カーサミアカーサミア

Lounge

Premium Salon

編集部&PJフレンズのブログ

2026.7.31

アルフレックス「カーサミア河口湖」で出合った美しすぎる住空間

ガーデンからサテライト棟を見る。










「豊かな暮らし」とは何だろう。

その答えを探しに、富士山麓の森に佇むアルフレックスジャパンのライフスタイル体感施設「カーサミア河口湖」を訪れた。

1987年の開設以来、アルフレックスが提案する暮らしを体感できる場所として、2025年、大規模なリニューアルを経て新たな一歩を踏み出した。

カーサミア河口湖はリニューアル前にも一度訪れたことがあり、今回のリニューアル後の姿をとても楽しみにしていた。それはアルフレックスが生み出す空間の美しさはもちろんだが、ここが家具を展示するための施設ではなく、「暮らし」を体感する場所だからだ。




このリニューアルは、約40年の間に私たちの暮らしぶりやライフステージや家族構成、価値観の変化から生じる、これからの住まいづくりやインテリアを考えるためのヒントが随所に散りばめられているはずだ。そして、建築と家具、アート、自然が調和した空間を巡るなかで、自分らしい暮らしとは何か、そして心豊かに生きるとはどういうことなのかを、改めて見つめ直す機会になるはずだからだ。




「イタリア生まれ、日本育ち」が育んだ暮らしの思想

 

 

アルフレックスジャパンは1969年に創業した。「イタリア生まれ、日本育ち」を掲げ、イタリアの豊かなライフスタイルと日本の住文化を融合させながら、日本の暮らしに新しい価値を提案してきたブランドである。

 

 

創業者の保科 正氏は、1960年代にイタリアで目にした、人々が住まいを楽しみながら暮らす姿に強く惹かれた。その思いからイタリアの家具メーカー「arflex(アルフレックス)」で経験を積み、帰国後、「家具を売るだけではなく、ライフスタイルを提案する会社」としてアルフレックスジャパンを設立した。





現社長である保科 卓氏は、「当初から家具を通して生活全体を提案することが企業理念でした」と振り返る。

その理念のもと、日本オリジナル家具の開発に取り組み、1970年代には生活雑貨を扱う「オレンジハウス」を展開。1987年には住まい全体を体感できるカーサミア河口湖を開設し、1990年代以降はインテリアコーディネートを含めたトータルな空間提案へと発展させてきた。

今回のリニューアルもまた、その延長線上にある。「家具」ではなく、「暮らし」を提案するという創業以来の思想を、現代のライフスタイルに合わせてアップデートしたのである。





社員用 社員用

緑に囲まれた社員用研修・滞在施設。





「受け継ぐもの」と「新しく加えるもの」

 

 

リニューアルで大切にしたのは、すべてを新しくすることではなかったと聞く。

時間を重ねた建築だからこそ生まれる風合いや、森と調和した佇まいはそのままに残しながら、現在の家族の在り方や暮らし方の変化に合わせて空間を見直した。

 

 

マーケティングリテール本部を率いる保科 啓氏は、「この一年、お客様をお迎えする中で、変えて良かったこと、変えなくて良かったことを私たち自身も学びました」と話す。

その言葉どおり、リニューアル後のカーサミア河口湖は、完成形ではなく、暮らしを考え続けるための場所でもある。







創業者の保科 正氏自身が「理想の暮らし」と考えた、LDI(Life Design Institute)棟。自然光が降り注ぎ、アルフレックスの世界観が広がる。




ライフスタイルを映し出す3つの住まい

 

 

自然豊かな4500坪の敷地にあるカーサミア河口湖には、それぞれ異なる住まい手の暮らしを想定した3棟の住まいがある。
casa miaとはイタリア語で「私の家」を意味する。まるで友人の家を訪ねたような気持ちで、巡ることができる。
今回のリニューアルではかつてのライフスタイルを進化させ、新たな空間づくりを楽しむことができた。





まずは1棟目、Model A「Sunlight House」である。
ここはかつて両親と暮らした家を引き継いだ、40代夫婦と子ども一人の暮らしをイメージした住まいへ。独立型のキッチンはオープン型へと変化させ、キッチンとダイニングを住まいの中心へと刷新し、料理や食事を通じて家族が自然に集う空間へと生まれ変わった。
また在宅ワークを考えて、かつての子供部屋の一つを仕事部屋へと変化。パブリックとプライベートをステップの高低差や壁の角度によって仕切った空間はそのままに、内外とのつながりを大切にしたインテリアの配置となっている。




Model Aを中庭から見た外観。 Model Aを中庭から見た外観。

Model Aを中庭から見た外観。




以前は独立タイプだったキッチン。




改装後 改装後

現在のリビング。キッチンからダイニングへ、そしてリビングルームへとつながっていく。さらにはテラスという第2のリビングルームへと広がる。




改装後に作られた在宅ワークを想定した書斎。 改装後に作られた在宅ワークを想定した書斎。

リニューアルにより家具を入れ替え、子供部屋の一つを在宅ワーク向けの書斎へ。





2棟目のModel B 「Heritage House」は、子育てを終えた60代夫婦の暮らしを提案する住まいである。
築38年の建築が持つ味わいを残しながら、イタリアの総合家具ブランド「Molteni&C(モルテー二)」の監修により構成されている。
「イタリアの建築・デザインの父」と称されるジオ・ポンティを愛する夫婦の家には、モルテーニにより復刻されたジオ・ポンティの作品が多く置かれ、クラシックとモダンの融合する空間へとアップデートされた。

 




Model Bの外観。 Model Bの外観。

Model Bの外観。




改装前 改装前

以前のキッチン。




改装前のクラシックな印象のリビングルーム 改装前のクラシックな印象のリビングルーム

以前のクラシックな印象のリビング。



改装後 改装後

現在のエントランス。アームチェアは、ジオ・ポンティのアイコニックなデザインの復刻版「D.154.2」。



改装後のキッチンはモルテー二のもの。 改装後のキッチンはモルテー二のもの。

現在のキッチンは、天然石などの上質なマテリアルを多用した贅沢な仕上げに。




クローゼット クローゼット

寝室だったスペースをクローゼットルームへリフォーム。中央には、深澤直人氏デザインのシェーズロング「Tuscany(タスカニー)」。





モデルハウスの最後は、2棟がつながったテラスハウスModel C「Terraced House」である。
そのうちの一棟「MODEL C-A」は、50代夫婦と子ども2人のファミリーのウィークエンドハウスを想定している。ここは素材感を丁寧に選び抜いたキッチンとダイニングのリフォームを中心に、経年変化を楽しみながら、モダンなインテリアをコーディネートしている。また、ライティングが作り出す、光と影、自然光と照明、心が安らげる光の採り方はぜひ参考にしたい。




2棟がつながったテラスハウスのModel C。 2棟がつながったテラスハウスのModel C。

2棟がつながったテラスハウスのModel C。







改装前の独立型キッチン 改装前の独立型キッチン

以前の独立型だったキッチン。




改装後のキッチン 改装後のキッチン

アイランドキッチンとダイニングの一体型へとリフォーム。



夫婦の時間をゆったりと過ごすことができる改装後の寝室。 夫婦の時間をゆったりと過ごすことができる改装後の寝室。

ラウンジスペースを広く取り、夫婦の時間をゆったりと過ごすことができる現在の寝室。




改装前のままのテラコッタの床をアクセントにしたリビングルーム。 改装前のままのテラコッタの床をアクセントにしたリビングルーム。

テラコッタの床はそのままにして、マレンコを配したリビング。



最後は、施設中央に位置する「Satellite(サテライト)」。
ここはかつての展示を中心としたスペースから、ブランドの世界観をより深く没入できる空間へと生まれ変わった。
1階には、ソファづくりを体感できる展示もあり、アルフレックスのものづくりへのこだわりを知ることもできる。また、かつてテニスコートだった場所にはガーデンが整備され、建築と自然がより緩やかにつながるランドスケープへと生まれ変わった。



改装前のサテライト棟はショールームとして使用されていた。 改装前のサテライト棟はショールームとして使用されていた。

以前のサテライト棟はショールームとして使用されていた。



サテライト サテライト

現在は、アルフレックスのものづくりを紹介する展示スペース1階と、ゆったりくつろげるダイニングとソファ、テラスを備えた2階のラウンジへと更新された(写真は2階)。




インテリアはただ空間を作るのではない。自身の生き方そのもの

 

 

今回のリニューアルは、新しい建物をつくることが目的ではなく、時代とともに変化する暮らし方に寄り添いながら、「心豊かな暮らし」というアルフレックスの原点を未来へ受け継ぐ試みの一つであった。

ここに訪れ、そして森の中を歩き、それぞれの住まいを巡るうちに、「どんな家具を選ぶか」ではなく、「どんな時間を過ごしたいのか」を考えている自分に気づく。

カーサミア河口湖は、インテリアのヒントを得る場所であると同時に、自分らしい暮らしを見つめ直す場所でもあるのだろう。

ここは一般には公開されていない施設ではあるが、月に一度程度事前予約制のオープンデーが設けられている。ぜひホームページを確認をして一度足を運んでほしい。




Profile

谷口優子 Yuko Taniguchi

女性誌で長年、インテリアや旅、ライフスタイルをテーマに企画・編集・執筆を行う。人やものづくりの背景にある物語を伝えることを大切にしている。

最新情報をニュースレターでお知らせするほか、エクスクルーシブなイベントのご案内や、特別なプレゼント企画も予定しています。

Lounge

Premium Salon

編集部&PJフレンズのブログ

Premium Salon

not_post_contentページの先頭へ

最新情報をニュースレターでお知らせするほか、エクスクルーシブなイベントのご案内や、特別なプレゼント企画も予定しています。