のように煌めき、屋内にいる気がしない。2階には最大8名まで利用可能な個室もある。
ヘッドシェフは八谷玲美氏。フランス料理店でキャリアをスタートし、イタリアやスペイン料理店で腕を磨いた。2017年新橋に自身のスペイン料理店「Txiki Plaka(ティキ プラカ)」を開き、2019年から22年までビブグルマンに選出されている。まさに脂の載った料理人である。
5種のピンチョスは素材も味付けも違って、スペインのバルのようだ。
ピンチョスにカヴァ
さて料理であるが、最初に5種盛り合わせのピンチョスが供された。
この日は、桜鱒と生ハムとアーティチョーク、ウニとパプリカ、ホタルイカとイクラ、ルッコラとトマト、ムール貝と玉ねぎとピーマンである。
見た目も美しいが、味わいは食材そのものという感じで、一品一品の味付けのバリエーションが豊かで、気分は浮き立ってくる。そもそも、例えばスペインのサンセバスチャンなどでの夕食前のピンチョス屋巡りでは、一品をつまんでは、カヴァをクッとあおるのが普通だ。
この日のカヴァ「フェレット・グアスク」は、柑橘系を強く感じさせ、口当たりの泡は優しく味わいの余韻は長く、どのピンチョスとも相性がとても良かった。
シェフの八谷さんは、毎年スペインに出かけて、バスクはもちろんマヨルカ島などスペイン各地からインスピレーションを得ることに余念がない。
カヴァやチャコリなどのスペイン産は豊富だが、日本産のアルコールにも注力している。ドライシェリーを使ったアンダルシアハイボールといったオリジナルカクテルも出してくれるので、お酒の楽しみにも事欠かない。
「フカヒレと黒アワビ茸のピルピル」。乳化したクリームが美味しい。
料理は繊細さとダイナミズムの共存
ランチはコースのみだが、ディナーはコース料理でもアラカルトでも対応してくれるところが嬉しい。
この日の2品目がとても印象深かった。「フカヒレと黒アワビ茸のピルピル」である。普通、ピルピルと言うと、鱈を煮込んだものだが、鱈の代わりにフカヒレにしたところにセンスを感じさせる。ニンニクとオリーブオイルで乳化するまで煮込んであってとても滑らかな仕上がりだった。
サワラの次の「北海道産 牛サーロイン」も素晴らしかった。北海道の八雲牛を「サカエヤ」の新保さんが手当てした肉である。サーロインと言ってもサシがとても少なく、フィレに近いような食感で、火入れも見事だ。素材がいいから、味付けは岩塩、オリーブオイル、ブラックペッパーだけというシンプルさはいかにもスペインだ。
フレンチと中華は時にイジり過ぎて素材の味がよく分からないことがあるのだが、スペイン料理は和食やイタリアンのように、やはり素材に寄り添う料理である。八谷シェフが紡ぎ出す品々は、繊細さと同時に、スパニッシュのダイナミズムも味わせてくれる。それは日本人の舌にはとても馴染むものなのである。
「サカエヤ」が手当てした熟成のサーロインはフィレのようだ。
数種のパエリアを用意
締めに供された「桜海老のパエリア」(写真・冒頭)も嬉しい。米好きの日本人はパエリアと聞くだけで、気分がアガるはずだ。この日のパエリアは、国産米のひと粒ひと粒にいたるまで桜海老の旨味がしっかりと染みわたっていた。ランチでは素材は数種あって、タコやミックスがあるところも嬉しい。
店名の「KONEXIOA(コネクショア)」はつながりを意味すると冒頭で述べた。そのつながりは、レストランと生産者を結ぶものでもある。日本で最高峰の肉を提供する滋賀県の「サカエヤ」がそれだ。入手は困難な肉である。
八谷シェフは、「熟成肉が好きで、『サカエヤ』さんに辿り着きました。お陰で、店でお出しするのは、牛も豚も羊も、どれも自信をもってお勧めできる肉です」と胸を張る。
野菜もとても美味しいが、それらは千葉県の「タケイファーム」から届けられるそうだ。西洋品種やマイクロハーブなどはこのファームのものだ。
もうしばらくすると、八谷シェフが得意とする薪料理も登場する予定だ。肉や魚の仕上がりが、いまからさらに楽しみが増すというものだ。
KONEXIOA(コネクショア)
住所:東京都目黒区下目黒2-23-3
TEL:03-6812-3130
ランチ:12:00~15:00(14:00L.O.)、ディナー:17:30~22:30(21:30L.O.)
定休日:日曜・月曜
Text by Toshizumi Ishibashi
Profile
石橋俊澄 Toshizumi Ishibashi
「クレア・トラベラー」「クレア」の元編集長。
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